連載第62回
2014年2月2日
壊れたProphet-5をMac互換機S900で遠隔操作したい…(その1)

 昨年末に自分のちょっとした気の緩みから「ポキリ」と折ってしまったProphet-5のレゾナンス・ノブ。当然、そのツマミをまわすことが出来ないから、シンセサイザーの醍醐味でもある「音作り」が出来なくなってしまったワケなのですが、音色作りの出来ないシンセほど可哀想な存在はありません。メーカーが用意した数百のプリセット音をただ選ぶだけとなった今どきのデジタルシンセなど、一体どこに面白さがあるのか、そんなものみんなPC向けの気軽で安価なソフトウェアシンセに取って代わられてしまえ!…すみません、つい脱線してしまいました。決してデジタルシンセが悪いわけではなく、深く追求すればするほど音世界を広げてくれる可能性があるのに、ボタンをポチポチと押すだけで済ませている人間の方が堕落していると言いたいのだ!…いや、また脱線してるだろそれ。
 こうしてノブの折れたProphet-5を目の前に呆然とする日々が続きましたが、ふと思い出した事が。その昔、このProphet-5を始め、その他のシンセサイザーの音作りや音色管理を、Macで一括コントロールしていた時代があったではないか。

Mac互換機S900とMOTU Unisynを使って。

 すっかり忘れていたけれど、MacOS9時代は上記組み合わせでシンセの音作りを楽しんでいました。Unisynというシンセ・エディタを使えば、MIDI経由でシンセサイザーのツマミに触れる事なく遠隔操作出来たのです。Prophet-5のようにツマミが全セクションに付いているようなアナログシンセなら必要のないアプリなのですが、音源モジュールのようなエディットメニュー階層の深いタイプのものは、直にボタンを押して音色作りするのはとても困難で(特にWaldorf Microwaveとか)、本来楽しいハズの音色作りが全く楽しくないという、ダウンサイジングに支払った代償はかなり大きかったように思います。そんな制作環境でUnisynは非常に重宝しました。

Mac互換機、フリーズしまくり

 ノブが折れていてもMIDI経由でコントロール出来れば問題ない。そんな可能性を試すべく、久々に押し入れの奥から引っ張り出してきたのはUMAX S900。SuperMac社ブランドを、台湾UMAX社が買い取った後に製造販売されたのだったか、経緯の詳細については忘れてしまったのだけれど、まあとにかく当時いくつか存在していたMacクローンの代表機種の一つです。よく「ギョウザ」と呼ばれる理由は見ての通り。

 それにしてもしかし、MacOS9(パッチを当てて9.2.2にアップデートしています)だからなのか、Ultra SCSI起動ディスクがヘタっているのか、それとも本体ロジックそのものが古く劣化してきたせいか、とにかく起動すらままならないほど激しくフリーズします。とりあえず内部に溜まったホコリでも吸い取っておこうと開封してみました。カスタマイズして楽しんだ痕跡が密林のようです。これを見ると先代のMac Proがいかにエレガントに設計されているか分かります。

 起動してしばらく放置していたら、本体が温まったせいか何となく安定してきたので、何年ぶりかにUnisynを立ち上げてみました。当時作り溜めておいた音色データの中からProphet-5の自作パッチ・バンクを開き、その中から1つ音色を選んでエディタを開いてみた状態がコレです(↓)。ウィンドウの中にあるスライダーやボタンがそれぞれProphet-5本体のノブやボタンなどの操作子に対応していますが、こうやってグラフィカルにまとめてしまうと、実機とはまた違った印象に。

遠隔操作以前の大問題が!

 Unisynの準備も整ったところで、さてProphet-5とS900をMIDIで接続しようとProphet-5の電源スイッチを入れたところでとんでもない事態が発覚しました。Prophet-5は電源投入後、まずTUNEボタンのLEDが点灯し、オシレーターのチューニングが済んでから本体全体のLEDが点灯するのですが、オートチューニングが済んでTUNEボタンが消灯しても本体のLEDが全滅したまま!転倒した際に電源が逝ってしまったのかと思ったのだけれど、電源自体は問題なく、Macで言えばシステムが起動してないような状態で止まっています。ボタンをあちこち押したりしてみると、どうもRECORDボタンが怪しいような…。確実にバネが壊れたようでフニャフニャになっていて、接触不良(押したままの状態?)を起こしているような感じ。遂にドック行きが確定しました。

プロフェット5が無事帰還したら、つづくかもしれません。なので期待を込めて(その1)にしています。