連載第44回
2013年8月17日
パシフィック・リム『ビジュアル・ガイド』を取り寄せる

 みなさん『パシフィック・リム』はもう観ましたか。まさかこの歳になって怪獣(vs 人間操縦型ロボット)映画がこちらの想像を遥かに超えたリアル映像で観られるなんて、というか、こんなオジサンになっても未だに幼少期にワクワクした記憶をみっともなく引きずって、映画始まって最初の10分で一瞬にして童心に返り高揚してしまったことに驚いたりしています。あー、面白かった。

 まあ、映画の感想はひとまず置くとして、公開3日目にして既に売り切れという情報のあったパンフレットは観賞後に無事購入出来たのですが(これ単体でも十分に楽しめるけれど)、より舞台裏やメイキング解説などに力を入れているらしいパシフィック・リム『ビジュアル・ガイド』という本を購入しようとしたところ、どこも完売在庫ナシで売ってない(無駄にプレミアがついて古本にも手が出せない)。限定3000部ということもあるのだろうけれど(いや、普通のB級娯楽映画の関連本としては普通の部数なのではないでしょうか。よく分かりませんが)、早々と売り切れてしまったのはやはり実際に映画を観て感激してしまった輩の脊髄反射的行動の結果、という事なのでしょう。

やるなリアル書店

 映画を鑑賞したその劇場ではもう扱っておらず、帰宅してすぐネットで調べてみたのですが大手ネット通販各社でも取扱い終了。そこでリアル書店代表の紀伊国屋書店のサイトで検索してみたところ、一部の書店で在庫残少の表示が。すぐさまWEBサイトから取り置き依頼を申し込んだのですが(本の購入は未だに近所の書店で購入するか、ネット経由で取り置き依頼→都心の店頭まで取りに行く、というパターンが多いです)、1時間くらいして「誠に申し訳ございませんが…」と店頭在庫分は行き違いで既に捌けてしまった旨のメールがありました。まあ、予想はしていたので別にショックは無かったのですけど。しかしそのお断りメールの中に「お取り寄せをご希望の場合は、お手数ですがその旨をメールにてご連絡いただきますよう…」とあったので、ダメ元で取り寄せ依頼を返信してみました。それが先週の日曜日の事です。
 通常、流通経路上に在庫があるものだと3日ほどで入荷のお知らせメールが来るのですが、さすがに限定3000部ということもあってか、月火水木金…と日が過ぎても音沙汰無く、このまま自然消滅するのだろうな…と気持ちがフェードアウトし始めた今日。突然そのメールは送信されてきました。

「お取り寄せのご依頼をいただきました書籍が入荷いたしました」

 ネット経由でリーチ可能なところには全く在庫ナシだったビジュアル・ガイドが驚きの入荷。一体どこから取り寄せたのか、ただの本好き一人の取り寄せ依頼に見事応えるなんて、久々にリアル書店の底力を見た。

やはり設定資料集は面白い

 アニメ好きとかSF映画好きな男子はいっぱい居るけれど、自分で描いたり作る事も好きというタイプは確実に「設定資料集」の類にも惹かれる。個人的には映画の設計図とも言える絵コンテは、本編を観るより楽しめたりします。本書にも多くのコンセプト・アートやロボット&怪獣の初期デザイン案、キャラ設定、一部シーンの絵コンテなどが収められており、題名の通りビジュアル面から舞台裏を解説していて、単純に眺めていて楽しい。これと合わせギレルモ・デル・トロ監督が携えている例の手書きアイデアノート、Guillermo del Toro Cabinet of Curiosities: My Notebooks, Collections, and Other Obsessionsも眺めてみれば、ものを作る人が普段から何を見ているのか、ということを垣間見ることが出来るのではないでしょうか。

 限定3000部とは言わず是非重版して欲しい、というか「そこまで売れるとは思わなかった」のだろうというのは、ええ、よく分かります。