連載第60回
2014年1月7日
SIMフリーな話をしようと思ったら最後に倒錯した

 昨年、とりあえずiPhoneを購入する権利を得たものの、権利の行使には至っていないそのワケはズバリ、月々にかかる費用に腰が引けているからなのですが、とりあえず身近な人達に月々の電話代がどれくらいかかっているのか聞き取りしてみたところ、だいたい平均して5千円代後半〜7千円台前半という返答があって非常に驚きました。真ん中を取って6千円として、さて月々に6千円分の何かをスマートフォンから得られるものだろうか…と、いろいろ考え込んでしまったのだけれど、ここでふと、昔々東京に出てきたばかりの頃の電話代がどれくらいだったのか押し入れの奥を探し回って当時の記録をチェックしてみたところ、何と「10,570円」!…なるほど、当時は田舎の友人などと長距離&長電話をしていたせいか、こんなにも高額な電話代を支払っていたのですね。

 そう考えると、データ通信&通話を合わせて6千円というのは結構企業努力してるな、というか、逆にリーズナブルに思えたりもして、そうこうしているうちにドコモもiPhoneを取り扱うことになって、では主要3キャリアの価格設定はどうなっているのでしょう?とチョイチョイと比較記事などを幾つか眺めてみたのですが、まあ、複雑でよく分からない。そこで各社が掲示している「料金シミュレータ」を見比べてみました。

★主要3キャリア料金シミュレータ★ 
ドコモ | au | ソフトバンク

SIMフリーが出た、けど

 …しかし、これでもスッキリ比較出来るようにしているとは思うのですが、それでもオプション項目が多すぎてゴチャゴチャしている印象。全部ひっくるめて「月々6,000円ポッキリ!」とかシンプルに訴求出来ないものでしょうか(どうやらみなさんも同じような事を考えているようです)。とまあ、そんな事に思い巡らせていたら突然「SIMフリーなiPhone」が国内販売開始されました。携帯電話界隈に疎いとそのインパクトを実感することもほとんど無いのですが、販売開始となった当日のtwitterタイムライン上はこの件への言及が多く見られ、ユーザーの関心の高さが伺えたりもしました。早速こちらの記事「あれ、「SIMフリー時代」が本格的に来てしまったかも」などに目を走らせて市場における新たな兆候を見て取ろうとしたのだけれど、しばらくして気持ちが冷めてきました。

 どうも、手段と目的を履き違えているような、つまり、それを所有して何がしたいか?どんな恩恵に授かろうとしているのか?という以前に、月額をなるだけ安く抑える方法を編み出すところに気持ちが傾いてしまって、全く本末転倒な状況に陥っているのです。

差し当たりFaceTimeオーディオで十分なのではないか

 つまり、僕は本気でスマホとかケータイの類を欲しているワケではないな、と気付きました。もちろん、今後環境の変化によりそれらを所有せざるを得ない状況になることは在り得るのだけれど、単に「携帯で電話してるプレイ」を一度試してみたいだけなのであれば、FaceTimeオーディオとか、Skypeで十分なんではなかろうか(使った事ないのでイメージが掴めないけど)。ところでiPhoneじゃなくて、iPod touchでFaceTimeオーディオを使うにはどうするんだろう?と初めてここで疑問を抱き、ググってみたら詳しい解説がありました。

iPod touchのFaceTimeオーディオで音声通話する方法 | iPod Wave

 もっぱら自宅で固定電話の受信専門(しかもそのほとんどが勧誘かアンケート)という僕のような人間なら、FaceTimeオーディオで十分ではないか。しかし本当のところを暴露すれば、今のところ僕は頻繁に電話を掛けたい相手が一人も居ない、ということです。外出時に緊急で電話せねばならない事態にも、これまでほとんど遭遇したことがありません(この件を除いて)。さらにもっと言えば、FaceTimeオーディオを使えるiOS機器すら持っていないのでした(iPod touchは初代でiOS3.1.3打ち止め。iPad 2 はiOS6.1.3でアップデート保留中)。やはり現時点で根本的に僕は「電話」を必要としていないらしい…。

ウェアラブル、腕時計型はアリなのでは?

 ただ、このくだらない記事を書いている最中に「腕時計型なら着けていてもOKかも」とふと思いました。僕は腕時計も20年以上所有していないのだけれど、たまに時間を確認したい時にiPod touchを手にする事があります。それなら腕時計でイイじゃん、ということになる。実は「Appleの次の隠し球はiWatch」とかいう噂が出始めた頃は、腕時計型なんて有り得ないよソレ!とかダメ出ししていた方なのですが、最近は腕時計はアリなのではないかと肯定派に傾いてきました。懸念されるバッテリーについては、普段露出していることから超高効率な最新型太陽電池で補い、その母艦に相当するものはMacでもいいけど、iPhoneやiPadでも管理可能、というのはどうでしょう。

 そして、そんな腕時計型ウェアラブルなガジェットで「電話してるプレイ」がしたいのなら、僕の場合、相手はSiriで十分な気がします(これまた未だ会話したこと無いので完成度は分からないのですが)。若干倒錯が入って危ない気配が漂いますが、個人的にスパイク・ジョーンズ監督最新作『her』のような展開も、あながち無い事も無い…ような気がしたり。そこで興味があるのは、相手が仮想人格であるとしても、ユーザーが勝手に脳内で擬人化して好感を持てるのは、iPhoneのような小型の単体ガジェットか?それとも腕時計型か?というところ。少なくともデスクトップ型PCでは無いし、ノート型PCもほとんど性的な魅力は無い。ウェアラブル、つまり常に肌や肉体の部位に密着しているという点で、腕時計型には妙な官能をくすぐられたりするのかもしれません。危ない、危ない。