連載第47回
2012年9月30日
蝉時雨:その4「架空の蝉を生成する」

 ヒグラシとかツクツクボウシとか、アブラゼミ以外の蝉も多種多様に混在していれば、この夏の風物詩も味わい深いものになるとは思うのだけれど、あいにく僕の住んでいる近所ではやはりアブラゼミが幅を利かせていてどうも華がありません。そこでいっそのこと蝉の鳴き声らしきものをゼロから作り出してしまうのはどうだろうかと思い立ちました。ピアノの旋律をプラグインに通して虫っぽいノイズを、しかしそこは耳に柔らかい、夏の終わりに蝉と秋虫が交差してゆく時のような、ハイブリットされた新種のような雰囲気の鳴き声です。


蝉時雨 ― ピアノの音から架空の蝉の鳴き声を生成する ―
蝉時雨 ― DEMO / SAMPLES ―
flfl.me

 「カーーーーーーン!」を通り越した24秒あたりからその「架空の蝉の鳴き声」が登場します。ピアノの音をAUXに送っているので、ピアノのフレーズに呼応しているような雰囲気も感じられたりして、個人的にはとても満足しています。しかしこの曲はこのような耳に優しい、温和な感じでは無く、より過激になっていくのでした。つづく。