連載第16回
2011年12月31日
20111231

今年読んだ本を押し入れからとり出してきて
並べてみました。

こうして並べてみると
1年の12ヶ月間で
たったこれだけしか読まなかったのか
とか
思ったりもします。
今年はいろいろ、あったけれど。

個人的にこの1年は
何年ぶりか、SF短編集をひたすら読んでいた
という感覚が残っていて
まるで学生時代に戻ったような…
子供の頃から好きだったんですよ、SF。

でもエンターテインメントに浸って逃避しているような
後ろめたい気がしていたのも確か。
この歳になって、しかもこの困難な時期にSFかよ、なんて。

SF以外にも印象に強く残った本がいくつかあって
本当は個別に1冊ずつ紹介したいのだけれど
年末の大掃除で忙しいので
今回は無理矢理「写真とか」に押し込んでしまいました。
もし機会があれば、感想などはまた改めて。

最後に読んだのは
ムハマド・ユヌス『ソーシャル・ビジネス革命』
硬直化し、もはや先の無い資本主義経済に
もう一つの「考え方」を並走させ世界全体の生活レベルの底上げを目論むという
大胆かつ壮大な
自分にしては珍しいジャンルの本だったのですが
終盤、おもしろいことが書いてありました。

曰く
「今後20年先の未来を予測するのには二通りある。
一つ目は、世界で優秀な経済・科学・技術評論家に予測を立ててもらう。
二つ目は、一流のSF作家に未来予想を描いてもらう。
私ならSF作家が勝つと即答する」

なぜなら
実世界は人々の空想によって突き動かされているから、だそうです。

僕も常々
評論家は既にある事象に新しい言葉を与えるのが役目だけれど
(SFに限らず)作家は、その気になれば未だ無い世界を創り出すことが出来る
と思っているので
ふとしたきっかけで再びSFを読み続け
時に秀作に出会い大いに感動させられたこの1年も
無駄ではなかったかな、と

少しだけ救われた気がしました。