連載第61回
2024年5月3日
今更だけれど M1 Mac mini を使ってきた感想

M1 Mac miniのその後

昨年の地獄のような暑さだった夏のど真ん中にMac miniを購入してから半年と3ヶ月が経った。発売は2020年の11月だから、これを書いている時点で約3年と半年が経った製品で、自分が中古品を買ってからは9ヶ月経っている。以前にも簡単な所感は書いたが、その後の使用感について、追記しておきたい。

▶︎圧倒的なパフォーマンス

僕がこれまで手にしてきた歴代のMacintoshの中で、最も高性能なマシンであり、そのパフォーマンスはこれまでのプロフェッショナル向けタワー型マシンをはるかに凌駕する。以前のプロ向けMacの「Pro」とは一体何だったんだと言うくらいパワフルである。それでいて、こいつは「Mac mini」なのである。どういうことだ?しかし「Mac mini」なのに値段が値段なので、これぐらいの性能を発揮して当然だとも言える。

もう一つ、当初16GBと言うメモリ容量に不安を覚えたのだけれど、それも予想を覆して問題にならなかった。おそらくSSDをスワップさせているのだろうが、かなり大量のアプリケーションを同時に起動させておいても、これまでメモリー不足により再起動を余儀なくされたのはたった1度しかない。CPUを完全に占有してしまうような重たい動画処理系などを併用しなければ、日常使用では全く困る事は無い。

▶︎罪悪感を極力抑えてくれる低消費電力

簡単な所感で既に書いているが、高性能的にもかかわらず、それに反して消費電力は極めて低く抑え込まれているのがとても素晴らしい。さらにここに来て現状が以前と異なるのは円安による輸入エネルギー価格の高騰である。今後おそらく長期間にわたって電気料金が下がる事はないだろう。一定のパフォーマンスを維持したまま、少ない電力使用量で済むMac miniは、罪悪感を抱かせることなく、精神衛生上もストレスが無い。少しは、急速に進行する地球温暖化の時間稼ぎになるかもしれない…などと思いつつ。近いうちに手持ちのMacで消費電力対決をやっておきたい。

▶︎素晴らしい静音性

インテルMac mini(2018)では、重い処理をさせると小さいながらも耳障りに感じる程度のノイズ(そして熱風)を発生させていたので、さすがに夏場では重い作業をさせるとブンブン音を立てて空冷ファンが唸るのだろうと思っていたが、その予想は見事に覆された。極めて静かで、搭載しているのかどうか忘れてしまうほどである。うんともすんとも言わない。Macの静音性については、黒円筒形Mac Pro(2012)の静けさも相当に素晴らしい設計だったが、それを踏襲している。そもそもインテルチップよりは熱くならないチップだったし、空冷ファンも保険程度の役割なのかもしれない。製品発表当時、空冷ファン搭載に落胆したが、これほど全く気にならないレベルなら全然アリである。さらに熱風とまでは行かない程度の、ほんわかと温かい空気が漏れ出ている、という感じに抑えられているのも好印象。

不満点が無いわけではない

基本性能については非常に満足なのだが、いくつか細かなところで気になった事があったので、それも書き記しておく。

▶︎MOTU DP11.31でのアラート

DPを使ってドローンを作っていると、時折、上図のようなアラートが出る。CPUをギリギリまで使い切った時に出るもので、当然ながら心地良いものではない。しかしこれは、以前からずっと続いている現象で、M1 Mac miniの性能や仕様の影響というより、綿々とつづくDP固有の問題なのかもしれない。M1 Mac mini購入当初は、これらのアラートが出なくなるかもしれないと期待したのだが、もしかしたらM3以降なら…とまだ期待している自分がいる。

▶︎今どきのmacOSってどうなんよ?

既に自分がオッサンだからかもしれないが、ハードウェアよりも、macOS Venturaがいまいちである。とにかく今のmacOSは細かくルールを設置している割には、完成度が雑な印象で「その機能、誰が喜ぶんでしょうか?」という類がどんどん詰め込まれて行く。大成功したiPhoneが載せているiOSのフィールに近づけようとしているのは分かるが、しかし当然ながら煩雑な手続きがiPhoneの成功要因ではない。僕はこれを密かに「macOSのiTunes化」と揶揄している。その他、下記リンクを参照。割と皆同じことを感じているのではないか。

▶︎日本語入力をどうにかして欲しい

上のmacOSについての不満に内包される事案だが、とにかく日本語入力する際の各種ツールの完成度がいまいちである。いまいちというか、ストレスを多大に感じる。このトピックだけで別の独立した記事に書きたいくらいである。日本での売り上げが急速に減少していることを鑑みれば、扱いが雑になるのも仕方ない…複雑な心境である。

▶︎Wi-Fiが不安定である

当初、これまで使ってきたMacと同じように、Wi-Fiを使ってインターネットに接続していたのだが、しばらく使っていると極端に通信速度が遅くなる症状が発生した。再起動をすると復帰するのだがだ、またしばらくすると極端に遅くなる。そこで調べてみると、ネットでもいくつか同様の症状に見舞われているユーザが報告をあげていて、既知の問題らしかった。その後、1〜2回ほどmacOS Venturaのアップデートを行ったのだが、改善しなかったので諦め、今は有線のイーサケーブルでネットに接続している。M1チップ固有の問題なのかもしれない。現在はmacOS 13.6.3のままだが、Sonomaにアップデートしたら治っているのかどうかは不明。

▶︎Thunderbolt4端子が2つしかない

これはM1基本モデルの仕様なので仕方がない。マルチディスプレイでモニター2枚を使うとすると、メインがHDMI、サブでThunderbolt4を使うので、残り1個しか使えない。これを解消するために結局、CalDigit Thunderbolt 4 Element Hub を購入した。外付けHDやオーディオIFなどは、このHubを経由している。

というわけで、次のMacは何をチョイスすべきか?という話になる。