連載第74回
2024年12月29日
Mac miniにもマイク入力がある事を知らない人を意外と見かける→劣化するAppleの日本語変換に閉口しMac miniでの音声入力に目覚める

昨年の夏、中古のM1 Mac miniを購入して試運転開始後、一番幻滅したのはmacOS 13 Venturaの日本語入力である。具体例は下記のような状態。

「酷い」と打ちたくて「ひどい」と入力すると、必ず最初にサジェストしてくるのは絵文字「😔」なのである…。こんな日本語入力環境で不満を覚えない人が居るのだろうか?目的の「酷い」を入力するために3回スペースキーを連打しないとならないのだ。しかも毎回である。つまり学習能力が全くない。一度変換を確定させたなら、それを記憶しておいて次回の入力時には変換候補トップで提示して欲しいのだが、全くそんなそぶりも見せない。もっと言えば、わざわざこちらがユーザー辞書に登録しておいても、それを優先的に提示するのではなく、まずは絵文字を出してくるケースがある。他に思いつくところでは…
■「100歩」と書きたいので「100ほ」と入力すると必ず「方」を出してくる。次にやっと「歩」が出てくるのだが、全く学習しない。それに「ほ」で何で「方」なんだよ。
■「ウンコ」と書きたいのに絶対「💩」が変換候補の最初に出てくる。漢字で珈琲を入れたくても最初はコーヒーで、2番目に「☕️」が出てきたりする。などなど。とにかく、絵文字はやめてくれ。
■変換候補を記憶する機能はあるのだが、アプリケーションによって挙動が異なる。例えばApple純正のメモアプリの場合は素直に記憶するのに(これも時間が経つと忘れたりする)、App Storeなどで購入したサードパーティー製アプリだと無視したりする。このように気紛れが激しく、動作に一貫性が無いことが強いストレスになる。

Appleの日本語入力環境はアホである。
作りが適当過ぎる。

ハッキリ言って、ライブ変換などトリッキーな機能を備えていない、愚直なまでわかり易い挙動のWindowsのIME日本語入力の方が、ツールとして安定(←これ重要)しており使い易い。

遅まきながら、音声入力を試したのはiPad

そんなAppleの日本語入力に辟易していたとき、ふと思うところあってiPadでちょっとしたテキストを認めるのに、キーボードではなく内蔵マイクを通し、初めて音声入力を使ってみた。意外に正確に音声を認識して日本語テキストに変換していってくれる。これはちょっと便利かもと思ったが、でもiPadでは長い文章は書かない。変換候補から選ぶということが出来ないので、一旦変換が確定してしまうとその場で変更が効かず、キーボードで直さないといけない。また、学習もさせられない。例えばiPad OS 17で「はをみがく」と音声入力すると絶対に「ハオ磨く」となり、「歯を磨く」にはならない。ハオってなんだ!

じゃあ、Macでも音声入力を試してみようということになった。

ようやく本題、Mac miniでもマイク入力が使える

Mac miniで音声入力しようと思いついたとき、マイク入力はどうするんだ?とは、実は思わなかったのが不思議なんだけれど、どこかのネット情報を探したり見かけたわけではなくて、ごく普通に「イヤフォンジャックを使えばいいよな」と手持ちのマイク付きイヤフォンを挿し込んだ。そしてシステム設定を開き、音声入力をONにするだけでOK。

だいぶ昔のモデルからMac mini背面のオーディオ入力端子が無くなったのだが、ヘッドフォン端子が使える。今はMacBook系のユーザが多いから普通に内臓マイクを使っているだろうけれど、Mac miniの場合は「マイク入力はどこ?」でちょっと戸惑うかもしれない。

音声入力をオンにし、マイク入力先は「外部マイク」を選択。ショートカットはお好みで。

使っているマイクは、安価だったソニーのスマホ用マイク付きイヤフォン「MDR-EX15AP」。別にこの製品じゃなくても、マイク付きでミニジャックの端子に黒いスリットが3本入っていればたぶん大丈夫。今は音楽を聴く際にイヤフォンやヘッドフォンは全く使っておらず(難聴を避けるため)、部屋の片隅に放置していたのだが、ここに来てまさかの内蔵マイク活用。

矢印のくぼみがマイク。これが自分の方に向いていれば、たいてい音を拾ってくれる。

上図が昨年の夏、M1 Mac miniで音声入力を始めたときの状態。

controlキーをタタン!と2回連打すると音声入力モードに切り替わるので、マイクに向かって文章を入力していけば良い。音声入力に使うだけなら、オーディオ性能の高いDACやコンデンサーマイク、USBマイクを別途購入する必要はなくて、部屋の中で余っているマイク付きイヤフォンを流用すればOKだった。

このブログ記事を書いている途中で「かわせみ4」の試用を始めた

というわけで、今、リプレースした新型M4 Pro Mac miniでも前面にあるイヤフォンジャックに、リスニングには全く使っていない用無しだったイヤフォンを再雇用している。キーボードで打ち込むほどではない、簡単なメモ書きをしたいときにタタン!と軽くcontrolキーを2回叩いて音声入力に切り替える。再度controlキーを1回叩けば解除。

ところで実は、この記事を書き始めた時点ではmacOS Sequoiaの日本語入力を使っていたのだけれど、上述の通り、あまりにMacが学習しないので、自分で書いているブログの内容に影響を受け、次第に苛々してきて、数年前に使っていた「かわせみ」の最新バージョン「かわせみ4」の試用版をダウンロードして日本語入力環境をチェンジしてみた。ライブ変換機能はないので、文章の区切りの良いところで逐次自分の意思で変換をしていかないとダメなのだが、しかし、IMEのように、先に確定させた単語などが再度出てくるとそれを察知し、インラインで変換候補としてサジェストしてきてくれるのがとても気持ちよく感じ、Appleの適当な日本語の解釈をいちいち修正するより断然効率良く使いやすい事に改めて気がついた。言い換えると、この1年間ほど、断固として学習しないApple謹製の日本語入力ツールの気ままな態度に振り回され、過大なストレスを受け続けていたということである。自分の中で割と真剣な気分の文章を書くときは、キーボードである程度の骨格を組み立てた後、細部の修正やちょっとした装飾を施す時などに音声入力を使う。カジュアルな文章を認めるときは逆で、音声入力でラフな流れを先に作っておいてから、細部の追加修正をキーボードで行う。最近はもうこのスタイルで固まってきている。

Appleだって日本の人口が急激に減り続けており、市場として将来の見込みがない事は当然知っている。縮小していく市場が狭い領土内で使っているニッチな言語の入力環境なんて、そんなに本腰を入れて改善するわけでもなかろう。macOS 13 Venturaで不満を感じ、2ヶ月ほど中継で使用したmacOS 14 Sonomaでも改善されていないことに失望し、そしてmacOS 15 Sequoiaで絶望している。まだ実装されていないApple Intelligence日本語版が悲惨な状態でリリースされないことを祈る。庶民に祈らせるようなアップル様が嫌いである。政治を変えて魅力ある言語環境を作ろう。