まわるフリフリのフリ
僕はアップル様が嫌い

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僕はアップル様が嫌い ― 連載第2回

新型Mac Pro(2019)に言いたい

2020年8月10日  

老害水域バミューダトライアングルに入ると時間が経つのは早いもので、もう昨年の先々月のことになるが、米国時間で6月3日に始まったAppleの開発者向けカンファレンス「WWDC 2019」にて、既に開発中との発表済みだった新型Mac Proがお披露目となった。もちろん、淡い期待を抱いてはいた。先代の「円筒型Mac Proは失敗作」という驚くべき断言(それはトップデザイナーであるジョナサン・アイブが近々Appleを離脱することを示唆していると思え、そしてその通りとなった)、そしてプロの要求に応える「モジュラー式」とはどういう構造を意味しているのか。その思想はドラスティックに外観へ大きな影響を与えているのか。
が、蓋を開けてみれば現れたのはかつてのシルバータワー・リバイバルだった。現代風に細部をアレンジし直してはいるものの「また元に戻ったのか」という少しばかり溜め息交じりの感想を抱くに留まった。個人的にはMac Pro(2012)の融通の効く拡張性や内部アクセスの容易さが好みだったので、それをより洗練させ、大幅に高機能化して復活させたのは現時点でプロ向けプロダクトとして最適解だとは思う。以下、今更ではあるが、だらだらと所感を書き残しておく。もちろん、最後にはAppleから気持ちが離れていく要因も記してある。

新型Mac Pro(2019)に言う

デザインは良い

外観デザインは総じて好印象。全面パネルを埋め尽くす「(大根)おろし金」を想起させる多くの穴は奇抜で、集合体恐怖症(Trypophobia)の人には厳しい面もあるが、持ち運ぶ際に用いる取っ手が丸パイプ状になったのは素晴らしい。先々代の取っ手はいわば「鉄板」であり、持ち上げる際に掌に食い込んで痛かったのである。

ラックマウントタイプも用意されている。昔あったサーバーのように、全面パネルから内部ストレージに個別でアクセス出来れば良かったのにとは思う。使い回しなので仕方ないが。

サイズは先々代シルバータワーと然程変わらないが、幅は若干広く、奥行きは若干短く、高さは若干高くなっているが取っ手のデザインでコンパクトに見えるかもしれない(実はまだ原物を直に見た事がない)。

CPU&GPU回りの性能が高い

当然プロ向け製品だから現時点で搭載可能なCPUやGPUの最高の品を載せてきている。「Afterburner」というアクセラレーターがオプションで用意されているのも良い。いずれ新しい世代が来たら、これら心臓部分は適宜交換されるのだろう。大根おろしの風穴も併せて冷却も考え抜かれており、巨大な冷却ファンを複数連動させながら静音を保っているのはAppleらしい。

内部アクセスが容易(…な感じがする)

天板にある取っ手を使い、外側を覆っているケース全体を片手で着脱可能なので、おそらく拡張カードやメモリ増設などは容易と思われる。先々代のシルバータワーはPCIカードの装着が若干面倒臭い。

起動用SSDはApple純正品しか受け付けないっぽい

買うわけでもないので、詳しく調べてはいないが、内部ストレージのSSDは専用の品でないとダメなのだろうか。今は高性能かつ大容量のNVMeタイプSSDがじわじわと市場に浸透し始めているのに、簡単に載せ替えられないとしたら非常に残念なことである。PCIカード上に大容量SSDストレージを搭載した製品は既に出回っているが、それは起動ディスクに指定出来ないらしく、それら制限だけで既にこの新型Mac Proに対する印象がネガティブになってしまう。

高い

学生の頃、Macintosh IIが100万円以上の値段で店頭販売されていた頃の記憶が未だ生々しく残っているので、基本構成のスタートラインが66万円というのは然程驚くことでもない。ただ非常に口惜しいのは、長きに渡って続いてきた日本のデフレ経済、さらに庶民の基本給与ベースがほとんど上昇しなかったことにより、性能比で見れば妥当であろう66万円が異様に高額に感じるのである。もちろん消費税10%という「庶民が物品を購入する際には須く罰を与えるべし」という全くもって理解し難い悪税の影響も多分にある。本製品のターゲットになっているプロフェッショナル、高所得者層には痛くも痒くもない価格設定であろうが、僕にはもう手の出せる値段ではない。この時点でかなりAppleが嫌いになってきている。さらに言えば日本も終わりである。

重い

さりげなく製品仕様ページに掲載されているこの表記を見てどう思うか?

「重量の3乗=タワー(18.0kg)」

貴方がまだヤル気に満ちており肉体的にもヤングな世代なら何とも感じないだろうが、しかし僕にとって「18kg」という重さはこの先、可能な限りにおいて関わりたくない数値である。人間は腰である。男も女も、その他あらゆるジェンダーや年齢、さらに言えば種を超えてこの地球上に生ける脊椎動物にとって腰は最重要拠点「要」である。全ての骨は腰に通ず、腰は一日にして成らず、麺は腰。基本構成で18kgという時点で、新型Mac Pro(2019)は販売対象外の庶民である自分とは縁もゆかりもないコンピューターとなった。というか普通に軽いマシンを出せよ、Apple。もはや完全にAppleが嫌いである。

新型Mac Pro(2019)はほとんど予想通りだった。そんなわけで今は黒い円筒のMac Pro(2013)をメインマシンに据えている。このマシンについてのあれやこれやは別の機会に書きたいと思う。