連載第26回
2012年5月28日
ユレル:その7「ピアノ録り直し」

 その4のピアノのどこが気に入らなかったのか。Speakerphone 2で曇らせすぎてしまい、よく聴こえないのですな。そもそも自分で曇らせておいて気に入らないって言うのも、まあ、自分でやっているのだから何も問題無いのだけれど、曇らせ方にもいろいろあって、その手段が間違っていたのではないか。というわけで今回は珍しく使う音源から変えてみることにしました。

 普段はPianoteq 3をよく使っているのですが、Machfive 3アップグレードが届いたので早速インストールし、付属していた「F Grand 278」を試してみました。結構いい感じなんだけど、…ちょっとイメージしているものより明るい感じがします。

 そこでふと思い出したのが、このMachfiveの初代バージョン1を購入した時に標準で付属していたベーゼンドルファーのピアノサンプル。もう完全に忘れていたけれど、この音が暗くていい雰囲気を醸しているのです。久しぶりに読み込んで聴いてみると、やはりこの音はイイ。今から見ると容量も少なめで、決してハイファイというわけではないのだけれど、ちゃんとキャラクターが立っている(これ重要)。容量とか値段なんか関係ナシ。

フィルターで曇らせる

 前回はSpeakerphone 2というプラグインで曇らせていたわけですが、別にそんな小難しいことしなくても、普通に曇らせるのならEQを使うよなあ…と思いつつ、もっと手っ取り早いのはフィルターを使えばイイんじゃないか?と今さら気付きました。というわけでUADのmoogフィルター(試用版)を使ってみました。ベーゼンドルファーの「Soft A」というプリセットがまだちょっと明るい感じがしたので、フィルターを使って上から削ってみました。

 やはりこういう場面では素直にフィルターを使うのが早いな、と納得はしたものの、ではこのmoogのフィルターを購入しようかというところでちょっと悩んでしまうのが小市民。なにせ199$。滅多に使うアイテムでもないし、今回のピアノのために買うのもなあ…と思い悩んでいたら、またスッカリ忘れていた、ある事に気付きました。Machfive 3自体にフィルター付いてるじゃないか。しかもデジタルなものからアナログなものまで多種多様に何十種類も。早速ウホウホと順番に掛かり具合を試していきました(30分経過)。

 …余りに数が多過ぎて分からなくなりました。そこで素直にアナログシンセ、Oberheim Xpanderのローパスフィルターのシミュレートをチョイス。一番しっくり感じるところにツマミを調整して録り直したのがコレです。若干低域を削るのにEQを挿しただけで、フィルター以外はリバーブなんかも掛けてないノンエフェクト(マスターにリミッターは挿してます)。


ユレル ― 録り直したピアノの音 ―
ユレル ― DEMO / SAMPLES ―
flfl.me

 まだ他の音と混ぜていないので決定ではないのだけれど、だいたいこの雰囲気が「ユレル」でイメージしていたピアノです。Pianoteqしか使わない!という縛りをたまには外してみるのも楽しいですね。というか、デジタルでやっているのだから音源のチョイスやフィルターの選択なんかも、もっと柔軟に臨機応変で対処すべきでした(縛りもオモシロイけど)。
 ところで今回から使い始めたMachfive 3、以前のバージョン2よりは安定感があるのですが、それでもやはり動作が重く感じられる瞬間があって、せめて音源を切り替える際の読み込み時間はもっと短縮したい。もうサンプル音源の保存先は全てSSDに変更したいくらいなのですが、この話題はカテゴリーを変えて「フリフリのThunderbolt大作戦」でそのうち書いてみたいと思います。つづく。