連載第28回
2005年9月24日
各社外付けHDベンチ USB2.0は期待外れ?

 気付いたら何故か外付けHDが4台にもなっていた‥。とりあえず記事ネタにしようと、ベンチを取ってみる。
 

突如流れたMac miniアップデートの噂

 前置きとして軽く触れておきましょう。どうしてこのタイミングでアップデート(の噂)なのか不思議なんですが、エクスポを発表の機会として選ばないというのは、これまでもよくあったことなので別段気にしないとして、まず根本的に「ミニはたいして売れなかった」ということを意識しておけば、在庫調整しつつ積極的に切り替えが行われるとしても、何となく納得できる気がします。

 しかしもっと深読みするなら、前回のマイナーチェンジからそんなに時間が経ってないにもかかわらず更新するということは、「自分たちが納得できるようなインテルマックが完成するにはまだ時間がかかる」ということなのかもしれません。今回のエクスポでジョブズは「来年の6月を目標に」とコメントしたというのですが、WWDCでの「来年の今頃にはリリースしているだろう」というコメントからは若干後退気味なニュアンスです。ユーザーの注目を惹き付けておくために、CPUの速度アップ程度の軽い更新であれば、ミニ以外の全ハードウェアでもテンポ良く行われていくかも知れません。まあ、とりあえず噂なのでそんなに期待してませんが、噂に終わったとしても近々2台目のminiを購入したいというのはホント。

 僕個人としてはミニの製品ラインは残したまま、内部だけインテルに置き換わるのではと予想しているのですが、期待したほど売れてないのなら、もしかしたら来年の今頃には”mini”というカテゴリ自体が消えてしまう可能性もあります(iPod miniが消えたのとは正反対の消極的な意味で)。それは困るんですよねぇ~、ミニは気に入ってるんですよ~。

携帯性に優れた2.5inch HD用外付けケース

 さて、ですます調を切り替えて本題へ。ベンチ測定の前に、まずは購入した日立製80GBの2.5inch HDを外付けケースにセット。今回選択したケースはセンチュリー「Speedzter Little(CSL25U2)」。アルミ筐体で質感は満足。
 この姉妹品にFW400接続のタイプもあるんだけど、汎用性を考慮してUSB2.0接続タイプにした。あちこちデータをやりとりするとなると、やはりUSBにしておいた方が無難なんだよね。「ウチで使ってるPCにFW端子はまだ付いてないよ」という環境もあるので。

 え?これでOK?というくらいあっけない組み込み。コネクタを繋げてネジ2本で止めて終わり。非常にコンパクトで軽い、携帯性に優れた外付けHDケースになる。高級な名刺入れというイメージ。USBのバスパワーで駆動するので、電源ケーブルとか電源スイッチも無い。

 現在、データの持ち運びで便利なのはUSBフラッシュメモリだけれど、それに保存できないギガを越える容量のデータを運びたい場合にこれはすこぶる便利。あ、でもそんな用途ならiPodでも十分まかなえるのか‥。そう考えるとiPodも便利だなあ。

電源には注意

 組み込んだ後、動作確認とHDの不良セクタチェックをしようと思ってUSBで接続してみたら、電源ランプは点いているのにファインダーへ上がってこない。あららら?と思って何度かケーブルを抜き差ししたり、HDのコネクタへの取付位置がズレてたりしたのかと思って再度バラして確認してみたりしたが、相変わらず認識しない。内蔵HDは「カリカリカリ‥」を音を立てて動いている様子。しかし弱々しい音で、とりあえず動いてます、という感じ。「アチャー、久々にハズレを引いたか」と思ってブルーになりかけたんだけれど、実は電源が足りなかった。

 mini本体へ腕を伸ばすのが面倒で、手近にあるUSBハブを中継していたのがダメだったらしい。4ポート全て何かしらデバイスが繋がっているので、どうも電源供給不足だったみたい。miniの背面に2つあるUSBポートの一つへ直接繋げたら、カリカリも言わず高速に回転してファインダーに上がってきた(この時点ではまだフォーマットされていないので警告ウィンドウが出るんだけど)。当然ながら動作音は極めて小さい。今回得た教訓は「回転系はハブを中継しない」。

ベンチ比較してみたワケ

 僕が外付けHDを利用するのは、主にメンテナンスやバックアップが目的なんだけれど、それとは別に自作曲を作るときの作業領域として使うことがあって、作業中は音声データに頻繁にアクセスするから高速にやりとり出来るものが必要になる。普通ならFirewireで接続するんだけれど、実は僕の環境では一つ弊害があってUSBで使わなければならないんだよね。

 それはTC electronic社のTC Powercore Compactというデバイスを使っているから。これはFirewire経由で繋げる音楽制作用の外部拡張DSPなんだけど、これと同じFirewireバスに外付けHDを繋げると、アクセス時に伝送エラーが生じることがある。G5などのデスクトップマシンなら、FWポート(正確にはFWバス)が2つ以上あるから、ぶつからないように接続すれば大丈夫なんだけれど、ミニには1つしかない。ハブを使ってパラっても、元は1つのバスだから無意味。またPowercore CompactはFW端子しか装備してないから、外付けHDはどうしてもUSB2.0で繋ぐしかない。

 そんなワケで、今回はFirewire400とUSB2.0の比較、主にUSB2.0が実用的なのかどうかを調べてみるためにベンチを取ることにした。

チェック前の仕様比較

 ベンチを取る前に、今回のラインナップについて簡単にまとめておく。下の写真左からI/Oデータ、Century、秋葉館、M9の各社HDケース。購入した時期が1年くらい開いているものもあって、内蔵HDにはバラつきがあるから、ベンチの結果は面白いことになるかも。

 内部HDの仕様はざっと上記のような感じ。また、手元にSeagateの120GB内蔵HDもあったので、秋葉館オリジナルケースに換装してテストする。では早速ベンチを取ることにするが、その際Firewire・USB2.0共にハブを介さず、直接ミニに接続する。結果は次のページ。

どう見る?この結果…

 測定はお馴染みのXbench1.1.3で行い、その他のアプリケーションは一切立ち上げていない状態。ホストコンピューターはMac miniの1.5GHzクロックアップ版でMacOSX 10.3.9。まず表1はリファレンスとして以前換装したミニ内蔵の5,400rpm HDのベンチ。つづく表2はFirewire400接続の結果。表3はUSB2.0接続の結果。

 さて、この結果どう見るか?

 Firewire接続に関しては、性能的に2世代以上前になってしまったI/OデータHDX-UE120を除き、全て現在のMac mini内蔵HDより速い。環境によってはFWの外付けHDから起動した方がいいかもしれないという結果に。FW400でこれなら、FW800ってどれくらい凄いんだろう。

 そして注目のUSB2.0接続。なんというか、惨敗と表現したくなるような結果に。各社内蔵HDの性能のバラつきを吸収してしまうくらい、基本的なスピードの上限が低いというか‥。だからどのケースも性能的に違いが見られない。というかそれ以前の問題として、Mac miniに内蔵しているHDよりダメダメじゃないか。

 これなら音楽制作も内部HDで作業した方がいい(先に書いたように僕の環境ではFW接続のHDは使えないので)。実際、これまでは外付けHDを使わずに内部HDだけであれこれやってきたが、‥もう限界かも。もちろん、普通にiTunesのサーバーとして使ったり、iPhotoなどの画像データ格納用に使うくらいならUSB接続でも全く問題ないケド。

Mac miniにオススメのケースはM9

 というわけで総括。ある程度予想した通り、接続性能は外付けHDケースによって変わるなんてことはなくて、やはりそこは内蔵HDに依るところが大きい。そこでMac miniユーザーで一般的な用途に使うなら、インターフェースやハブなどの付加価値から見て断然M9 Mac mini PODがオススメ。秋葉館のケースもルックスや分解のし易さ(?)から見て、個人的にはかなり気に入ってるけれど、FW800端子は当分使うこともないだろうし。

 しかし1.5GHzで内蔵5,400rpmも結構厳しくなってきた。というわけで、次回は上で使った日立製7,200rpmのHDをミニに内蔵して、使用感などをレポートしてみようと思う。ではまたー。