連載第24回
2021年12月26日
歳を取るとメモリ交換程度のことがもう面倒くさい

今となっては特別に記事にする価値なんぞ微塵もないメモリ交換ネタ。時代は確実に、ユーザーが手を付けることが出来ない、ユニファイドメモリアーキテクチャへと進化しつつあり、周知の通り、M1のMac miniなどはもう購入後にユーザーがメモリを追加することが不可能になっている。なので、今回の記事はノスタルジックな「かつてパソコン所有者が自身で行なっていたメモリ交換」の古びたアルバムに過ぎない。iFixitではより美しい構成で手順を事細やかに解説してくれているしね(しかも丁寧な日本語で!)。

単純に、購入した中古Mac miniが標準構成の8GBしか搭載していなかったのでメモリ増設を行うことになったのだが、せっかく入れ換えるのだから16GBは無いとして、32GB64GBにするかでかなり悩んだ。近年のカジュアルな使い方であれば32GBもあれば十分であることは分かっている(16GBでも十分である)。が、しかし、もし何か奇跡が起こって、また若い頃のように創作意欲とヤル気に満ち満ちた時間が戻って来たその時にメインマシンのメモリが32GBだとキツイかもしれない。そんな確率1%の世界線で悶々と悩み続け、もう悩み疲れてアホらしくなって64GBにした。半導体不足が解消せず、この先値上がりしたらもっと困る。そこでネットで調べてみると、聞いたこともないメーカーがそこそこに幅を利かせていたのだが、ハズレを引く運は誰よりも強いと自負する自分は10年近く故障知らずのSSDで信頼を寄せているCrucialの64GB Kit (32GBx2) DDR4 2666 MT/S CL19 SODIMM 260pinを選んだ。では早速。

お好み焼きヘラがある

何故か10数年以上昔に使ったヘラが部屋のすぐ目に付く所あり、今回も使うことになるのかと思い手元に置いた。以下、基本的には親切に日本語で解説してくれているiFixitのサイトを参照しながら交換作業を進行するので、投稿しておいて何だが、こちらは言葉も少なめであるし、リンク先をブラウズする事をお勧め。

時代も移り変わり、薄さ上等!を押し進めたAppleのプロダクトには、最早お好み焼きヘラは厚すぎて隙間に差し込めなかった。なのでもう全く使っていないタワレコのメンバーズカードを使用。

今回のMac mini(2018)の開腹ではトルクスレンチのT10とT6、それにT5を使う。特に専用の工具などは必要なく、以前購入したPROMATE 精密ヘクスローブレンチ8p SHL-8で事足りた。

最初の関門。アンテナ線の取り外し。

ピンセット使った。

上図のネジを外したらファンが取れると思いきや。

ここでちょっとしたトラップがある。ファンのダクトの繋ぎ目の固定にネジ2本が使われており、これを取り外しておかなければならない。この些細な工程がiFixitの分解説明の「手順10」と「手順11」の間に記載されておらず、強く引っ張っても当然ファンは取り外せないので、最悪故障の原因になる。ここまで読み進めた人は合格。

メモリスロットの左右のアームは、メモリの取り外しの場合はスムーズなのだけれど、ちょっと癖があり、新たに挿し込む場合はズレないように慎重に行う。難易度は軽めとランクされている作業でも、個人的にはかなり疲れた。バラしたものを組み上げてから、メモリを認識しないとかいうオチは絶対に避けたい。

ちゃんと挿さっているか確認。

もっと近づいて指差呼称!

ロジックボードを筐体内に戻す。綺麗にカッチリと隙間なく収まって美しい。

底面カバーを戻す前工程の、アンテナ線取り付け。やはりここは難関で、自分は先にアンテナ線先端をピンセットを使ってコネクタに嵌め込んでからネジ止めを行なったが、ピンセットで慎重に摘んでいても肝心なところでネジを落としてしまう。アンテナ線が短くて余裕がないのが難易度を高めている。あれこれ動かしているとアンテナの先端がコネクタから外れてしまうし、非常にイライラする。

ネジを2〜3回ほど落として、それをまたピンセットで摘み上げ…、を繰り返しようやく取り付け完了。カメラで撮影を挟みつつ、ゆっくり慎重に作業して1時間20分ほど。老眼だからかも知れないが、この最後の工程で指先に神経を集中する必要があり、個人的には「もう二度とやりたくない」というくらい疲れた。こんな作業から解放してくれるユニファイドメモリアーキテクチャは、もしかしたら老人に優しい技術かもしれん。

64GBは盛り過ぎだったかもしれん

電源ボタンを押したら無事起動音が鳴ってホッとする。メモリも64GB認識して不具合なし。苦労が報われた瞬間である。ただ、本当に64GBも必要だったかと考えると、いや、正直なところ32GBで十分だったのでは…ということになる。「メモリが足りません!」と警告を喰らうくらいに、使い込んでみたいものである。

次回は「Big Surって全くダメじゃないか」ということについて書きたい。