連載第25回
2021年12月26日
Mac miniを愛せない ※Big Surが不出来過ぎて

これまでの作業環境はHigh Sierra(macOS10.13.6)をメインにして、安定してストレスなく使えていた。今回、中古Mac miniにプリインストールされていたのはBig Surである。一気に「Mojave(macOS 10.14.6)」「Catalina(macOS 10.15.7)」の2世代を飛び越えての新しいOS。初めて起動した際には「iOSっぽくて、奥行きの感じられない、平面2Dに張り付いた感じ」という違和感はあったが、やはりHigh Sierraからすれば3年も経過しているわけで、新世代のハードウェアに合わせ、あちこち細かいところもブラッシュアップされているのだろうと、期待は大きかった。

一番の楽しみは「Musicアプリ」である。

そうだ、あの肥大化したiTunesアプリは消滅したのだ。なにせ、これまで長年継続してきた「10.1x」を断ち、「macOS 11」とナンバリングを変更したのだから、個々のアプリケーションはもちろんの事、環境としてのOSの使い勝手もネクストレベルに引き上げられたものになっているだろうと期待していたのである。

Big Sur、不具合の総合デパート

大いに期待されたBig Sur。Mac miniを入手してから数週間、僅かな時間を見つけては趣味の環境を整えていった。しかしその過程で「?」と思う事が頻出した。以下、それらを列挙。

mailアプリの不具合

実際には日常で使う頻度は少なくなったものの、パソコンでのメール文化に相当感化されたまま老化してしまった事もあり、まずはこれまでのメールデータを引き継ぐ作業で四苦八苦するのはOSアップデート時の儀式になっている。ただ今回、これまでの「フィルターで振り分けたメールボックスのインポート」で見舞われるトラブル以前に、日常使いしている送信サーバーから新規メールを送信出来ないという不具合に遭遇した。上図のように送信用メールサーバにアクセス出来ないのである。何度も何度も設定を確認したが「アカウントまたはパスワードを確認出来ません」と警告が出て蹴られてしまう。移行アシスタントは使わず、手動でアカウント追加したのにダメなのである。

初っ端から躓いて、Mac miniへの印象がかなり悪くなった。それからしばらくは黒Mac Proをわざわざ起動してメールを送信したりした。

結局、一番やりたくなかった手段として、ライブラリにあるmailフォルダを黒Mac Proのものからコピペ。mailアプリが起動する際にフォルダ内のメールボックスなどをアップデートしてようやく送信可能になったが、設定は全く違わないのに釈然としない。フォルダ分けしていた過去の受信メールはまた一緒くたになってしまったので、後日手動整理する事にした。

Safariの不具合

今や日常使いでは必需品のネットブラウザ。Safariで重宝しているのは過去に読んできたネット記事のブックマークだったりする。今年も色々あったが、気になった出来事やタイムラインに流れてきた記事に目を通したら、また読み返す事もあるかも知れぬと思い、とりあえずブックマークする。それが、他のマシンと共有されるのは便利であった。ところが、である。

ブックマークを辿るのがメチャクチャ重い。

その昔、SSDがで始めた頃に「プチフリ」という症状があちこちで出たとネットで話題になったことがあったが、ズラリと下に続くブックマークをスクロールするのに、しばらくレインボーマークのグルグルが回って動かなくなる。High Sierraの黒Mac Proでは全くそのような症状はなく、滑るようにスクロール出来たのに、Big Surでは単にネット記事を読みたいという事にもストレスを感じるようになった。

さらにはお気に入りバーにフォルダ管理していたブックマークが、突然フォルダごと消えて無くなるというトラブルがあり、その時は膝から崩れ落ちた。幸い、他のマシンのSafariブックマークには残っていたのでそれをバックアップしたが。

ビデオ出力周りの不具合

Mac miniの購入で液晶モニターを追加した。新たにUSB-C接続の4Kモバイルモニターを新調したのだが、ここでも原因不明の些細な症状に見舞われた。作業机周りをスッキリさせたいので、USB-C1本で給電&ビデオ信号の送信も兼ねて使おうとしたのだが、Mac miniをスリープした際、そこから復帰させてもモニターが反応せず真っ暗なまま…という症状である。再表示させるには、モニター側の電源を入れ直す必要があった。しかしHDMI接続であれば問題なく、もしやUSB-C1本ではダメで、給電用には別途ケーブルを用意すれば大丈夫なのかと思ったが、やはりUSB-C接続で表示させるとダメ。モバイルモニター側の問題かもと思ったが、ビデオ周りが不安定という報告もチラホラ見かけていたし、この頃には既に「Big Surは地雷」という認識が形成されつつあった。

そうなるともう小さな事も気になり始める。mailアプリの表示が淡白すぎてよく分からないとか、Finderのフォルダのデザインが淡白すぎてよく分からないとか、写真アプリのふわんと表示されるエフェクトが邪魔だとか、あちこちにiOSとの融合を最終目的にしたような作りが感じられ、そのスタートとなるBig Surはすごく中途半端な「とりあえず大型アップデートの時期なので、現状で出しました」という印象なのである。

これまでも様々なバージョンのOSで不具合はあって悩まされてきたが、今回のBig Surの不安定さほど悪い印象を残すものはなかった。過去のMacOSXは、その最終バージョンではバグも取られ「使える」状態に持ち直していたものだが、今回は違う。見た目だけが問題で動作に問題ないなら良いが、肝心の動作が不具合の福袋。しかもこれでBig Sur最終版の「11.6」なのだから始末が悪い。