連載第87回
2015年7月11日
『この世界の片隅に』制作支援メンバーズミーティング参加

 未だ原作の内容を知らないまま、本日『この世界の片隅に』制作支援メンバーズミーティングに参加してきました。片渕監督はじめ、製作主要メンバーのコメントが聞けて非常に面白く何度も笑い声が場内で起こったのですが、GENCO真木プロデューサーの「本日は『バケモノの子』の公開日ですが、その宣伝費の10分の1の製作費で頑張っています」という言葉を聞くに、僕のほんの僅かな支援金(と呼べるのだろうか?)が何かのカタチで役立ってくれることを願わずにいられませんでした。とりあえずスタジオの制作スタッフは8名から16名に増えたそうです。

 それにしても。あまり詳細にここでは紹介できませんが、制作に向けての資料収集段階での片渕チームの「そこまでやるか!」という調査徹底ぶりには驚かされました。実際にはほんの数秒でスクリーンを通り過ぎてゆくだけの画なのに、舞台となる広島・呉の当時の風景を写真・まだご存命の方々への聞き込み等から忠実に再構築してゆくと何が起こるのか。空間だけでなく、そこに流れる時間も立ち上がってくるのです(アニメーションなんだから時間が経過するのは当たり前なんだけど、フィルムの走行時間とは違う、その世界の生活に密着している時間という感じ)。その時空間を、片渕監督が制作裏話中、終始「すずさん、すずさん」と「さん」付けで主人公を呼ぶのと呼応して、すずさんが確かにそこに実在し、生活を送っているのだというリアルな感覚が生じてくるという発見がありました。

5分間のパイロットフィルム上映

 声優も決まっていないし、効果音も無い、ただ仮楽曲を当てただけの、基本的にまだ無声映像であるパイロットフィルムが上映されました。これまでクラウドファンディングのサイトで見かけた画像をもとに、勝手に自分の中で動いている状態を想像していたのだけれど、普段から自慢の脳内想像力を遥かに超えたクオリティで、スクリーンの中ですずさんが生きていました。

号泣した

 いや、確かに絵コンテ観ただけで泣けてしまったから「これはっ!」と思い支援したのだけれど、元来涙腺が下半身の道徳観よりユルいのは自覚しているものの、まさか(物語の展開も分からない)パイロットフィルムでボロボロ泣いてしまうとは思いも寄らず、宣伝担当の計らいで二度も繰り返し上映してくれたおかげで、追い討ちかけるように鼻すすり状態へ。片渕監督自身は「別に泣ける感じはしないけど…」とおっしゃっていて、主旨としては泣きを狙ったものではなく、当時の日常生活の描写にフォーカスしている作品内容らしいから(そこは宣伝の駆け引きになると思うけど)、このブログでそこを強調してしまうのもマズイかもとは思いつつ、いや、ここは単純に僕の涙腺がユルいだけという事で宜しくお願いします。パイロットフィルムでもう支援金の元は取ってしまった感じです。

外部参考サイト記事

第16回「27年7月」栄養の話(片渕須直監督コラム:すずさんの日々とともに)

 来年の秋に公開予定ですか。必ず自分のこの目で完成品を観てみたい!と強く思いました。みなさんお身体に気をつけて頑張ってください!