連載第42回
2012年8月5日
P-S#424:その4「デモ版(ほぼ完成なβ1)」

 20年以上昔に作った素材となる原曲が、良く言えばフリー、悪く言えばテキトーな感じで7分30秒もだらだらと流して演奏していることもあって、今回加工するにあたりどのタイミングでどう展開させるのか、というイメージを固めるのに結構時間がかかりました。そこで、この場面はこんな感じで…と気に入ったミックス設定をレシートの裏にメモっていきました。なんだそれは。いや、僕、まるで楽譜読めませんし、いつもこんな感じ。言い訳にはならないケド。

全部で8トラックになりました

 前回はAUXトラック3本と書いたけれど、アレコレ作業を進めていくうちに欲が出て結果的には7本に(でも、頭とお尻をトリミングしただけで、素材波形の切り張り等は全く行っていません)。素材トラック含めて合計8本、それぞれに自分としては比較的細かくオートメーションを書いていきました。
 今回、元素材トラックに直接挿したプラグインはLSRという新興メーカーの「WARMultipress」という真空管シミュレート系プラグイン1個。素材自体、カセットテープで録音したものだから、昨今流行しているテープシミュレートを使う必要もないのですが(曲頭の一瞬、カセットらしいテープヒスが聴こえます)、若干元気付けて自分の気持ちにやる気を起こさせるのは大事。FLUX StereoToolは例えばエンディングのオーケストラチューニング(あるいはパイプオルガン?)っぽい重厚な音を強制的にモノラルにしたりするのに活用しました。最後の最後でLexiconに送って広げてます。

今回使用したプラグイン一覧

  • LSR WARMultipress
  • UAD Lexicon 224 Classic Digital Reverb
  • UAD SPL Transient Designer
  • UAD Precision Limiter
  • Cycling’74 Pluggo
  • PSP 85
  • PSP 608 MultiDelay
  • PSP N2O
  • PSP Nitro
  • SoundToys Crystalizer
  • SoundToys Decapitator
  • FLUX VERB
  • FLUX StereoTool
  • MOTU Pattern Gate

ほぼ完成2ミックス


P-S#424 ― ほぼ完成なβ1 ―
P-S#424 ― DEMO / SAMPLES ―
flfl.me

 上に掲載したのは、DP7のプロジェクトから直にmp3で書き出したもので、レベル上げなどのマスタリング処理ナシ、サンプリング周波数は32KHz、ビットレートは128Kbps。なのでかなり音質は悪いのですが、ちゃんとした質感に仕上げた作品紹介はまた別のところで。

 それにしても、学生の頃に暇つぶしで作ったモノを(当時はそれなりに真剣に楽しんだんだろうけど)、まさかオッサンになった未来の自分がリミックスすることになるとは夢にも思わなかったのですが、ただの実験で没ネタだったものがこうやってある程度は聴けるモノにトリートメントされて、なんか自分でも気に入っちゃっているというのも、とても不思議で感慨深いものがあります。丸1日ぶっ通しで試行錯誤を続け、ある瞬間、PSP Nitro等、数種類のプラグを組み合わせて「水滴」っぽい音が作れた時に、自分の中でこの曲の世界観が決まりました。残念ながらNitroはもう廃盤です。