連載第6回
2022年5月2日
報告あるいは宣言、追いやられた詩のようなもの

こんばんわ、サッポロ一番ミキ春です。

誰も望んでいない形で降ってきたこの激動の時代、もしくは率直に日本衰退局面と言える状況の中、首都圏では相変わらずマンション・ラッシュらしい(買っているのは外国の富裕層が多いとか)。
そんなこんなで、スーパーの買い出しから戻ったら、アパートの郵便受けにチラシが差し込まれていました。一瞥して覚える違和感。

マンションポエムが消え失せている。

マンションポエムと言えば数年前、大山顕氏によって瞬間風速的に一世を風靡したあの、アレの事です。詳しくはコチラの記事を参照してください。

マンションポエム徹底分析!(デイリーポータルZ)

しかし、チラシ中央にドンと鎮座する「堂々完成」とは一体どれだけ投げやりなキャッチ・コピーなのでしょうか。これではまるで「新装オープン!」と幟を立てている近所のパチンコ屋と同レベルのような気がします。この4文字は言わば単純に「社長!竣工しました!」みたいな「報告」ではないでしょうか。もうちょっと格調高めに言い換えれば「宣言」…とか?

そんなことを思いながら部屋に持ち帰って律儀に撮影をしていたら、消え失せたと思っていたポエム…の欠片ようなものをチラシの右方向斜め上に見つけました。

「光景(シーン)となる象徴(シンボル)」

ごめんなさい。これは笑ってしまいました。どこが可笑しいって、わざわざルビを付けて「シーン」「シンボル」と言わせようとしているところです。実際に発声している音のみを文字に置き換えてみます。

「シーンとなるシンボル」

わははは!シーンとなるシンボル。これは薄い、薄過ぎます。もしかしたらディレクターは「よし、韻を踏んでいる」と思っているのかもしれませんが、ダメです。得心しました、ここにマンションポエムは報告あるいは宣言のようなものに敗北したのです。完成。

※でもこれは「モデルルームが完成したよ!」ということを告知するだけのチラシだから、斥候なのかもしれません。だとしたら、ラスボス(のチラシ)はそれなりのポエムを抱えてまだ本番待機しているのかも。どちらにせよ、私には関係のない界隈のお話です。

報告あるいは宣言、追いやられた詩のようなもの