まわるフリフリのフリ
音楽とか

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音楽とか ― 連載第7回

habit:作り直し作業その5没ネタ

2012年1月30日 

 コンピューター、というかMacintoshを使って録音からミックス、さらにはマスターの仕上げまで行うようになってもう結構な年月が流れたのですが、配線でごちゃごちゃになってしまうような機材も少なくなって部屋もスッキリ、電気代も(たぶん)少なくなって良いことずくめのような気もするんだけれど、たまにコンピューター単体で完結してしまうことの弊害というか、まあそんなに大した事ではないのですが、今回はその不具合のようなもの、バウンスがうまく行かない現象に遭遇しました。バウンスというのはミキサーで各楽器のバランスを取った楽曲をコンピューター内部で2ミックス・マスターに落とし込むこと。まあ、分かりやすく例えて言えば、パパがビデオで撮った子供の映像をiMovieで編集して最後に1本のムービーファイルへ書き出すような作業です。

結局ボツにしちゃうんよ

 実際にどのような不具合かというと、その都度違いはあるのだけれど、主にエフェクターのかかりが上手くいかないというタイプが多くて、今回もその類。曲頭で引っかかったりとか、逆に全然スルーしちゃう場合もある。でもこれくらいは許せるというか(いや、許せないんだけど)、ミックスによっては何度バウンスを試みても計算途中で落ちちゃうような時もあったり。結局実際に音を外に出さない状態で、コンピューター内部処理の計算の世界に頼るというのは、凄く便利なんだけれど音として最上のモノになっているのかどうか疑わしい…というのが最近の素直な気持ちです。実際、問題なくバウンスされた2ミックスを聴いてみても「なんとなく音ヤセしてるような気がしないでもナイ」と感じることも多い…。

 一度疑惑を持つとアプリケーションの事が信用できなくなってしまいます(コイツどこか端折ってるんじゃないか?とか)。何度バウンスしても失敗するのなら、Mac Proでは普通に再生させて、その出力を外部に準備したマスターレコーダーに直接繋いで録音してしまえば話は早い。今回話がそう早く済まなかったのは、もう僕はマスターレコーダーを持っていないからでした。昔はレコーダー単体機材を持っているのが当たり前で、中学〜高校生の頃はカセットデッキ。大学生後半に入ってDAT。DATは本当に音が良かったのでその時期がしばらく続いて、その後はCD-Rデッキになったのですが、世間ではMacとProToolsの時代がやってきてコンピューター内部で完結しちゃうようになり、僕もCD-Rデッキを使っていた期間は短かったように思います。
 しかし最近では、上述したように「簡単だし時間も早くて効率的だけど、やっぱりバウンスはしたくない」という雰囲気があって、では現在どんなマスターレコーダーがあるかと言えば、KORGさんのMR-2000SというDSDレコーダーが新世代の録音機材として評判が高く最右翼にあるのですが、いかんせんまだ高価で簡単に手が出ません(アマチュアに10万円代後半の単体録音機材は厳しい)。

 そこでMacBook Airをレコーダー代わりにしちゃうのはどうかと、USBで駆動する安価なオーディオIFでも手に入れて…とも考えたのですが、3月にリリースされるという(つまり4〜5月に遅れると解釈してますケド)Universal AudioのApolloがとても気になっている今は可能な限り不要な出費は抑えたい…と相変わらず小市民的に悶々としていたところ、ふと「RolandのVsynth XTをレコーダー代わりにしちゃえばイイじゃん」と気付きました。このシンセ、普通にステレオ・サンプラーにもなるのでした。そこで押し入れの中からホコリを被ったソレを引っ張り出し、ケーブルを繋いで取説をiPadで読み返し(最近はもうほとんど使ってなくて、どのボタンを押せばよいのか分からなくなってました。普段使用している楽器やプラグインの取説等はメーカーのサイトからPDFを落としてiPad 2に放り込んであります)、Mac Proからの出力をトリガースタートでステレオ・サンプリング。何の問題もなくスムーズに録音終了です。

habit_DEMO
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habit ― DEMO / SAMPLES ―
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 「あはは、この手があったぜよ」と自分の閃きに自惚れつつ新たな素材となる予定のミックスを聴いてみると…作業しているときはピアノの音だけでもこれだけ変化させられるのが楽しくて夢中でのめり込み気分も高揚していたのだけれど、しかし一体コレのどこがそんなに面白かったのか分からなくなっていました。一端ミックスに落としてみると、醒めた気持ちで検証できる。さほど時間も置かず、ソレは没ネタとなりました。アゲておきます。