連載第105回
2017年8月18日
P-S#424:パート毎の部分修正作業その2(轟音パート)
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 他のパートに比してどうも押しの弱く感じられる轟音パートを、如何に迫力あるシーンに作り上げるか。頭の中で、現状のトラックからM−Sに分離してM成分を強調するのはどうだろうか?などいろいろ思案したが、ここは初心に戻って元素材から新規に音素材を生成し、現状のトラックへ付加する方向を試す。求めているのは粒度がありつつエッジの効いた鋭い音。近年の歪み系はとてもリアルで、実物の再現度が凄いのだが、今回試してみるのはオーディオプラグイン黎明期に作成された、お世辞にもリアルとは呼べないもの(KORG MDE-XやMOTU DP付属のPreAmpなど)。しかしそれらを他の音と混ぜると、単体時には感じられなかった良い味を出してくれたりする。GuitarRIG5と組み合わせたりして試行錯誤。

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 夜中の3時過ぎまでミックス作業。全体の大まかなバランスを取った後、オートメーションでカーブを描きながら細部を詰めていく。前回の仮ミックスとはかなり印象が変わり、さらに音圧アップはせずとも、迫力が増して気分が良い。盛大に歪み、かつエッジも立ったが、でも耳に痛いわけではなく(ここは自分の耳のためにも重要)、むしろソフトな感じがある。ところでいつになったらDPのオートメーションはベジェ曲線っぽいものにしてくれるんだろうか。

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 ひとまず第2回目の仮ミックスはこの状態でOKということにして、新規に加えたトラックをAUXもまとめてピンポン録音する。いつどのタイミングで使用したプラグインが利用不可になるか分からないから、精神衛生上どんどんピンポンしていく(もちろんCPU消費を回避するためでもある)。それで後悔することはこれまで一度もなくて、むしろ過去を振り返って当時の自分に「ナイス判断!」と思う事しばしばである。

 新規チャンクにピンポンしたトラックを再配置し、一旦ここで2回目の全体チェックに回す。当然だが、とてもシンプルな配置で、CPUの消費も最小限になっている。毎回、すぐ終わると思っていても時間がかかる。もう一度これを作れと言われても、再現することは出来ないな。

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