連載第29回
2022年2月13日
Mac miniの環境作り:日本語入力編

旧OS9時代のEG Bridgeを経て、長年愛用してきた「かわせみ」「かわせみ2」から、Apple純正の日本語入力FEPに乗り換えてみることにした。主たる理由は偶発的なもので、当初、Mac miniを購入後しばらくBig Surを試していた時に「かわせみ3」の試用版を1ヶ月間使ってみたのだが、よく言えば従来の使い心地を維持している、悪く言えば変わり映えしないという印象を持った。しかし繰り返しになるが、とにかくBig Surの出来が悪すぎてMojaveにダウングレードした際「せっかくMac miniを新調したのに未だ乗り換えた感覚が無い。ここは気分転換のつもりで、Apple謹製の日本語入力を試してみるか」と思ったのである。二番目の理由は「かわせみ3」のアップグレード料金をケチった、という後ろ向きなものであるが、Mojaveなら「かわせみ2」のままでも行けるので、やはり気分転換したかったのだろうと思う。加えて、iPad Proでたまに日本語入力する時があるのだけれど「意外に学習能力が高いな」という印象を持っていたので、その後押しもあり「macOSでの使い心地はどうなのだろう」と興味を持った次第である。

せっかくなので、売りでもある「ライブ変換」を使っている。長い文章になると、ライブ変換の効果が感じられる。しかし細かく単語で変換していく状況での効率は「かわせみ2」の方が良い。例えば変換候補がリスティングされた時、かわせみ2であれば目的の語句を選択すると同時に確定されるのだが、Apple謹製の場合は選択した後も確定されず、再度リターンキーを押さなければならない。これが地味に面倒臭い。リストから選択した時には意図を持って選んでいるのだから、それで確定すれば良いではないかと思う。「かわせみ2」はライブ変換的なものはないけれど、カスタマイズすると道具としてとても手に馴染んでくるものがある。
さらに言えば、スペースキーを叩いて変換候補をリストするのと、タブキーを叩いてリストさせるのとで、候補の順番が違うのがどう言う基準なのかよく分からない。何となくの感触ではあるが、タブキーの方は、ユーザーのクセを学習した後のリスト順になっている気がする。

というわけで、Apple謹製日本語入力は諸手を挙げて絶賛するには「今一歩」なのだが、まあ、無料であるし、もうしばらく使ってみることにする。下記のようなショートカットも便利である。
・再変換(Control+Shift+R)
・文字ビューワー(Control+Command+スペース)

ただ、日本の市場は徐々に衰退しつつあって、その流れはもう押し戻すことは不可能である。日本語環境に注力するためのリソースをAppleがいつまで保持するのか分からない。既にその兆候は各デバイスのOSアップデートの際に感じられる事と思う。日本語への最適化は、どんどん後回しにされているのだ。だから純正どっぷりに浸かるリスクはあって、代替としての「かわせみ」や「ATOK」などは今後も選択肢として残り続けて欲しいと思う。「アップデートせずに何を言うか」と非難されるであろうが、まさしくこの一個人の小さな消費抑制行動こそが日本の衰退化を如実に表している。

と言うわけで、相変わらずキーボードは英語配列のものを使っています。