連載第36回
2016年2月20日
3−3:Pixar社のサブディビジョンサーフェイス

 前回登場したSDSの別バージョンというか、みなさんご存知のPixar社が開発したPsubというツールもMODOは搭載しているそうな。というか、教本『MODO★Beginners』によると、世間一般で汎用性のあるのは今回のPsubの方で、MODOオリジナルのSDSとは若干モデルの仕上がりに違いがあるらしい。

 ざっくり言えば、他のアプリケーションと連携して作業を行うのであればPsub。MODO内で完結してしまうのであればSDSを使うのが良いみたい。データ量はPsub方式だとかなり複雑なモデルの場合は重くなるそうで、MODOのSDSの方が軽いとのこと。モデルの仕上がりに違いがあると言っても微々たるもののようなので、そこは状況に応じて判断してください、という事のようです。

 ちなみに通常のポリゴンモデルをPsubに変換するには「Shift+TAB」キーを押します。

Psubの境界規則

 今回のセクション、教本『MODO★Beginners』では一旦モデリングを休んで、Psubの特徴について簡単に説明されているのですが、実際に試してみます。まず立方体ツールを使って上図のような平面ポリゴンを作成(↑)。

 四隅のポリゴンを削除してこんな感じに(↑)。

 これをTABキーでSDSに変換したり、Shift+TABキーでPsubに変換したりして違いを探してみたけれど、シンプルすぎてよく分からない。いや、ここではそれが目的ではなくて「境界規則」について。MODOの中でポリゴンの境界というのは「2つのエッジしか出ていない頂点」を指す。超シンプルな2Dの正方形で言えば、それを構成する4つの頂点が「境界」ということになります。

 Psubではその境界についての挙動をプロパティのサーフェイス・タブにある「境界規則」で指定することができ、3択のうち例えば「全てを折り目に」と指定すると上図のように「(ポリゴンの)境界」がカチッと固定されて角が立ち、グニョっと丸まらないように出来ます。

エッジウェイトツール

 Psubの境界規則みたいにエッジを立たせることを、MODOのSDSでも行えるようにするのがエッジウェイトツール。メニューのそんな場所にソレはあります。

 立方体の左側のエッジをグルッと選択し、TABキーでSDSへ変換。

 エッジウェイトツールを起動して、スライダで数値を変化させてエッジの立ち方を設定。

 100%でカッチリと角が立ちます。もともと立方体だったものが、弾丸のような形状に様変わり。

マルチレゾリューション(スカルプト)

 その昔、Lightwave3Dの頃からSDSは馴染のあるツールですが、modo 601からだったか3Dでのスカルプトツールが実装されました。マウスで絵を描くようにビューポート上のモデルを変形させていくことが出来るツールで、その方面では断トツでZbrushが高機能ですが、MODOのそれもモデリングの補助くらいには使えるようです(というか、これから初めて使ってみるのだが)。このツールを使用するには、今回自習しているPsubで変換していることが必須らしい!

 まずシンプルな立方体を作り、Psubで変換、プロパティでサブディビジョンレベルくらいに上げておいて、マルチレゾリューションにチェックを入れます。これで準備完了。画面左上にあるスカルプトをクリックしてツールパレットを表示させ「押し出し」を選択。

 マウスの右クリックで筆の大きさを変更しつつ、Psubで丸くなったモデルの表面を適当になぞってみます。するとブニョブニョと表面が盛り上がってくる。

 なるほど、これは有機的なモデルを素早く作成するのに役立ちそうです。ちなみにスカルプトして変形させたモデルをポリゴンにフリーズさせると、下図のように多くのポリゴンで形成されているのが分かります。サブディビジョンレベルを上げるともっと細かなポリゴンに分割されるのでしょうが、そうなるとビデオカードとかより高性能のものでないと操作が重くなってしまうようです。現状、レベル4でもスカルプト作業は旧型Mac Proでは重く感じますが、OSXのEl Capitanで拡張された「Metal」にMODOが対応すれば(とりあえず将来対応の表明はしているようです)、グリグリ出来ようになるのかもしれません。まあもちろん、新型のMacハードウェアじゃないと恩恵は得られないと思いますが。