まわるフリフリのフリ
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放談ラジオ ― 連載第54回

Searching for SYLVEINE(ブルボン・シルベーヌを探して)

2014年2月11日

 昔々、上京して日雇い肉体労働を転々としつつ、しばらくしてようやく生活が落ち着いてきたところでふと「納豆が食べたい」と思いました。そこで近所のスーパーをいくつか探し回ってみたのですが、田舎で好んで食べていたいつもの納豆のパッケージは見つけることが出来ず、とりあえず買ってきたものを開けて驚いたのが豆粒の小ささです。そう、僕が買ってきたのは「極小」というもので、そんな小さな納豆を田舎ではこれまで食べた事がなかったのでした(「小粒」が昔食べていたものとだいたい同サイズになることに後で気付きました)。とりあえず適当に塩をふったりして、僕なりの味付けを施し食べてみたのですが、これは同じ納豆ではあるものの、風味と言い食感といい、あの長く慣れ親しんだ味とは似て非なるものでした。その後、近所のみならず一つ駅を離れた隣町のスーパーにまで遠征して、売られている納豆を全て食べ比べてみたのですが、やはり記憶に残っている風味とは微妙に違い(メーカーが違うのだから当然ですが)、今はその中で最も近い味がするものを見つけ、納得しています。

 またしばらくして今度は「ピケ8」が食べたくなりました。子供の頃、その絶妙な塩加減とバターの香ばしさの虜となり、田舎では20歳を過ぎても時折コンビニ等で見かけては買って食べていましたが、しかし何と東京では何処のスーパーの棚にも置いてありません。たった一度だけ、どこかのスーパーで偶然見つけ、すぐさま購入したことがあったのですが、しかしそれ以来二度と目にしていません。

 東京暮らしを始めてから、日本狭しと言えど、何処でも同じ食材が手に入るわけでは無い、ということに気付きました。また同時に知ったのは、幼少期から慣れ親しんだ味を忘れることは非常に難しいという記憶の刻まれ方の強さ、そして機会があればまたそれを食し小さな幸福感に浸りたいと願う欲望の強さでした。

寿がきやのラーメンに、日吉で出会った

 中部地域では方々に展開されている「寿がきや」というラーメンのチェーン店があります。ここも部活の帰りなど、空腹を満たすため仲間と一緒に幾度となく訪れた店なのですが、あのジャンキーな味がふと突然思い出され、オッサンになった今も無性に食べたくなったりする時があります。この店もまた東京では全く見かけないのだけれど、十数年前のある時、所用で出かけた日吉の駅近くにあったショッピングセンター内で偶然「寿がきや」を発見。もちろんすぐにお店に入って懐かしいラーメンを注文し平らげました。うろ覚えですが田舎の頃は190円くらいだったか、とても安くて貧乏学生の僕には助かりましたが、今ネットで調べてみた530円にもなっていて驚きました。余談ですが、カレーハウスCoCo壱番屋は東京進出を果たし、今ではすっかりお馴染みになりましたね。いつの間にやら近所にも店舗が出来ていました。

シルベーヌ「ほろにがショコラ」を探して

 そして目下のところ問題はブルボン「シルベーヌ」が何処にも見当たらないということです。僕は珈琲が大好きで、安くて甘い定番チョコケーキ菓子をよく合わせて食べるのですが、今でも幅を利かせている競合他社の同類品と比べ、シルベーヌの微妙な味わいと絶妙な食感は頭一つ抜けており、特に派生商品である「シルベーヌ ほろにがショコラ」の魅力にメロメロです。確か数年前までは普通に入手出来ていたハズなのに、気付いたら近所のスーパーの食品棚からすっかり姿を消してしまいました。特売品コーナーに1日限りの限定特価で山積みされているところに偶然鉢合わせした時には、迷わず5箱くらいまとめ買いするのですが、通常のシルベーヌですら、その機会がだんだん少なくなっているような気がします。

 そこでふとamazon内を検索してみました。何と普通に売っているではないか、「シルベーヌ(×5箱)」。実は食品をamazonで探した事がほとんど無いというか、通販で食品を調達するという習慣がまるで無いので今まで思い付きさえしなかったのだけれど、ではあっちの方はどうだ、と思いチェックしてみたら、現在売り切れ中ではあるもののリストされているようです「シルベーヌ ほろにがショコラ(×5箱)」。おまけに「ピケ8」までちゃんとある。さすがに大好物である「赤福餅」は無かった。

 リアル店舗ではこちらの思いもよらないような、目に見えない力関係とかその他様々な理由で熾烈な商品棚の場所争いがあるのでしょうが、確かに当時からシルベーヌは他の同類品に比べ若干値段が高かったような気もしますし、そのせいで売り上げランキングを下げ、棚に置かれる機会を逃してしまったのだとしたら、僕のようなファンには残念で仕方ありません。それにしても、改めてリアル店舗に課せられる商品棚確保の制約とは無縁なamazonのロングテール商法、全く驚異的です。

しかしまだ、amazonで食糧を調達するのには躊躇いがあるのですが、陥落するのも時間の問題かと…。