連載第42回
2022年8月28日
さよなら iPod touch

まだ狂ったような酷暑が始まる前の今年の5月、遂にiPod touchの販売終了というニュースが流れた。iPhoneやAndroidが重要な社会インフラとなるまで拡大した中、これまで良く販売を継続していたものだと思う。

部屋の片隅にある机上に放置されていた初代iPod touchに古い黄ばんだ専用のUSBケーブルを繋いで充電し、電源ボタンを押してみたらまだ起動した。

上の写真は初代iPod touchで、発売当時真っ先に予約購入した。幾らで購入したのか調べてみたら、16GBで何と「46,476円」という結構なお値段だった。ノーマルなiPodも持った事がなかったので、音楽プレーヤーとしてかなり重宝した。

僕はタッチパネルに未来を感じていたのだけれど、職場の同僚にタッチパネルの挙動など見せてみたのだが反応は薄く、「Appleがまた何か新製品を出したらしいけど興味無し」程度のリアクションだったが、その後ようやくiPhoneが国内で販売開始となり…そこから今に至る状況はもう説明するまでもない。

辛うじてWi-Fiには繋がるものの、Safariのバージョンが古くて、このサイトに接続しようとしても「サーバーにセキュリティ保護された接続を確立できませんでした」と蹴られる始末。

そんな初代iPod touchは矢継ぎ早に繰り出されるiOSのバージョンアップの途中で早々に対象外となり、iPod touchの第5世代の中古、続けて第6世代をまた中古で買った。しかしその頃にはもう音楽をイヤフォンで聴くこともなくなり、主な用途は悲しいかな、外出時での時計代わりがコイツのメインの仕事となった。あとはメモアプリで用事に必要なメモ(電車の乗り継ぎとか、目的地の地図とか)を事前に転送しておくくらい。ごくたまに画像の悪いカメラで撮影したりもする。つまり外出時も常時接続な世間一般とは、今なお全く切り離されているのである。アパートから外出したら最後、誰も僕を捕捉することは出来ない。
そんな第6世代もバッテリーがへたってしまい、フル充電してもすぐ干上がるようになってしまった。なので、自宅で寝転んでネット記事を読む場合はiPad Pro(Wi-Fi)ばかりである。

というわけで、さよなら iPod touch。

しかし近いうちに第7世代のiPod touchを中古で買うかといえば、流石にもうそれは無いと思う。この白い第6世代がダメになったら、遂にiPhoneデビューすることになるのだろう。人生初携帯電話のXデーは近い。ただし最近のiOSの余計なお節介レベルを超えた「それ誰が使う機能?」というゴチャゴチャ感にはドン引きしてしまう。あれもこれもと詰め込んで誰も幸せになれないiTunes状態を土台となるOSでやっているのは危ないんじゃないか。どこかの新参メーカーが「めっちゃシンプルにしました!」と登場したら一気にそっちに流れるんじゃないかというくらい、今のごった煮感は自ら危機を呼び込んでいると思ったりする。相変わらずそんなアップル様が嫌いである。