連載第73回
2015年1月17日
「続・鉢猫ハウス」ー 平和と脱糞 ー

 前回からの続き。夜中にサクッと作成した鉢猫のための段ボールハウスを植木鉢の横に設置して数日。ついに鉢猫が段ボールハウスの中にスッポリ収まっているところに遭遇した。が。

目が合ってしまった。

 鉢猫と僕の距離はどれだけ見つめ合ったとしても全く狭まることは無い。なので目が合うとヤツはハウスから出て何処かへ去ってしまった。

 そしてまた数日後。釣りエサに引っかかって激写されている事に気付かない鉢猫。

 しばらくは釣りエサを平らげたらサッサと何処かへ消えていたのだけれど、ようやく段ボールハウスの温かさに気付いたのか、身体をスッポリと収めて熟睡。

そして事件が!

 段ボールハウスにも慣れたのか、早朝目覚めてそっと窓の外をうかがうと鉢猫が眠っている場面に遭遇することが多くなった。夜中に帰宅してみると、まだ段ボールハウスの中で眠っている事もしばしば。これまでの習慣だと、夜は僕の知らない何処かへ消えてしまっていたのだけれど。

しかし、事件が起きた。

 夜。外でギャーギャーと大きくドスの効いた唸り声を上げているので様子を見に行くと、鉢猫の1.3倍くらいデカいノラ猫と睨み合いしているではないか。窓をガラガラ音を立てて開け放つと、2匹はそれぞれ反対方向へ猛スピードで走り去って行った。まあ、よくある事である。

 雑務を終えて再び外の様子を見に行くと、全く猫の気配はない。そして段ボールハウスを見てみると、敷き詰めた綿の上に何かしら異物を確認。「かりんとうを置いた覚えは無いのだが…」と思いながらしばらく凝視して、それがウンコだと気付いた。こんもりと結構な量。

 そこで疑問に思ったのは、それが鉢猫のものなのか、例のデカい野良猫のものなのかという事。しかしデカ野良猫が空き家となった段ボールハウスにすんなり潜り込んでエリア制圧の印に脱糞していったとは考えにくい。おそらく鉢猫がよそ者に気付いたとき、あまりに驚いたせいか、それとも激昂したためケツの筋肉が緩んだのか、あるいは逃げ去る間際、この天国のような楽園をみすみすタダで明け渡してなるものか!と玉砕覚悟の置き土産として放出していったのか(そこまで頭は回らなさそうだが)。

 ま、そんな事を考えながらこのブログを書いている。後でウンコを取り除き、綿を乾燥した新しい物と入れ替えて、またしばらく様子を見るとします。特に面倒とは思わず、むしろちょっと面白いと思っている。だが、鉢猫はしばらく帰ってこない可能性もある。