連載第1回
2011年11月6日
初めてのフェスで何故か古家具に目覚める

 歳もとって体力が衰えて久しい僕は、もう最近のライブ等でスタンディングになると辛くて辛くて、去年なんかは確か1度もライブに行ってないんじゃないかというくらいその手のイベントから距離を置いているのですが、元来人が多く群れる場所は苦手ということもあってフジロックとかサマソニなどのようないわゆる「野外フェス」という類いのものには未だ一度も出向いたことがありません。

 ところがたまたまラジオで「カフェ&ミュージックフェスティバル」なるものが週末に開催されるというのを聴いて、珈琲好き繋がりで何となく興味が湧き、朝からぶらり電車に揺られて出掛けました。場所は東京調布市にある味の素スタジアム、飛田給駅から徒歩5分という近さや、スタジアムだから観客席もあればトイレも十分にあるというのは移動が億劫なオジサンにはとてもハードルが低くて魅力でした。

とてつもなくユルユルである

 出演アーティストはパフォーマンス順に、naomi & goro、コトリンゴ、tico moon special guest 遊佐未森、アン・サリー、高野寛、原田知世。何と男性ボーカルは高野寛ただ一人、他はすべて女性というガーリーなラインアップ。フェスの趣旨が趣旨だけに演奏もアコースティックな感じにアレンジされているものがほとんどで、一日ゆったりまったりボケーーっと珈琲飲みながらまどろんでいたいという気分にバッチリなのではないでしょうか。大きく盛り上がることもなく大きな歓声をあげることもなく、ユルユルと時間が過ぎて、僕も何となく流されてボケーーっとステージを眺めて過ごしてしまいました。個人的にコトリンゴの声が好きということもあって、彼女のステージは聴き入ってしまったような。特にお気に入りの曲「おいでよ」のニューアレンジ版が良かったです。トリは原田知世だったのですが、まさかこの歳になってライブで本人による「時をかける少女」を聴くことになるとは思いもよらなかったというか、いや、それにしても皆、声は未だ若々しく永遠に変わらないですね(↑写真はステージセッティング中のもの)。

とにかくガーリーである

 フェスのコンセプトからして客層はとにかくガーリー。若い男子もどことなくガーリーな部類。そこから離れて小さな子供連れのファミリー層という感じ。今回の発見はいわゆるカメラ女子で、言葉は知っていたけれどホントに大勢いるんですね。大きな一眼レフとまではいかないまでも、ミラーレスの小ぶりなレンズ交換できるタイプのカメラを首からぶら下げて写真をバシバシ撮っている女子が本当に多かった。僕も負けじとパナのGF1でバシバシ撮った。でも負けてた。

古家具、魅惑のテクスチャ

 さて、カフェと音楽と珈琲に釣られて訪れたのはよいのですが、まあ当然というか出店されているカフェの前には長蛇の列ができているワケです。僕は行列に並ぶことが嫌い(特に食事をとるのに並ぶのはイヤ)なせいもあって、結局一度も食事せずに終わってしまいました(なんじゃそれ)。その代わりに行列とは無縁な古家具・古道具屋さんをぶらぶら眺めて過ごしたのですが、古家具、イイじゃないか。

 昔から使い古された小道具などには興味があったのだけれど、そこに流れた時間を感じるとか、それを使っていた人の姿を思い浮かべる、という詩的なものじゃなくて、僕の場合単純にその形状と表面のテクスチャが好きなんだと言うことを今さら再確認。

帰宅、即カフェ

 カフェもそこで提供される食事そのものよりは(美味しくて当然なのですし)、そこで仕事をしているマスターの人となりや、どのように演出された空間を提供してくれているのかということの方に大きな関心があったので、コンセプトを担う舞台装置としての古家具に注目してしまったのも当然かもしれません。しかし、ということはですよ、自分でお気に入りの古道具を吟味して集めれば、もしかしたら今住んでいる素っ気ないアパートも、似非まったりカフェ空間に変身させることが出来るのではないか。仕事に疲れて帰宅するとそこがカフェ。これはちょっと試してみる価値がありそうです。難点は唯一、この手の古家具・古道具屋さんの価格設定がべらぼうに高いことですが、でも先日の記事に書いたような消耗品としてのHDよりは長く使えそうな物になりそうですし、そう考えれば得られる満足は値段相応なのかもしれません。