連載第32回
2013年1月23日
暖房機 Mac Pro Early2008 強化作戦:X5460 3.16GHz CPU換装(3)
これから交換するCPU

 長い、あまりにも長い前置き(関連記事その1関連記事その2)を経てようやくCPU交換工程のレポートです。あまりに前置きが長すぎたせいで今回はメインイベントであるにも関わらず、まるで感動が薄っぺらなものになってしまうかもしれませんが、しかしそれもまた一興ではないでしょうか。

 そんなことはさておき、前回苦労の末手に入れた「俺の六角」。たぶん、この時、僕は風を掴んだような気がします。そこからの作業進行の早かったことと言ったら。では早速中型ヒートシンクの撤去を行いますが、まずヒートシンクから伸びているケーブル(おそらく温度センサに繋がっている)のコネクタをロジックボードから外しておきます(レッドの矢印)。続けてブルーの矢印で指したネジ3本と、見えてないけど中型ヒートシンク裏の奥にあるネジ1本。「俺の六角」をゆっくり奥底へ差し込むと、果たしてボールポイントはネジ穴に見事リーチしたのでした(ホントにギリギリで届いたのでよけいに大感動)!この時、あまりに気分が高揚しノリノリだったせいか写真撮影するのを失念してしまったのだけれど、例の「45度チマチマ回転大作戦(仮)」は目論見通りに大成功。文字通りチマチマとネジを回して外し終え、ヒートシンクをグリグリ動かしてやるとグリスが剥がれて、ゴボッと抜き取れました。ネジはバネ付きでヒートシンクに取り付けられているので、うっかり無くすことはないでしょう。


グリスはアルコールタオルで拭き取っておく

 ヒートシンクを取り外すとチップとの接着面にグリスが残るのですが、空気に触れて凝固してくると後々面倒なので早めに取り除いてしまいます。この時に便利なのが、アルコールタオル(ティッシュ)。近所の薬局やスーパーなどで百数十円で売られているもので大丈夫。今回は季節柄「除菌できるアルコールタオル!」ということで余った分を活用出来そうな「エリエール」をチョイス。「手にやさしい、アロエエキス入り」という、いかにも日本的なアピールにも惹かれました。

 普通のティッシュだと確かにこういう残グリスは非常に拭き取りにくくて、残りカスがあると再度グリスを塗って組み立てる時に隙間が出来たりして熱伝導効率が下がるので、ここは出し惜しみせずエリエールを用意しておきましょう。

サクッと取り外してLGA771ソケットさん

 そしてついに、ロジックボード上にはこの白い巨塔が二つ聳え立っているだけとなりました。これらを撤去してしまえば、その下にはCPUが鎮座しているハズ。ちなみにヒートシンク上にグニャリとヘの字に折れて乗っかっているのはスポンジっぽい緩衝材です。

 これを留めているネジは中型ヒートシンクと同じなので、ここでも「俺の六角」が使えます。サクサクッと取り外してゆきます。写真では端折ってるけれど、ネジを緩めるとき(締めるときも)は対角の順に交互に緩めます。若い人はそういうこと知ってるのかな?

 そうそう、このヒートシンクにも温度センサからのケーブルがロジックボードに繋がっているので、それぞれ1本ずつの計2本を最初にコネクタから外しておきます(レッドの矢印↓)。

 そして2つの白い巨塔が取り除かれ…双子のLGA771ソケットさんこんにちは。

そしてE5462 → X5460へCPU交換

では抜きます。

留めピンを押して、上げて。

開いて。

ポン。

 抜き取ったXeonはE5462(左側)。これを用意したX5460(右側)と交換します。ちなみに2個セット1万5千円ほどで購入しました(もちろん中古↓)。そうそう、取り外したらグリスを拭き取っておきます。

ヒートシンクを横に置いてみました。スチームパンク!!

 中古のX5460をLGA771ソケットに載せて、後はこれまでの逆工程を辿り組立てるだけ!「あれ?このネジ何で余ってるんだろう…」という定番のミスは無しで。コネクタの差し忘れにも気をつけましょう。

 でも毎回悩むのは、実はシルバーグリスを塗るときだったりするんですよねえ(本当はAINEX シルバーグリス [AS05]を使いたかったんだけど、持ち合わせてなかったので以前買ったシルバーグリス10.0g SG-77010を今回も使用)。

 「たくさん盛らない」というのは説明書にも書いてあるし承知してるんだけれど、どういう塗り具合がベストなのか、これまで他人がグリス塗ってるところなんて見たことがないので未だによく分からないのです。そして毎回、どんな小道具を使って塗るかというところにも悩んだり。今回はたまたま近くにあったスプーンを使って、あーだこーだと試みてみたけれど、自分でも思うが、上手ではない。
 そこで、あまり根詰めずにとりあえず塗って組立ててしまい、昔から愛用している「TFMonitor1.1.1」というユーティリティを使って各部位の温度や空冷ファンの回転数などをモニターし、あまりに異常な数値にならないかチェックすることにします。常識の範囲内に収まっていれば、たぶんそれで大丈夫なのでしょう。

 組立て行程は省略しますが、Mac mini と違ってミクロな世界でもないですし、「やっと交換が終わった!」と気持ちがスッキリしていて、バラすときよりは格段にスムーズに進みました。…いや、そうでもなかった。組み立てで難関だったのは「逆45度チマチマ回転大作戦(仮)」。バネのせいでなかなかネジが締まらなくて苦労しました。

次回は実際に組み上がったCPU交換後のMac Proを1ヶ月弱使用してみて、あれこれ気付いたこと、メリット&デメリットなど総括です。