連載第13回
2012年8月16日
アップル Thunderbolt to Firewire Adapter(MD464)を試す

 今年の6月に新型のMacBook Pro Retinaモデルが発表された際、その筐体から省かれたFirewireインターフェースを当座補うアイテムとして「 Thunderbolt to Firewire Adapter」が紹介されました。Thunderboltが遥かに性能面でFirewireを凌駕するとは言え、長い時間をかけて一般に普及し信頼も得ているFW周辺機器をすぐさま置き換えることも難しいわけで、これまでの資産を活かす意味でもこの手のアイテムが登場するのは必然なのですが、Apple自ら用意してきたのは少々意外だったりしました。とは言っても手持ちのMacでThunderboltを装備しているのはMacBook Airのみ。何が何でもMacBook AirでFirewireを使わなければならない状況でもなかったのだけれど、以前からちょっと試してみたいことがあって、先日在庫アリになった時点でアップルストアから取り寄せてみました。

新規購入のapollo単体でも、以前購入済みのプラグインライセンスは有効なのか?

 実はapolloの購入を検討し始めたとき、これまでMac Pro+UAD-2カードの組み合わせでライセンスを購入してきたプラグイン達を、そのままapolloで使えるのかどうか?というところが良く分からなかったのです。もちろんMac Pro+UAD-2カード+apolloというように、これまでのシステムにapolloを追加する状況であれば問題なくプラグインは使えると理解できていたのですが、例えば外出時などでMacBook Pro+apolloという組み合わせで持ち出した場合、UAD-2カードが無くても外出先でこれまで購入してきたプラグインを問題なく使用できるのだろうか?と。UAD-2カードも一緒でなければライセンス無効だよ、というのは避けたい。その疑問を代理店に問い合わせてみたりしたのですが「たぶん大丈夫」という感じで、明確な回答が得られなかったので、この機会にテストしてみました。
 まずはタイミングよくリリースされたばかりのUAD Software v6.3を早速ダウンロードし、MacBook Airにインストール。

 次にMacBook Air本体に購入した「Thunderbolt to Firewire Adapter」を挿し、それを中継してFirewire800ケーブルをapolloに接続。そしてapollo電源オン。

 すると、何ら問題なくapolloを認識してくれました。とりあえずapollo本体の方にThunderboltオプションが無くてもFirewire経由でMBAのオーディオIFとして使えそうです。

 さて次は購入済みライセンスがこの状況でも有効なのかどうかの確認。マイアカウントでUAのサイトにログインし、普段Mac Proで使用しているシステムの組み合わせ(既に今回のapolloは登録済み)でオーソライズファイルをダウンロード。UAD Control Panelにドラッグ&ドロップして認証処理を待っていると…お、問題なく認証されたみたい。
 UAD-2カードは無いしMac Proでもないけれど、同一のアカウント内で作ったシステムの中に今回新規購入したapolloを登録していれば、既に購入済みプラグイン全てのライセンスはapolloに紐付けされて外に持ち運べるようです。これはホントに利便性が高い!

 それではということで、試しにDP7のプロジェクトを開き、いくつかプラグインをチャンネルに挿してみると…おお、MacBook Airの小さな11インチ液晶モニタにレキシコン等々がちゃんと立ち上がっているではありませんか。アダプター経由のFirewire800でもとくに気になる信号遅れは感じられません。でもさすがに2011midのAirの基本能力では、いくらapolloのDSPを外付けで使っていてもすぐにファンが回り始めて実際の作業では使えないのだけれど(というか、狭いです、11インチ)、来年HaswellなMacBook Proが登場すれば、現状の音楽作業環境を何ら問題なく移行できそうだと分かりました。Mac Proのリプレースもすぐそこでごじゃる!