まわるフリフリのフリ
FLFL
MODO ― 連載第2回

アナログかデジタルか?は音楽だけの話ではない

2014年10月26日

 昨日、久し振りに丸一日の休みが取れたので、MODO Professionals セミナー vol.5 「MODO デジタル造形セミナー」にぶらり出かけてきました。新宿から埼京線を経て初めて、りんかい線「東京テレポート駅」を訪れたのですが、こう、何と言うか、清潔感溢れる全体の街の作りの

やっちゃった感

が凄かったです。コンセプトもビジョンも中途半端に古くさいというか、エリア全体が「企画モノ」臭でいっぱいで、そこでは自分が一消費者であることを終始強要される感じがするというか。あ、すみません、別に悪気があってこのエリアを非難しているわけでは無くて、これから歳月が流れて、果たしてこの街は味わいのようなものを醸成することが出来るのだろうか…という興味は強くあります。あるいは建築物の外観がダサい、という単純なことなのかもしれませんが。

ざっくりと内容紹介

 いきなり閑話休題しました。上記リンク先にもあるように、今回のセミナーはデジタル原型師 浦川顕法氏によるワークフロー解説がメインだったのですが、日本3Dプリンター株式会社によるパーソナル3Dプリンター「UP!Plus2」の製品紹介もとても興味深かったです。3Dプリンターの話と言えば、古くは2年前に読んだクリス・アンダーソン著『MAKERS―21世紀の産業革命が始まる』からあるけれど、実は3Dプリンターの実機を見るのも出力サンプルを見るのも初めてだったので、これまでテキストの文字情報でしか得てなかった知識がドバッとアップデートされた感じがしました。「UP!Plus2」をオススメする理由として、まず台座の水平調整が非常に簡単なこと、出力された完成品と土台部分(サポート)の取り外しが簡単なこと、この2点を強調していました。なるほど、説明を聞けば納得というか、積層型の場合、とにかくプリンターが水平な場所に設置されている事が重要なわけで、モニターのカラーキャリブレーションみたいな基本的な事なのですね。他にもプリンターには「静音性」が重要だと言うことを強調していました。詳しくはコチラ。

 また会場となった「コワーキング・スペースMONO」のコンセプトも面白かったです。ざっくりまとめるとモノ作りに特化した空間の低廉提供サービスという感じでしょうか。

 さて、浦川顕法氏によるワークフローの大まかな流れは、MODOでモデリングしたTスタンスの素体に「Auto Character Setup Kit(ACS)」でスケルトンを仕込んで、キャラクターにポージングを施し、髪や衣装の流れを決めて一旦フリーズ。そこからGOZを経由してZbrushにインポートし、ディテールを作り込む、というものです。MODOにもスカルプト機能が追加されましたが、やはりその分野はZbrushに一日の長があるようです。商品になる際、作り込んだディテールは製造機の制約により若干スポイルされてしまうところも在るらしいのですが、しかし、キャラクターに付属する揺れモノの作り込み具合によってリアリティが増減するのは確実です。キャラ主体よりオマケの衣装の方が重要。曲がりとか、なびきとか、シワとか!

アナログは劣化する

 今回の題材となった『幻影ヲ駆ケル太陽 太陽あかり』については残念ながら全く分からないのですが、元々2Dだったものが立体化されることによって付加価値が生み出されるというのは、一体どういうことか。僕も子供の頃は「超合金シリーズ」といったオモチャが大好きでした(メカゴジラが一番のお気に入りだったが、ロケットで飛び出す手首をすぐ紛失した)。元は映画やアニメだったもの(2D)から、手に取って遊ぶことの出来るオモチャ(3D)になることで、映像の中にあった物語とは別の物語を自分で妄想することが出来る、というのがそれら玩具に付加された価値の1つであることは確か。しかしフィギュアとして実体化された物は、生まれた時から劣化が始まるのです。

 さて、実は何だかんだ忙しくてMODOをいじっている時間を確保できず、購入してから全く何一つもモデリング出来ていないのですが、個人的に作っておきたいと思っているのが、この名も知らぬ不気味なキャラクター(首が取れると怖い)。お気に入りでツイッターのアイコンに使っていたりします。昔は塗装の発色も良くてしっかりしていたのだけれど、やはり経年劣化でどんどん色褪せ、モノとしての状態も悪くなってきました。

   2001年の頃の様子

   最近の状態。不気味で意味不明なのは変わりない。ましてや可愛くもない。

 これを一度モデリング、もしくは3Dスキャンしてしまえば、デジタルとして記録保存、必要に応じて複製・実体化可能となります。

デジタルかアナログか、という耳タコな話

 そこで行われるのは価値の形態移行です。以前から音楽界隈ではデジタルCDとアナログ盤、どちらの音がイイかという話題が盛んですが、ほとんどの人が議論の本質を見誤っていると。一度スピーカーからの空気振動に変換されてしまえば、そこで比較されているのはデジタル vs アナログの対立ではなく、素材変換時の物理的装置の特性比較、音声信号の経由による差異を議論しているに過ぎないということ。極端に言えば、音楽を聴く人の鼓膜が生まれたときの鮮度をどれだけ保てているかという事もファクターに含めないといけません。
 「デジタル」と言う時、そこには価値が記録保存されているということのみに注目すべきで、その方式がPCMかDSDかというのは別問題。記録された状態に留まる限り、音楽のみならずテキストだろうが映像であろうが、価値はまったく生成されません。しかし、どのように実体化させるかで、価値は大きな変化を伴って生成される。ある方法ではゴミ以下、また別の方法では1000倍の価値を生む事も在り得るのです。そして価値を有する物は、必ず劣化がオマケで付いてきます。漏れなく。

 フィギュアのモデリングに話を戻せば、立体物として実体化した時に、そのキャラクターのファンが1万円払ってもいいと納得できる仕上がりを目指す、と浦川氏は説明していました。そのために精度を上げる努力やノウハウの蓄積には惜しみないエネルギーが投下されます。ではそれを実体化(商品化)する際に、もう一つ次のレベルに到達するのに必要な技術革新は何だろうと考えたのですが、まず1つは大量生産時の「塗装」なのではないかと個人的に思いました。

なんかガンダムが駅の向こうの方に見えたのですが、全く興味が湧きませんでした。