連載第7回
2023年7月17日
CASIO Casiotone MT-40

CASIO MT-40、懐かしの「カシオトーン」。中学1年生の頃だったか、買ってもらった人生初のキーボードである。上京する際、余計な物は狭いアパート部屋を圧迫するので持ってこなかったのだが、だいぶ年月が過ぎてから「記憶に残るあの音は、本当に記憶そのままの音だろうか?」と思い、中古を購入した。

記憶の確度を確かめるように買い直す。こういうことを幾度となく繰り返してきたように思う。そして、確認することで目的を終えてしまう。

左側にあるベース用のミニ鍵盤と、メインの鍵盤をユニゾンで弾くと、微妙なデチューンが掛かった太い音が出せ、子供心に感動した。チープなリズムは後に「スレンテン」として有名になったらしい。

ピアノを習えるような家庭では無かったので、もちろん鍵盤楽器を弾けるわけではなく、その後も弾けるように練習もしなかった。ただ、好きな楽曲を練習してコピーしようという発想は端からなく、ひたすら適当に鍵盤を叩いてオリジナル曲を作るのに没頭した。今でも、既存の楽曲をコピーしようという感覚が全く無い。

記憶の確度を計測する為に買い直し、そして、あの頃の音と同じだったと確認を終えてもう満足した。キャッチ&リリース。