連載第1回
2023年3月11日
シーラ・ラパーナ浄化作戦

何か有事が起きた際に、必要最小限の物を背負ってすぐに移動できるようにしておこうと考え始め、昨年、なるべく大容量でポケット多めのリュックを購入した。MOUSTACHE(ムスタッシュ)YUQ-4775、容量約28リットルである。さほど大きくなく、生地も薄いので軽いが、これと言って雨や埃に強いわけではなくカジュアルな作りである。なのでサバイバル用途には全く向いてないが、とりあえず突発的な事態にすぐ対応でき、自分の物だとすぐ分かるような目立つカラーで、逃避の役に立てばそれで良いと思った。

だが、しかし、である。

大地震、あるいはミサイル着弾などの厄災が襲ってきた場合、とにかく安全と思われる場所へ逃げる時に最低限必要な物って、自分にとっては一体何なのだろうか。まずは数日分の食料として素材グラノラを2袋くらい突っ込んでおきたい。あとは飲料でペットボトル1本。必要かつ応急処置的な薬、タオル1枚にライター。防災マニュアルとか地図とかも要る??

考え始めると、あれもこれも必要とばかり無駄を詰め込んでリュックに入りきらなくなるか、もしくはその正反対に、「緊急時なんだから身軽に走って逃げられること優先!」という感じで、例えば数日分の着替えなんて嵩張るものなど要らないだろう、とミニマム志向になったりする。とりあえず、黒ゴミ箱Mac Proは要らない。なにせ5kgもあるのだ、重いものはダメである。Mac miniでもダメだ。軽いとは言え1kg以上の金属ブロック、しかもインテル搭載でそこそこの電力が必要な物なんて持っていても無駄である。本当に大切なデータがあるのなら、バックアップしておいたSSDだけ持って逃げる。軽いし、衝撃にも強そうだ。マシンは落ち着いた後に中古動作品を入手すればいい。

そんな事を白い壁を眺めながらつらつらと考えていたら、今の自分にはもう必要じゃない物が部屋にたくさん溢れているな…と気付いた。あちら側には何も持って行くことが出来ない。
これが「シーラ・ラパーナ浄化作戦」の始まりです。