連載第17回
2021年10月4日
高性能過ぎる iPhone 13 Pro を見て思った
「そう言えばスティックPCってあったよね」

PHSはおろかガラケーとかスマホとか、携帯電話なるものにお世話にならぬまま20年近くが経った。先日遅れてiPhone13やiPad miniが発表されたAppleイベントの動画を見てみたのだけれど、もう何がなにやら全く付いていけなくなっている自分が居た。日常のあらゆる場面で(例えばレジに並んでいる行列の末端で)、デジタルネイティブな世代にはもう太刀打ち出来ないと気付かされる。

誰が必要としているのか分からないくらいの性能

最早、自分にはiPhoneと言うそのネーミングそれ自体が滑稽に感じられるほどの高性能。かつて「マイコン(マイクロ・コンピューター)」と呼んでいたシロモノはマイコンでは無かった。明らかにiPhoneは「電話」ではない。恐ろしいくらいの性能&多機能がその小さなボディの中に詰め込まれ、これこそ「マイコン」と呼ぶに相応しい。実際、中古スマホ取り扱い店のスタッフに話しかけたら「うーん、今は通話ってメインのサービスじゃないです。あくまでデータ通信がメインで、スマホはそのサービスを使うためのツールです」と説明された。なるほど、そうなのか、なかなか説得力のあるスタッフだった。

明らかにiPhoneハイエンドは型落ちMacBook Airより凄いハズ

自分は今でも簡単なテキスト書きやwebブラウズなど、軽めの作業ならサブマシンの2013年型MacBook Air11インチで行っている。しかしおそらく、近年のiPhoneの方が8年落ちのノート型Macより性能が良いに違いない。ならば、iPhoneで物理キーボード、小型のモバイル液晶モニター、ワイアレスマウスが使えるようにすれば、すぐAirの代替になってしまうのではないか。ユーザーが状況に合わせ、iOSからmacOS(もしくはデスクトップモード)に適宜切り替えられればそれで良い気がする。Appleにその気はないけれど。

スティックPCというジャンルがある

今も人気があるのかどうか知らないけれど、数年前に少し話題になった「スティックPC」という棒状のパソコン。iPhoneなんてもうパソコンなんだから、キーボードとマウス、ディスプレイが繋げられれば超小型Macになるのに…と妄想してしまうのである。こちらの「Skynew スティックPC」という製品なんて、メモリもストレージもそこそこだけど値段もアホのように安価である。なぜ頑なに「iOS!iPadOS!macOS!」と分けてしまうのか…。中身はApple Siliconで統一出来るんだから、TPOに合わせてOSの方で柔軟に差分を補完し合えば良いではないか。でもAppleにその気はない。そんな意固地なAppleが嫌いである。

USBドックの形状再考

片方の世界ではandroidはクラムシェル型のディスプレイ&キーボード一体型ドックなんてものが作られており(↑こちらのMirabookとか)、OSをデスクトップモードに切り替えればパソコンみたいに使い勝手を良くすることもできる。個人的にはこちらの発想の方が合理的に感じられるし、OSをコアとしたエコシステムとしても理想的と思う。

Microsoftの「Surface Laptop Studio」

一方、9月22日に発表されたMicrosoftの「Surface Laptop Studio」も一つのスタイルの提案で、ガジェットとしてはちょっと嵩張って機械っぽくてスマートさに欠けるけれども、システムの考え方はシンプルな気がする。形態が変化したら使い方を変えるというのは、ユーザーには分かり易い。対して、AppleがiOS、iPadOS、macOSのそれぞれで微妙に作法を変えているというのは、無駄に覚えることが多くなって気持ちが忌避してしまうように感じられる…というか、急速に記憶力の衰えた自分はもう覚えたくないのだ、新しい使い方やルールなんてものを。