連載第65回
2014年3月22日
整備済製品 Apple「AirMac extreme」活用篇

 小さなトラブルに見舞われながらも何とか無事稼働に至ったAirMac extreme。現役引退となったexpressを並べてみるとそのサイズ感の違いがよく分かります。expressをコンパクトと褒めるか、それともextremeを…おや?褒められるところがあるとしたら、個人的には802.11acと共有ディスク機能の2点と言うことになりますか。コンパクトなexpressの方はもうこの先出番は無いのだけれど、不意にextremeが故障した場合など緊急時に備え、しばらく代替品として手元に置いておこうと思います。まあ、AirMacが使えなくなったらEthernetケーブルを有線でハブに繋げれば何ら問題ないのですが、やはりMacBook Airを使っているのなら無線の方が何かと都合良いですし。

 しかしextremeで褒めることの出来る2点のうち、前者「802.11ac」については購入以前から然程期待していたワケではありません。というのも自宅アパートは当然の事ながら集合住宅なので、上流管を全ての居住者ユーザーで共有しています。現状、普段使いでは何ら不満はありませんが、802.11acにしたところで爆速になるワケでもありません。この最新仕様の無線性能を最大限に発揮できる環境は、閉じたローカルLAN内で全ての端末がギガビットEthernetハブにぶら下がっている場合に限られるのではないでしょうか。何せ自宅環境では、インターネットに接続している直ぐ上流のハブ(RT-200NE)のLANは100Base-Tなのです。なにそれ。

802.11acで接続する

 しかし、せめてローカルの範囲内にぶら下がっているのなら802.11acの恩恵に授かりたい。この記事を読んでいる人なら既知の事と思いますが、実はこのAirMac extreme、デフォルトでは802.11acが「オフ」なのです。なにそれ2。でもいいんです。僕としては共有ディスク機能の方に興味があったワケで、802.11acはオマケみたいなものです。ということで「提供されているのなら使ってやっても構わないよ」という上から目線で設定してみることにします。基本仕様として802.11acは「5GHz帯を使用する」ということなので、その周波数帯をオンにします。

 これまで繋がっていた無線ネットワークはexpressから引き継いだ旧世代のものなので(たぶん普通は気付かずにそのままにしておくんじゃなかろうか)、今回、AirMacユーティリティでAirMac extremeにログインし、設定項目内「ワイアレス」>「ワイアレスオプション」で新規に5GHzネットワークを作成。チェックボックスを入れて、適当に分かり易い個有名を付けます。また「非公開ネットワーク」にチェックは必須でしょう。その他の項目は自動にしておいて、本体をアップデートします。

 それが済んだら、Wi-Fiで新規作成したばかりのネットワークに接続するのですが、「非公開ネットワーク」にしておいたのでリストには表示されません(ピンクで塗り潰しているのが、express時代に設定していたネットワーク名。それにしてもみんな公開してますなあ)。なのでプルダウンメニューから「ほかのネットワークに接続…」を選んで、ネットワーク名と設定しておいたパスワードを入力しログインします。

 システムレポートでWi-Fi項目を表示すると、802.11acで接続していることが確認出来ます。そして僕は、ご近所のネットワークはまだ802.11nとかgのままだな…ふふふ、とか微笑んだりする程度には腹黒い人間です。

共有ディスクを設定する

 活用篇と大袈裟に予告したものの、NAT機能を使ったりとかマニアックな事はてんで分からないのでした。そこでラストは共有ディスク機能をオンにして無線でのデータ管理を試してみた、という報告になります。

 これまでデータのバックアップ等はThunderboltケーブル経由か、あるいはUSB3.0ケーブルで外付けHD等に行ってきました。しかしコタツの上での作業となると、ケーブルのちょっとした邪魔がストレスになったり。そんな状況もあって「ちょっと無線バックアップを試してみたい」というちっちゃな欲望に身を委ねてみたのが今回のレポート一連というワケ。
 まずは追加購入したWD REDの3TBをあらかじめディスクユーティリティを使い、必要とするパーテーションに分けておきます。今回はiTunesライブラリとAperture 3のライブラリ、それとTime Machineに、雑データの一時保管用という4パーテーションに分け、Thunderbolt経由でコピー。802.11acとは言え、無線での全バックアップは時間がかかるのが判っていますので、MacBook Airのバックアップ等も先に有線で取っておきました。

 準備が整ったら購入篇で紹介したクレードルにHDを装着し、USBケーブルで接続。このUSB接続は3.0ではなく2.0になりますが、現実的に見て速度に不満はありません(十分に速いというワケでもないけれど)。

 接続したら、AirMacユーティリティを立ち上げて、「ディスク」で諸設定を行います。「ファイル共有」にチェックを入れ、「装置パスワード」を選択。最初、この意味が分からなかったので、リストに表示される選択肢の中から「アカウント」を選んでみたのですが、見事にハマりました。詳しくは書きませんが、とにかくハマるのでここは素直にデフォルトの「装置パスワード」で。するとAirMac extremeにログインする際のパスワードで共有ディスクに接続可能になります。つまり「装置」とはAirMac extremeの事だったのです…。分かるか!

 AirMac extremeをアップデートすると、Finderの共有にAirMac extremeに付けた名称が表示されます(図にある「2014」というのはWindowsマシン向けの表示みたい?モニタのアイコンがダサいです)。そこから接続ボタンを押してパスワードを入力すると、4つに分けたパーテーションにアクセス出来るようになります。

無線ディスクの使用感など、まとめ

 前から是非試してみたかった無線での共有ディスク。802.11ac接続のスピード感はあまり期待しない方が良いと思いますが、でも現状で全く不満はありません。ApertureやiTunesのライブラリへのアクセスも、サクサクとは言い難いが、無線によるストレスフリーな効能の方が今の僕にとっては価値があるように思えます。センチュリーのクレードルも、5分間アクセスが無いと自動的にスリープに入るのだけれど、これは消費電力の削減にもなるだろうし、復帰も割と敏感に反応してくれるので不満はなし。回転系HDじゃなくて、SSDならもっとレスポンスは良くなると思います。AirMac extreme自体の消費電力は、これまでのexpressが2Wくらいとしたら、7Wくらいになった感じ。でもUSBでの共有ディスク機能が使えるのでトントンかと思います(外付けThunderboltケースは変換チップの消費電力がチト大きめなのです)。

 Time Machineも今回から使ってみることにしたのですが、バックグランドで自動的に取ってくれるので、バックアップ忘れ防止になるのは良いですね。これまで手動バックアップでほぼ問題ナシだったけれど、何時なにが起こるか分からないので保険として優れ物だと思います。ちなみにiTunesライブラリやApertureライブラリは、今後この共有ディスクをプライマリにし、Thunderbolt接続で外付けHDを繋げた時に「Carbon Copy Cloner」でバックアップを取る事にします。

オマケ

 そうそう、睡眠導入として横になりながらiPad 2で動画やPDF等をぼんやり眺めたりしたい場合、いちいちiPad 2 にデータをコピーしたりするのが面倒な場合があります。そこでiPad 2 からこの共有ディスクへ直接アクセス出来ないか、と思いました。
 これまでは、例えば動画を見たい場合Air Videoを使っていた時期があったのだけれど、サーバーとしてMacを起動しておかないといけないとか、ちょっとした面倒がストレスでほとんど使わない状態となっていました。

 しかし「Files Connect」はすごく便利。Macを仲介役として起動しておく必要もなく、直接共有ディスクにアクセスしてくれます。しかも動作が速い。今回希望していた動画へのアクセスも問題なく、再生もスムーズ。レジュームは効かないけれど、とりあえず睡眠導入で使えれば良いので気になりません。今ならお値段600円。

 個人的にiPad などにデータを大量にコピーして外に持ち歩くということが無いので、自宅使用に限るのであればiPad やiPhoneなどは16GBモデルで十分なのかもしれません。と言うワケで今回のAirMac extremeにまつわる一連のお買い物レポートでした。非常に満足しております。