前編からの続き。そうして我が家にやって来たiMac。頭の片隅ではずっと「SSDとHDは分離出来るのだろうか…」と考えていました。机上に本体を置いて、Logitech K750 やMX-Rマウス等の基本的なセッティングを行ない、電源を入れてデスクトップが現れてからまず立ち上げたのは、笑えるのですが、何を隠そうディスク・ユーティリティだったりします。気分はもう「即フォーマットを試してみる」。まずは、ほぼ素の状態である10.8.2を外部ストレージにバックアップしてそこから再起動し、内部のMacintosh HDを選択してパーティションをクリックします。ところで、久々に新しいMacintoshを買って気付いたのですが、初期状態の起動ディスクの名称は今も『Macintosh HD』なんですね。Apple自身がMacと略称を使うようになって久しいのに、ここは昔のままでちょっと感動した。
閑話休題。まずディスク・ユーティリティを立ち上げてみて分かったのは、残念ながら「Fusion Driveを解除する事が出来ない」ということでした。そういうコマンドやオプションがどこにも見当たりません。僕のように積極的に「設定解除したい」なんて考える人間はとてもマイノリティーのようだし、Appleも自信を持ってこの機能を載せてきたわけで、徹底してユーザーが弄れないようにしてあるのは分かるのだけれど…でもやっぱり回転系HDは信用してないのだ!解除したい!
しかしMac側は頑なにこれを拒むので、仕方なく回転系HDの方にパーテーション「iTMS」を切って、そこへ自分にとって大切な財産でもあるiTunesライブラリを置くことにしました。当初、このパーテーションの区切りを最大にしてやれば、SSDとHDを分割出来るのではないかと考えましたが、それは甘かったようです。1TBあるHD全体を区切らせることは不可能で、最低43.5GBはどうしてもFusion Driveとして強制的に割り当てられます。つまり128GB SSDと合わせ、約164GBほどがFusion Drive(Macintosh HD)となります。何なんだそのアンバランス感は(↑参照)。
まったく気分が落ち着かない
購入後もなお解除方法が分からず、しかし早くセットアップを済ませたい気持ちもあり、上記のような中途半端なパーテーションの状態でアプリケーションやプラグインのインストール&オーソライズを進めることにしたのですが、Mac ProのCPUを交換した時と同様、この作業環境の再構築が非常に面倒で、その途中にふと「でもやはり解除の手段があるんじゃないか。もし解除出来るなら是非解除したい。そしてもし解除出来たとしたら、またインストールやオーソライズしなきゃならないのか!」と思い、プラグイン達のインストールは途中で中止し、完全セットアップではないまま、しばらくiMacを使うことにしました。
しかし、やはり128GB SSDの端っこに、たった43.5GBの、これまたHDの端っこのどうでも良いような部分がオマケ程度にくっついたFusion Driveというワケの分からない状態が非常に気持ち悪い。気分が落ち着かなくて作業にまるで集中出来ない。これはメンタル面でも悪影響だということで、思い切って再度フォーマットを試してみることにしたのですが、上述の通り標準添付の純正ディスク・ユーティリティでは不可能な為、かなり昔PowerPC時代に購入した「Drive Genius 2.3.0」を起動してみると、ディスク・ユーティリティではまるで見えなかった2つの物理ドライブ「APPLE SSD SM128E」「APPLE HDD WDC WD10EALX-408EA0」が別れて表示されているではありませんか!「これはイケるんじゃないか?」と思い、システムとiTunesライブラリ等のバックアップを再び外付けHDに行い、そこからiMacを再起動して内部HDの方を選択、いざフォーマット開始!のボタンを押してみたのですが、
「初期化出来ませんでした」という残念な表示。
Fusion Driveは単にソフトウェアで結合されているだけだから、外部のフォーマッタを使えば簡単に初期化出来ると思ったのだけれど、意外に手強いようです。もしかしたら最新版のDrive Genius 3.0などを使えば可能なのかもしれないけれど、アップデートパスを購入して試すような気分にもなれません(やはり何となく蹴られるような気がしますし…)。
Fusion Drive自作派の記事を参考にする
Appleの説明によるとFusion Driveでは、頻繁に使用するデータをSSD上に、比較的利用頻度の低いデータはHD上に配置するのを「自動的に」行なうとの事。古い時代の人間である僕は、何処に何を置いているのかは自分で把握しておきたいタイプで、便利とは言え勝手に居場所を変えられると困惑してしまいます。まあ、Fusion Drive全体をその都度バックアップすればOKなんじゃないかという意見も分かりますが、いや、分離可能な事を実証しておけば、いつかこのiMacが引退するときには液晶パネルを分解して、内蔵の回転系HDを大容量SSDに換装する楽しみも出来るじゃありませんか(?)。
それはともかくとして、Fusion Driveの設定解除を目論むのなら、まずFusion Driveの設定方法を知るところから始めるべきではあるまいか。敵を欺くにはまず味方からというか。
というわけで既にネット上のアチコチに散見される自作Fusion Drive構築記事をいくつか拾って目を通してみたら、意外にもすぐ使えそうなヒントに溢れていました。市販されている別個のSSDとHDを組み合わせて、ソフトウェア的に統合するのなら、その解除方法も記されているワケです。そこで参考にしたのはこちらのブログ記事。
噂のFusion Driveを自分のSSD&外付けHDDを使って自家製で構築してみる。
上記ブログ記事内の最後の方に、構築した自作Fusion Driveの解除方法が紹介されています。管理人さん自身による「これで合っているのか分からないですが」という注意書きがありますが、ターミナルからコマンドを入力して、直接ボリューム個別に削除するみたい。これなら添付されている純正ディスク・ユーティリティからでは見えないiMac内蔵の純正ドライブ達も捕まえられそう。まあ、他に手段も無いですし、何か間違えてもiMacが爆発することは無いでしょうから、早速チャレンジしてみることにしました。気分をスッキリさせて、早く音楽作りを始めたいですし。
Fusion Drive解除全行程紹介(凡ミス含む)
さて、ここからが長いのですが、自分への備忘録も兼ねて途中の凡ミスも含め全行程をメモしておきます。
1. まずターミナルを起動し「 diskutil cs list 」を入力します。するとズラーーっと内部ストレージに関するアレコレが表示されます。次にボリュームを削除することになるのですが、表示されているリストのうち、どのUUID(識別番号)を指定すればいいのか、よく分かりません。
2. そこで、まずは先頭の「Logical Volume Group」の横にあるUUIDをコピペして「 diskutil cs deleteVolume UUID 」を実行してみました。
3. はい、エラー出ました。このUUIDではなかったようです。
4. 幾度か試してみて、結局正解は「Logical Volume Group > Logical Volume Family > Logical Volume : UUID」の識別番号でした。これでデスクトップ上から「Macintosh HD」がアンマウントされます。
5. 再び「 diskutil cs list 」を入力します。青い枠線で囲った部分がMacintosh HDという名称のFusion Driveの内訳となります。なるほど「121GBのSSDと43.5GBの回転系HDの端っこがドッキングされています」というワケですね。そこに表示されている論理ボリュームのUUIDをコピー。
続けて「 diskutil cs delete UUID 」でUUIDをコピペし実行すると、それぞれの物理ボリュームを初期化してマウントまで行ないます。
6. 何と!デスクトップ上にFusion Driveの解除されたボリュームが別個にマウントされたではあーりませんか。これは感動。一番上がSSD 128GBで、その下が43.5GBの端っこHD。その下が960GBほどあったiTunesライブラリ用のHDです。どう考えても43.5GBの端っこボリュームが邪魔です。ええ。
7. 3つのパーテーションじゃなくて、単純にSSDとHDを分けた2個のボリュームにしたい。そこでディスク・ユーティリティを起動してみると…。
ショッキングな赤文字と共にディスク・エラーが起きているという警告。それに「無視」「修復」の二択ボタンが。僕はここで、不本意に2つのパーテーションに分けられている回転系HD側のドライブのみ再び初期化して1個のボリュームにしたいだけなのですが、どうもこの二択のみのボタンどちらかを押すことを強制されているようです。ジョーカーかよ。それにしてもしかし、異様なほどに不吉な予感が…。
トラップ臭がぷんぷんします。
選択せよ。とディスク・ユーティリティは迫ります。ここで無視すれば、デスクトップ上には3つのパーテーションが、ワケの分からない43.5GBと共に居残ってしまう。しばらく考えに考え、くるくるまわりながら逡巡し、えいっ!と「修復」ボタンを押しました。
トラップに引っ掛かってしまいました。
目の前で、せっかく分割したばかりのパーテーションがみるみるうちに1つのボリュームへ再結合されてゆくではありませんか。そして数秒後には、デスクトップ上に「Macintosh HD」という名のボリュームが1つ、ぽつねんとしていました。呆然とした。何なんだそれは。ここで言う「修復」の意味はFusion Drive構築への強制再フォーマットだったのか。
8. そして上述した1〜5までの行程を再びやり直す羽目に…。結局、iTunesライブラリも一つに再結合されて消失してしまったのですが、ならば今度は解除した際に2つのボリュームに別れた状態でマウントされるのではないか。その予測は当たって、デスクトップ上にはSSDとHDに分割されたボリュームがマウントされました。いや、事前にバックアップを取っておいて良かったですね。
では今後、ディスク・ユーティリティを使う必要が生じた場合はどう対処すれば良いのでしょうか?うっかり起動してしまうとまた「無視」「修復」「オア・ダイ」の選択を迫られることになります。そこでAppleサポート情報に掲載されていた、仕様の異なるディスク・ユーティリティの件を思い出しました。iMacに標準インストールされるディスク・ユーティリティ(このディスク・ユーティリティについて、を開くと「444」とあります)は使わず、10.8.2へアップデートしたMacBook Airにインストールされたディスク・ユーティリティ(430)をコピーして使うことにしました。430の方であれば、iMacで起動してもエラー表示はせず、分割したボリュームはそのまま正常な物として受け入れられます。外付けHDなども従来通り初期化したりパーテーションを切ったりすることが可能。
このスッキリ感を分けてあげたい
以上、かなり長くなりましたが、世間の時流から真っ向に逆行したiMac内蔵Fusion Driveの設定解除をレポート記事にしてみました。個人的にはMac ProのCPU換装以来、久々のスッキリ感を満喫していて(しかし誰にもこの喜びを共感してもらえないのだけれど)、これで保留にしていたプラグインのインストールも再開でき(幸いバックアップした起動ボリュームを復元して動作に問題なく、先にインストールを終えた分の再オーソライズは不要でした)、いつか必ずやってくる回転系HDの突然の故障にも、たぶんSSD側は影響を受けないであろうと思っています。分割したせいか、しなくてもデフォルトでそうなのか分かりませんが、アクセスしなければ回転系HDの方はすぐスリープしてしまうので、何となく省電力にも効果がある気がします。しかし、もし保証期間を過ぎてから内蔵HDが故障したら、修理に出すよりはバラしてSSD換装を試みるかもしれません。その頃にはCrucial M500 960GB(並行輸入品)も手頃になっているのではないでしょうか。
2013-04-29 > フリフリのThunderbolt大作戦!