近所の小さな商店街をブラり歩いていたら、とある店先で小さな鉢が20個くらいズラリ並べてあるのが目に入り、近寄って見てみるとそれは桜だった。鉢が並んでいる様子が目を惹いたのは、そのお店がおよそ観葉植物の類を扱うこととは全く180度関係の無い業種だったからで、その関係の無さを喩えるなら「千葉でダイビングの練習をしていたら、海の中でニワトリが卵を産んでいた」というくらいに頓珍漢な状況だった。
なので面白いと思い、1つ手に取って店に入り「桜ください」と言った時、レジの横で新聞を読んでいた店主の方がびっくりしていた。たぶん一生のうち一度言うか言わないかくらいのフレーズだ。
「はいはいはい」と小さな桜をビニール袋に詰めつつ「そうそう、育て方の説明書あるから」と不慣れな手つきで見せてくれたのがコチラの取り扱い説明書。
しかし、こんなに小さくても桜、というのが見た目にインパクトがあった。桜はデカい、だから公園なんかにそびえ立っていて、人はそれを鑑賞しに遠出するのだ(ここ数年は桜を眺めに井の頭公園に出向くこともしてないし、そもそも人ごみが嫌いだし、そう言えば吉祥寺ってどうなったんでしょうか)というこれまで疑ったことの無い常識をグラグラと揺すぶってきたのだった。男独り暮らしのアパート部屋に桜という衝撃!そして鉢猫(部屋の中には居ないけど)!
早速、日本語取説に目を通してみると、案外細かい指示が書かれていて、これはどれか一つでもヘマをすれば蕾は開かないよ、という消費者責任転嫁の予防線を張っているかのよう。かつてサボテンを枯らしたことのある僕はちょっと自信が無い。とりあえずカネノナルキに囲まれてこの小さな桜が花を咲かせている様子を写真に収めるのを目標とする。
税込みで980円でした。うまく行けば、部屋を出ることなく花見が可能となり、一石二鳥です。
2015-03-15 > 放談ラジオ