連載第19回
2012年11月28日
新しいiMacに何が起きているのか

 仕事を終え帰宅してアパートの郵便受けを覗くと先月分の電気使用料伝票が入っていました。実はこの日を楽しみに待っていたのです。というのも先月あたりからちょっと調子の悪くなったMac Proの使用を控え、特にパワーの必要ない日常雑務的なものはなるべくMacBook Airを使うように意識して1ヶ月過ごしてみたのですが、普段使いのMacをAirに切り替えたら一体どれくらい電気代が節約出来るのだろうかとその結果が早く知りたかったのです。ちなみにまだ夏真っ盛り9月の請求は4,405円(冷房未使用)、先月まだ残暑厳しかった10月は4,847円(冷房未使用)、そして今月、秋が訪れ一転して肌寒い日が続き暖房も必要となった11月分請求額は「3,917円」でした(暖房未使用)。ちなみに昨年同月は4,548円だったようなので、久々に3千円台を回復したことの主要因はやはりMac Proの使用を極力控えた結果と言えるのではないでしょうか。っていうか、Airたんスゴイ!記録的な猛暑が続いた今年の夏も自宅ではまったくエアコンを使用しなかったのは、数年前に何となく始めた惰性もあるのだけれど、最近自分の中でその当時の理由に加え、突然「節電」に目覚めたような気配がするのです。そうそう、その理由を書いた記事にも「PowerMac G4からMac miniに換えたら電気代が減った」とあります。これは、来るナ。

 極力使用を避けたとは言ってもやはり重いデータを扱う場合や、8個のCPUをフル回転させる趣味の作業で数日酷使した時があったので、もし完全にAirのみで1ヶ月過ごしてみたらどうなるか非常に興味あるところです。そこでこれまであまり意識していなかった所有しているMac周辺の消費電力ってどれくらいのものなのか、ザックリとチェックしてみました。Appleのサイトにある「Appleー環境ー報告書ー」には、各機種の環境に対する取り組みについて簡略的に数値化された資料がPDFになっているのですが、それを参考に比較していたら、なかなか面白い発見がありました。
 まず、のっけからのけぞってしまうのですが、僕がメインで使用しているMac Pro(early2008)はそのページに掲載されていません。CPUのみならず複数搭載するメモリもかなりの熱量を放出する僕のMac Pro、それを改良し、全く新しい内部構成で登場した翌2009年のMac Proから資料が掲載されているので参考までに見てみると、アイドル時で何と143.8W。僕のMac Proはそれよりアーキテクチャ的に世代が古く、当然もっと大きな数値の電力を消費していると思われるので、仮に150Wとしておきましょう(アイドル時ですよ)。対してMacBook Air(mid2011)はアイドル時(ディスプレイ・オン)でわずか9W。これは差が出るのは当たり前です。

 ところで最近、Mac Proの不調に合わせてナナオの24インチ液晶モニタもどことなく調子が悪い様子。もう購入から5年以上経って保証も切れ、Mac Proと一緒に引退となるのかもしれんという感じなのですが、ではその後継としてのモニタは何が良いか。個人的にはノングレア(非光沢)な画面がやはり目が疲れなくて好きだし、そろそろ24インチも狭く感じるようになったので、同じナナオの27インチモニタ「FlexScan EV2736W 」を選択肢に入れました。ここでふと、これまで液晶モニタの使用電力を考えたことなかったな、と気付き早速調べてみると、今使っているナナオS2410Wはなんと驚愕の「110W」。これまでMac Proと合わせ、アイドル時でも260W使ってたのか…と。代替候補のEV2736Wは「最大70W/標準24W/節電時0.5W以下」とまあ、なんてエコな設計なのでしょうか。

 そんなわけで次に買い替えるとしたらナナオの27インチだなと思ったのだけれど、Mac Proの寿命もさほど長くないとなれば、将来のことも視野に入れてAppleのThunderbolt Displayというのも手かもしれません。何せ次のMacはどの機種になるとしてもThunderboltが標準装備されているのは当然だからです。そこで再び先の「Appleー環境ー報告書ー」でThunderbolt Displayの消費電力を見てみると、何と「110W」。一瞬で候補から消えました。

 今となってはMac本体よりも電気を喰らう液晶モニタ。ならば、当然候補に上がってくるのが、先月発表された新しいiMacです。何せMac本体に27インチのモニタもくっついてくるのですから非常にコストパフォーマンスの高い一石二鳥マシン。早速、そこまで薄くしなくてもいいんじゃないかと思う新しいiMac27インチの消費電力を見てみました。すると何とアイドル時(ディスプレイ・オン)で79.9W。本体とモニタ合計での数値です。MacBook ProとThunderbolt Displayという組み合わせよりも魅力的じゃないか。
 果たしてこれがスゴイことなのかごく普通の一般的な数値なのか。そこで一世代前のiMac27インチの方を見てみると、何と驚くべきことにアイドル時(ディスプレイ・オン)で143W。つまり、もうすぐ登場する新しいiMacは昨年モデルから半分近くも使用電力を落としてきているのです。一体、新しいiMacに何が起きているのか。

 使用するCPUも若干は効率のよい新しい世代のものに代わるのでしょうが、おそらく、採用されている液晶ディスプレイの使用電力がかなり少なくっているのではないか? 供給しているのがサムスンなのかLGなのか、それともシャープなのかは分からないけれど、突然節電に目覚めた僕はとにかくこの新しいiMacに熱視線を向けています。モニタのカラー調整に力を入れているというアピールも、まあ、そこそこに期待できるところですし、何より「フリフリのThunderbolt大作戦」が大きく進展します。

 そんなこんなで期待の新星iMac、21インチは11月発売という予告をギリギリの30日発売で死守したものの、主力マシンの27インチは無事年内に発売されるのかどうか怪しい気配。初期ロットに手を出すのはちょっと怖いものがあるのですが、それでもMac Proと27インチ外付けモニタの組み合わせよりは月々の電気使用料金がグッと下げられるのはもちろん、今月試していたMacBook Airとナナオ24インチよりも消費電力が少ないのですから、1ヶ月の電気代3千円前半も夢ではありません。付け加えておくと、10年使い続けている旧式な冷蔵庫をエコタイプのものに買い替えれば、3千円切りも可能なのではないかと思っています。一体どんな生活をしているんだよ。