連載第8回
2020年9月8日
ARM Mac スゲェんじゃないか予想

今年も残り4ヶ月を切った。Appleは年内中に少なくとも1機種のARM Macリリースを予告している。モトローラ68000系からPowerPCへ移行し、PowerPCからIntelへ乗り換えるという衝撃の発表、そして今回、ついに自社開発CPU「Apple Silicon」への換装に至り3回目のCPU種族交代となる。

ARM Macってどう売り出すのかぼんやり考えている

ところで、ARM Macってどう売り出すのかぼんやり考えている。Appleはどこにセールスポイントを置くのだろうか?

売りのポイント
  1. 爆速マシン
  2. 「高性能です!」という売り方は比較対象があってのことである。普通に考えると、最適化されたアプリも動作確認されている周辺機器も少ない中、このアピール方法は難しいと思う。

  3. 格安マシン
  4. 庶民の僕にはとっても嬉しいが「安物」というイメージが付いてしまう恐れもある。せっかくイメージを一新する良い機会なのに、ちょっと勿体ない気もする。「爆速で爆安」なら大歓迎するが…。

  5. 従来のまま、何も変わらないよ
  6. 一番消費者が安心するのはこれであろう。安定してるマシンが一番パフォーマンスを引き出すものであるし。しかしその役割は、従来通り2年は併売されるIntel Macが担えば良いだけという気もする。おそらくどの業界でもプロはARM Macにすぐ飛びつくようなことはせず(遊びならアリだが)、最後のIntel Macを狙ってバックアップとして確保するだろう。

  7. 薄い
  8. これは止めて欲しいと切に願う。

実は、ARMの出来が良過ぎて、意外に1番で攻め込んでくるパターンもアリかと思い始めた

ところが、以前から言われていたけれど、iPhoneの搭載するAチップの性能がすこぶる快調なのである。上のGeekbench 5のスコアを見るとちょっとブッたまげる。このベクトルでさらにスペックアップした進化型が次世代Macの頭脳となる。
ちなみにGeekbench 5でのスコア1000は「インテル® Core™ i3-8100 プロセッサー」が基準になっている。3.60GHzの4コア、4スレッドだそうだ。

1.VirtualApple 2400 MHz×4コア

開発者に向けて配布された、Apple SiliconをMac miniの筐体に詰込んだDTK( Developer Transition Kit)のベンチマークが流出。その数値の一例が上図。数値的には「普通では?」と思うかも知れないが、Rosetta2を間にかましていることにより、スピードがスポイルされていることを考慮したい。さらに搭載されているApple Siliconは「2.4GHzの4コア」と認識されている状態。※実際のA12Z Bionicは8コア(高性能コア4と高効率コア4)である。

というわけで、手持ちの7〜8年落ちMac Proと比較してみる。

2.黒Mac Pro(Late2013)3.5GHz×6コア

クドいが失敗作と言わせてもらう黒Mac Proは3.5GHzの6コア12スレッド。DTKよりも1.1GHz回転が速く、スレッドの数も倍以上なのにコレである。最大限の性能を発揮出来ていないDTKとトントンである。

3.Mac Pro(2012)3.46GHz×12コア

ランボルギーニにみたいに外観はカッコいいと思っているシルバータワーのMac Pro(2012)は、エンジンを3.46GHzの2個換装で12コア24スレッドにボアアップするも、この結果である。DTKにボロ負けと言って良いだろう。

参考:上位ランキング(シングルコア性能&マルチコア性能)

参考までにGeekbench 5でのMacスコアランキングを載せておく。DTKでは周波数が2.4GHzに抑え込まれているが、薄くて狭い筐体から開放されて、冷却ファンの使用が可能となり、高速にエンジンをブン回すことが出来るようになって、さらにソコソコのボディサイズなら好きなだけコアを詰め込むことも出来るだろう。果たしてどうなるのか、実機の登場が今から楽しみである(まあ、普通に考えれば売れ筋であるMacBook系だろう。格安にして教育市場に売り込むのが将来に向けて種を蒔くことになるとは思う)。

本稿で結局何が言いたかったかと言うと、Appleがしつこく「Apple Silicon」と言っても世間は
「ARM Mac」と言って定着しちゃうだろうな、と言うことであった。
※「言」を5回使った。