すでに古い機種だし、音色も飽きられてるだろうし、今更メインで使うこともないだろうM1。しかし姿形を変え未だにこのシンセと付き合っているのは自分でもかなり笑える。その付き合いの歴史を簡単に書いてみる。
学生の頃、一生懸命バイトして貯めたお金でまず最初に購入したのがM1。それまでアナログ・モノフォニックのSH-101しか使ったことが無かったから、そのリアルな音色と8トラックシーケンサー内蔵というまるで未来からやってきたかのような豪華絢爛機能に高揚し、何でも出来そうな気持ちになったものだが、一番嬉しかったのは単純に"ポリフォニック"なシンセを所有できた、ということだったのかもしれない‥。音が2つ以上鳴るって感動!
ところがこの新品購入したM1、何ということか2日後に故障。電源を入れてもシステムが起動しなくなった。
購入店に状況を説明したところ、東(あずま)店長(嘉門達夫似)がすぐさまKORGに苦情を入れメーカー営業所の人が直接楽器を引き取りに来てくれた。「これは修理ですね」ということになり引き取られていったのだが、その数日後にM1の後継機種「T1/T2/T3」という新ラインナップが発表された‥。
修理が終わったとしても、戻ってくるのは旧機種のM1。そこで再び東店長に相談すると「んじゃM1をキャンセルしてT2にしよう」ということになって、それなりの差額を支払うと、発売日前日にT2が我が家へやってきた。シリアルナンバーは35番だった。
このT2は操作性も良かったし、とにかく内蔵シーケンサーがグラフィカルで使いやすかった。これまで僕が一番使い込んだマシン。後期にはEX拡張ボードを取り付けて、オプションPCM波形を取り込んだりした。個人的にKORGのジョイスティックは、ポピュラーなホイールと比べ非常に使いやすく、音楽的だと思う。
そして僕も学生で無くなり、住処を変え数年が経つとTシリーズも型落ちして古くなり、楽器店では放出価格で販売しはじめるところも多くなった。そのタイミングでT2を売却し購入したのが、88鍵ピアノタッチのT1なのだった‥。その頃はすでにKORGから01Wシリーズが発売されて久しかったのだが、すでにT2EXで作成した音色に捨てがたいものがあったので乗り換えることは考えなかった。何なのだろう、自分でも分からないそのこだわり。
そもそもピアノが弾けないのにピアノタッチ、フルスケールの楽器が6畳の部屋にあることの滑稽なこと。自分でも薄々気がついてはいたが、正視しないようにしてきた。しかしさすがにTシリーズの音色を前面に出して使うことも少なくなり、そうなると益々ピアノサイズの楽器が鎮座していることに違和感が生じ始め、遂に思い切ってM1REXにダウンサイジングすることにした(やはり音を手放すことが出来ないのがオカシイ)。M1REXはPCMが拡張されていてTシリーズで作成した音色を問題なくコンバートできるのだった。もちろんその時は生産中止されていたので、中古で状態の良いものを購入した。
ざっとこのような遍歴を経て今、静かにラックの中に収まっているM1REX。しかし以前よりさらに出番は少なくなったリアル音源なのも確か。KORGがソフト音源に参入してきたとき、デジタル・シンセの中でまずWavestationをソフトウェア化したのを見て、「それならM1のソフト音源も出してくれればよいのに」と思っていたら、ようやく出た。ソフトM1。
ソフト音源はモノによってそれなりのマシンスペックを要求するのだが、果たして我が家のカスタマイズドminiでうまく動作してくれるのかどうかが心配だった。とりあえず購入してみると、前回書いたようにminiでも問題なく動いてくれた。実際は自作したオリジナル音を同じニュアンスで再現できるのかどうか、ということが問題なのだけれど、それがリアル音源と比べて遜色ないのなら実売1万7千円強は安いと思う。