連載第5回
2020年8月16日
俺は「失敗作 Mac Pro」で行く!

昨年、そろそろ予告されていた2019年の新型Mac Proが発表されそうだという時期に先代の円筒型Mac Pro(Late 2013)の中古相場が崩れたタイミングがあった。どうせ2019年新型は手に入れられない価格であることは予想できたので(とは言え、ゴミ箱Mac Proも新品購入は躊躇われる価格ではあったのだが)、手頃な価格の中古を購入した。3.5GHzの6コア、D500である。

骨壷を黒い箱に入れて持ち帰ってきたような印象である。不穏でしかない。

フルスピードアヘッドらしい。DeepLに入力すると「全速力疾走」と返してくれて、独製翻訳ツールのセンスの良さを感じる。

もうこのページは削除されてしまったと思うが、この密度の高さは異常。拡張性を考えると確かに手の施しようのない「失敗作」と言われても仕方ないかもしれない。

ただ蓋を開けるとそこには、精緻に部品が組み込まれた密度の高さ故の「美」が感じられるのは確か。『Core Memory ―ヴィンテージコンピュータの美』という写真集を持っているが、そこに収められた子供の頃の夢が、たった高さ:25.1cm、直径:16.7cmの中に詰まって古机の上に、置物のように佇んでいると考えると、もう7年も前の型落ちで当然現行の新型iMacやMacBookProよりも遅く、カスタマイズの難易度も高い旧式とは言え、コレクションとして所有する歓びがある。

そしてこれが最も大切な事なのだが、重量はたった「5kg」なのである。

本気のクリエイター(自称可)はMac、Winマシン問わず最新機種を購入すべし。