まわるフリフリのフリ
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放談ラジオ ― 連載第23回

新しいヘッドフォン「SONY MDR-1R」所感

2012年12月22日

 ヘッドフォンを取り換える、たったそれだけで普段聞き慣れた音楽なのに印象がとても大きく異なって聴こえる事については、かつてのウォークマンからiPodを経て音楽が以前よりさらに身近になったことでもう既に多くの人が体験済みなのではないかと思います。
 然程マニアックに音楽を聴く人ではなくても十分に判る音の違い、それは音楽を作る上でも世間で言うところの所謂モチベーションとかいうヤツに大きく影響を与えるような気がする。つまり今使っているヘッドフォンの音に飽きてきた…ということを理由に、この頃音楽作りが全く滞っている事の言い訳に転化しようとしているのだけれど、まあ、それはさて置くとして新しいヘッドフォンを購入しました。ソニーの新製品「MDR-1R」です。

 上述したようなことを書くと、いかにもこれまで幾多のヘッドフォンを使ってきたような偉そうなニュアンスなのだけれど、基本的に僕は買ったモノを大切に長く使う方で、まあ「物持ちが良い」というのか、例えば今使っている冷蔵庫なんかは既に購入から16年経っていたりします。ヘッドフォンもここ十数年くらいはソニーのMDR-Z700DJMDR-CD900STとソニーの2製品しか使ってなくて、他社製ヘッドフォンをいくつか取っ換え引っ換えして聴き比べしたということもありません。となると比較レビューというような記事が書けないので、それは他サイトに公開されている詳細な記事をお読みください。例えばコチラの山崎健太郎氏によるレビュー記事なんて如何でしょうか。>「ソニー製ヘッドフォンの顔”。「MDR-1R」を聴く」。今回購入したスタンダードのもの以外にBluetooth仕様やノイズキャンセリング機能のあるタイプがあります。

費用対満足度高し

 さて、久々に買ったヘッドフォン、ソニーの「MDR-1R」ですが発売前の製品アナウンス時からちょっと気になって注目してはいたものの、定価30,975円というベラボウな値の高さに腰が引けていました。音を掴む作業にはどうしても必要な道具とは言え、最上位モデルのMDR-Z1000なんか定価61,950円で端から全く無視、個人的にMDR-CD900STの1万6千円という値段も当時かなり気合いが必要でした。そんなこんなでいつものように小市民的態度で買いあぐねていたら、見る見るうちに市場販売価格が下落し1万7千円台になったところで手打ち。もちろん事前に銀座のソニーショールーム等で試聴はしてみたのですが、やはり自分の作業環境でどう聴こえるかは分かりませんし、でもこの値段なら失敗したとしても納得出来る…というか。しかしこのヘッドフォン、購入後の満足度は(予想に反し)非常に高いのです。


 化粧箱を開くと、予想外に高級感を醸し出してる佇まいにちょっと驚いたり。今回チョイスしたのはシルバーなのですが、というのも今使用中のMDR-CD900STが黒色だから見分けやすいかと。何となく気分転換にも良さげだし、見た目も黒よりは軽そうというか。

 外箱パッケージにはソニー製であるにもかかわらず、何と「made for iPod とか iPhone とか iPad 」とか書かれていたりしたのが意外。

 付属品は簡単な取説に、ポーチとミニステレオジャックのケーブルが2本。1本がiPodなんかのコントロールボタン付きで、ビニール袋に入ってるのは「試供品」というシールの貼られたボタンの無いタイプ。標準ジャックへのアダプター等は別途必要。僕はiPod touchなどはインナーイアータイプでしか聴かないので、MDR-1Rにはこの試供品ケーブルを使っていますが、質感は少しゴワゴワしてるかなという感じ。机上で使うので長さは必要十分ですけど、もう少し柔らかいケーブルが良かったかも。ちなみにケーブルは着脱式で、左側のパッドの下部にあるジャックに差し込みます。実は最初、どこに差し込み口があるのか判らず、気が付くまで時間がかかりました。

何はともあれ最高の装着感と低音の鳴り

 今回、MDR-1Rを購入した決め手は値段の他に試聴時の装着感がすこぶる快適だった印象が強く残っていたこともあります。ボディ本体は基本的にプラスチックで見た目よりは非常に軽く、イヤーパッドも大きさ自体は他の製品と然程変わらないのだけれど、内側に大きくくびれていて耳がすっぽり包み込める空間が出来ています。この耳を圧迫しないというのが装着感の向上に貢献。軽さと相まって長時間の使用でも耳が痛くなることはありません。

 上の写真はこれまで使用してきたMDR-CD900STと並べてみたもの(↑)。イヤーパッドの大きさはほとんど同じなのに、MDR-CD900STの方は耳をパッドで挟んでしまうので、しばらく使っていると痛くなります。でもMDR-1Rの方は大丈夫(↓)。そしてこの季節ならではの予想外の効用として、外気に触れないため耳が温かくて心地よいということです。

 ヘッドフォンのレビューなどで、音の聴こえ方を一生懸命テキスト化しても読者にまるで伝わらないのは常識なので細かい事は書かないけれど、耳とスピーカーの間にある広い空間が、このヘッドフォンの音色のカラーに影響しているのは確か。音楽がちゃんと一つにまとまって「音楽してる」のが新鮮でした。その音楽をミックスした人の意図が本来のカタチで、ちゃんと見える音なのです。また、MDR-CD900STは各素材の音の線を明確に把握するのに使ってきたというイメージなんだけれど、コチラはそれに加えてしっかりと低音が気持ち良いバランスで溶け込んで鳴ってくれます。制作作業の為に、というよりも単純にリスニングしていて気持ち良いので、これまでとは全く違う姿勢で音に向き合えるというか。いや、次第にボケーっと弛緩して音楽に聴き入ってしまうんだけど、それはマズいではないか。

 ちなみに「音楽とか」に並べてある制作途中の自分の曲を聴いてみると、これは(悪い意味で)ちょっとマズイなと。音のトランジェント(鳴りのスピード)が素早いこともあってリズム感の悪い箇所が強調されたり、マスタリングで持ち上げすぎた高域のEQ臭さが目立ってきたり、サンプルの切り張りなんかしっかり作り込まないとトリムした箇所が判ってしまう明瞭さです。それに最も顕著なのは低域がスカスカで聴いていてまるで気持ち良くない事。逆に言えば、定説やカタチだけを気にしていたこれまでの勘違いミックスから「とにかく聴いていて気持ちいいバランス」という基準で楽しみながらミックス作業が行えるのではないか?という期待が出てきました。もういっその事このMDR-1Rをリファレンスにして「とりあえず僕の曲はMDR-1Rで聴いてくれジャマイカ」そんなラテンなノリで音楽作業全部やり直しです(予定)!

いやあ、それにしても今回の記事に掲載した写真、良く撮れたんじゃないでしょうか。これらも全て3年落ちのパナソニックDMC-GF1ですが、そろそろカメラも次のステージにステップアップしたいところです。