連載第17回
2012年9月27日
『HMZ-T2』にちょっぴり興味アリ…

 最高の映画体験は映画館で起こる、という確信に今も揺らぎはないのですが、なかなか都合がつかなかったり、小市民的な事情があったりして劇場まで足を運べずに観ることの適わなかった作品はやはり山ほどあって、そういう場合はこっそりと光学ディスクを借り入れなどして自宅アパートに持ち帰ってから映像を眺めたりしているのだけれど、部屋にテレビを持たない僕は必然としてMacかiPadを使うことに…いくらAppleのプロダクツが作り込まれているとは言え、それは控えめにも鑑賞とは言い難いものがあって、そんな理由から映画館での「鑑賞した」と自宅での「見た」を使い分けていたりするのは、スクリーンに上映する空間も含めた映画表現に対する自分なりのわきまえ、だったりします。

 Macで見る場合は液晶モニタと机&イスの配置上、目線が下方へ向かい集中力が途切れがちになり、iPadの場合は小さい画面でありながらMacよりも没入感に浸れるのは意外だったのだけれど、なにぶん手に持ち続けているせいもあって重さに腕が疲れ頻繁に姿勢の修正を余儀なくされる…。最近は睡眠導入として寝ながらiPadを持ち上げて眺めることが多いのですが、不意に睡魔が襲って来て、うっかりこのアルミとガラスの塊を顔面に落としたら…と考えるとちょっと怖いものがあります。どうにかこの状況を少しでも改善できないだろうかと考えていたところ、来月13日発売予定というソニーの新製品『HMZ-T2』を知り、ちょっぴり興味が出てきました。

銀座ソニービルで視聴

 まだ予約開始前だけれど予定価格は69,800円ということで結構なお値段。実機を見ないままネット越しに購入を決めてしまうのはリスクがありすぎます。そんな時、発売前ではあるけれど実機は既に銀座で展示されていて体験することが出来ることを知り、先日、銀座ソニービル3Fで実際に装着してきました。以下、ざっくりと感想を列挙してみます。

HMZ-T2所感

  • 見た目に反して意外に軽い印象をもったけれど、普通に座っている姿勢で長時間装着していると、本体がずり落ちてくる感じ…がする。
  • フォーカスが合焦するスイートスポットが狭い印象。なのでスクリーン位置の調整はシビア。ぴったりフォーカスを掴めれば予想以上の解像感はアリ。ただスクリーン周辺はややピントがぼやける感じ。
  • 左右のスクリーンの位置調整、ヘッドバンドやヘッドパッド(額に当てる部分)の位置調整が可能。顔面の形状に合わせましょう。
  • 視聴したのは『アメイジング・スパイダーマン』の予告編。3D版だったのだけれど、立体感&解像感は品質の低い3D劇場システムで観るより良い。
  • 音は付属のインナーイアーとは別に、好みのヘッドフォンが使える。
  • 普段メガネをしている人は、メガネをしたまま(!)装着します。ここが不思議なのですが、メガネ型のスクリーンまでたったあれだけの距離なのに、視力が悪い人は画面がぼやけてしまいます。なのでメガネonメガネになります。ここ重要ポイント。

 まあ、短時間しか体験できなかったので上記くらいしか感想は書けないのですが、装着感などは頭部の形状により左右するので参考までに(貴方にはジャストフィットかも!)。個人的にはもう少し安ければ(4万円台とか?)iPadの代替として即決OKだと思いました。7万円弱はちょっと勇気が必要です。

動画再生機材が問題かも

 このHMZ-T2はメガネ部分とプロセッサーユニットに分かれていて、まずプロセッサーユニットへ映像信号を入力しないといけないのだけれど、それにはHDMIを介する必要があります。生憎今の自宅にはHDMI端子をもった機材など皆無で、ならばMac miniなどを買って映像を出力しようか…なんて考えたのですが、ただムービーを出力するのにMacを買うのも馬鹿げています。じゃあApple TVか!あれなら8,800円だし!と思ったのですが、素材をストリーミングするのにMacなりiPadなりが別途必要だし…。それに「手ぶらで寝ながら装着して使いたい」と考えているので、うまく寝落ちした場合、周辺機材の電源が入りっ放しというのはなるべく避けたい。また、HMZ-T2の画質は意外に精細感があったので、どうせならBDも再生出来るものがイイ…と考えていくと、もしかして最適解は同社新型PS3になるのかしらん…と思ったり。新型iPod touch 64GBより安いし、素材がDVDでも出力される映像はアップコンバートされて綺麗という評判だし…と、まあ、そんな事をツラツラと考えたりしています。どちらにせよHMZ-T2単体では収まらず、プラスαの出費が必要、ということですな。