連載第74回
2016年8月18日
P-S#424:Section2「GATEパート」作り込み1
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 前回に続けて第2セクション「GATEパート(仮称)」を作り込む。昨年末にひとまずステムを作成して配置したものの、装飾部分のコントロールに不満が出てきたというか、もっと良い表現が出来るのではないかと思い、また試行錯誤してみることにした。

 以前までは装飾の抽象音も含めてステムしていたが、メインとなるGATEパートと装飾部は、後のミックスで細かくコントロールしたいので、今回はそれぞれ分けて書き出すことにした。そしてこの装飾部が問題なのだけれど、挿しているPSP N2OのエフェクトにはLFOによるランダム要素(S&H)があって、再生する度に鳴り方が変わる。楽曲のある部分に偶然あるタイミングでLFOの波が掛かると、とても素晴らしい音響を鳴らすのだが、残念ながらそれを意図的に再現させることが出来ない。なのでその瞬間を掴み取るために幾度も再生を繰り返しては同時にキャプチャしつつ、一番美しい音響が降りてくるまでひたすら待ち続けるというのが本日の作業。

装飾音の抽出

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 GATEパートは全体で7分ほどあり、今回捕獲したい「魅惑の瞬間」はその中の30秒ほどの区間に訪れる。普通ならバウンスで書き出せば良いが、バウンス中はモニター出来ないから、書き出した後に再生して確認するという一連の作業が発生してしまう(1発でOKが出れば良いが、そんなにうまくは行かない)。この無駄を極力無くすためにリアルタイムで鳴りを確認しながら録音する。そのセッティングを行う。
 上図のように、まず装飾音を生成する「abstract_A」のアウトプットを適当なバス(bus21-22)にアサインする。次に録音用のトラックを新規追加し、そのトラックへの入力を「バス21-22」に設定。録音・モニタ・再生ボタンをそれぞれONにすると、実際にモニタースピーカーからエフェクトの掛かった音を出力・確認しつつ、それを同時に録音出来る(上図では赤色の波形の部分)。最後まで再生する必要はなく、ダメだったと判断できれば即停止してやり直せるから(力技ではあるけれど)効率が良い。

メインパートのステム作成

 以前はリヴァーヴも混みでミックスしていたのを止めて、ドライな状態で書き出しする。GATE部分の残響は、全体を通して必要に応じて付加することにする。またここでもフェーダーを書き込んだり、タイミングの微調整を加える。

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