連載第18回
2023年5月14日
「重要なのは部屋である」
青い部屋のリフォーム計画その1:事前調査

部屋。部屋が重要である。例えば『ブレードランナー2049』のサッパー・モートンの部屋は、まさに人生最終フェーズを独り静かに過ごすための理想の空間の1つである。なんと壊れたピアノまで置いてあるのだ。その他には生活に必要な最小限の物さえあれば良い。小さな、ドイツ製の青い箱の中で、自分の理想とする部屋の鳴りを響かせたい。

最終ファームウェア「バージョン4.2」のハイライト

QUANTECのサイトをじっくり眺めてみると、最終ファームウェアの4.2アップデーターが公開されたのは2014年1月4日である。今から9年前にもなるが、それでパッタリと更新が止まっている。アップデーターのパッケージをQUANTECでは「プラグイン」と呼んでいるらしく、YardStick 2496では「QRS SIMPLE」「QRS MEDIUM」「QRS COMPLX」というグレードのプラグインがあり、それぞれの最終版が4.2である。手元にあるYardStick 2496のバージョンが「2.3」だから、途中のメジャーアップデート「3.1」を経て「4.2」まで2段階改良されている。

各種プラグインの特徴

QRS SIMPLE – Highlights
Even this is room simulation of astounding quality. Despite the term “SIMPLE”, we’ve succeeded to outperform the algorithms of our proven precursor devices QRS, XL, and 2402 YARDSTICK – with respect to the natural resonance density by a factor of 2, with respect to pulse density by a factor of 10 (even at 192k). In addition, all state-of-the-art enhancements have been incorporated: Cocktail Party, Hallelujah, and many more …

これでもかというほどのクオリティを誇るルームシミュレーション。SIMPLEという言葉とは裏腹に、自然共鳴密度では2倍、パルス密度では10倍(192kでも)という、実績ある前身デバイスQRS、XL、2402 YARDSTICKのアルゴリズムを凌ぐことに成功したのです。また、最新の機能強化もすべて盛り込まれています: カクテルパーティー、ハレルヤ、その他多数。
QRS MEDIUM – Highlights
With this »MEDIUM« version, challenged at 96 kHz by an effectively halved DSP power, we nevertheless succeeded the balancing act of designing a room model of both high quality and high efficiency. Compared to our proven precursor devices QRS, XL, and YARDSTICK 2402, the important key parameters have been improved drastically: room mode (natural resonance) density by a factor of 5, reflection density by a factor of 20. In addition, all state-of-the-art enhancements have been incorporated: Cocktail Party, Hallelujah, and many more …

この “MEDIUM “バージョンでは、96kHzでDSPパワーが半減するものの、高音質と高効率を両立させたルームモデルを設計することに成功しました。QRS、XL、YARDSTICK 2402と比較すると、ルームモード(自然共振)密度は5倍、反射密度は20倍と、重要なパラメータが大幅に改善されています。さらに、最新の機能強化もすべて盛り込まれています: カクテルパーティー、ハレルヤ、などなど…。
QRS COMPLX – Highlights
Our »COMPLX« room model represents state-of-the-art room acoustic simulation with extremely high quality. With a solid foundation on the two QUANTEC core competencies high mode density and low discoloration, complemented with an impeccable pulse density for room sizes up to 10E4, our »COMPLX« room model can easily compete with the world’s most respected concert venues. Only beyond typical sizes of concert halls and auditoriums, certain real rooms (especially churches with nested side naves) begin to reveal their slight edge at initial pulse density to an experienced listener. However, such huge-room differences will vanish in the near future, as soon as a plug-in with our expanded »ROOM-IN-ROOM« model will be ready for use.

「COMPLX」ルームモデルは、最先端のルームアコースティックシミュレーションを極めて高い品質で実現したモデルです。QUANTECの2つのコアコンピタンスである高モード密度、低変色をベースに、10E4までのルームサイズに対応する完璧なパルス密度を備えた「COMPLX」ルームモデルは、世界の著名なコンサートホールと容易に競合することができます。コンサートホールやオーディトリアムの典型的なサイズを超えると、ある種の本物の部屋(特に横穴が入れ子になっている教会)は、経験豊富なリスナーにとって最初のパルス密度でわずかなエッジを示し始めます。しかし、このような巨大な部屋の違いは、近い将来、「ROOM-IN-ROOM」モデルを拡張したプラグインが使用できるようになると同時に、消えてしまうでしょう。

もっとも高品質なグレードである「COMPLX」は、サンプリング周波数が54KHz以下になっており、一般的な使用においては48KHzまでの対応になる。ただ、自分はもう既にモスキート音などは聞こえない状態にまで聴力が衰えてしまったので、48KHzで十分な気がする。

さらに読み進めていくと、バグフィックスが多く行われているようで、どうせなら、ダメ元で最終版の「4.2」にアップデート出来るのかチャレンジしてみたい。

最終ファームウェア「バージョン4.2」へのアップデートは可能なのか?

空き家状態のサイトをアチコチ調べて、上図のページにじっくり目を通してみる。まさに冒頭の質問が現在の自分に該当する。

Q:How do I get a 249x, neglected for years, up to date again, in order to allow convenient future updates via browser?
(何年も放置されている249xを、ブラウザ経由で便利にアップデートできるようにするには、どうすればよいでしょうか?)

Please check the version of your currently-running 249x plug-in. This can be read from

System Setup / Status / About / About Software

in the bottom line on the right (Screenshot: 4.2). If inappropriate, check for other plug-ins installed on this device – perhaps there is a more recent version that may save you an intermediate step. For the purpose of minimizing risk, you should always update from the plug-in with the highest version number.

Depending on the version of the plug-ins found, there will be different approaches:

Version 1.x: An update can only be performed via RS-232 interface. Continue with Update from version 1.x to version 2.x below.
Version 2.x: An update can only be performed via RS-232 interface. Continue with Update from version 2.x to version 3.x below.
Version 3.0 and higher: You can already use the easy update method via browser. Find suitable plug-ins here.
For some 249x devices, additional I/O device drivers are required. All device drivers have independent version numbers – there is no relation with version count of plug-ins.

Here is an overview of all 249x device drivers:

2492 and 2496 do not require a device driver
2493: supports the straightforward browser update procedure right away. You can find the latest device drivers here.
2498: A plug-in with version 4.1 or higher needs to be installed. Please check the version of the installed driver under:
System Setup / DIO2 / Show DIO2 Version

Version 1.2 or higher supports the update process via browser. You can find the latest device drivers here.
In version 1.1 and earlier, an update via RS -232 interface can be performed only. Continue with 2498 DIO2 driver update from version 1.1 to version 1.2 below.
現在動作している249xのプラグインのバージョンを確認してください。これは以下から読み取ることができます。

システム設定 / ステータス / バージョン情報 / ソフトウェアについて

右側の下の行にあります(スクリーンショット:4.2)。不適切な場合は、このデバイスにインストールされている他のプラグインを確認します。おそらく、より新しいバージョンがあり、中間ステップを省くことができます。リスクを最小化する目的で、常に最も高いバージョン番号のプラグインから更新する必要があります。

見つかったプラグインのバージョンによって、異なるアプローチがあります:

バージョン1.x: バージョン1.x:アップデートはRS-232インターフェース経由でのみ実行可能です。以下の「バージョン1.xからバージョン2.xへのアップデート」に進みます。
バージョン2.x: RS-232インターフェイス経由でのみアップデートを行うことができます。以下のバージョン2.xからバージョン3.xへのアップデートに進んでください。
バージョン3.0以上: ブラウザを使った簡単なアップデートはすでに可能です。適切なプラグインはこちらで検索してください。
一部の249xデバイスでは、追加のI/Oデバイスドライバが必要です。すべてのデバイスドライバは、独立したバージョン番号を持っている – プラグインのバージョンカウントとの関係はありません。

ここでは、すべての249xデバイスドライバの概要です:

2492と2496は、デバイスドライバを必要としません。
2493: ブラウザの簡単な更新手順をすぐにサポートします。最新のデバイスドライバは、ここで見つけることができます。
2498: バージョン4.1以上のプラグインをインストールする必要があります。インストールされたドライバーのバージョンは、以下の項目で確認してください:
システムセットアップ / DIO2 / DIO2のバージョンを表示する

バージョン1.2以上では、ブラウザーによるアップデート処理をサポートしています。最新のデバイスドライバーはこちらでご確認ください。
バージョン1.1およびそれ以前では、RS -232インターフェース経由のアップデートのみが実行可能です。以下、バージョン1.1からバージョン1.2への2498 DIO2ドライバーのアップデートに続きます。

じっくり何度も何度も繰り返し読んでみた。脳内で要約した結論は↓である。

結論:まずはRS-232Cケーブルを使ってバージョン2.xから3.xにアップデートし、その後はWebブラウザを使って4.xにアップデートする

さすがに古いハードウェアだけあって、ちょっとハードルが高い…。現状でバージョン2.xの個体の場合、RS-232Cケーブル経由でのみ、バージョン3.xにアップデート出来る。残念ながら一気に「4.x」へスキップしてアップデートは出来ないらしい。

そうか、そうならば必要な機材を用意するしかない。あちこちネットを徘徊して、安価な年代物の中古Windowsマシンを買った。税込み&送料込みで5,000円以下で抑えた。庶民である。

まさか2023年にもなって、中古Windows PCを買うことになるとは。