フリフリのThunderbolt大作戦!

フリフリのThunderbolt大作戦! ― 第58回

続:なんでこのタイミング?ー 使える MacBook Air(mid 2013)

 2013年10月15日

 さて、前回は突如購入に至った理由としてAirの2011型モデルの不甲斐なさをかなり指摘したというか、捉え方によっては酷評したような印象を与えてしまったかもしれないのですが、決して僕は2011年モデルを嫌いになったわけではありません。むしろ、購入してから今までの2年間に起きた様々な出来事の中で、このMacBook Air(mid 2011)が無ければとても急場を凌ぐことなど出来なかったのではないか、という状況が多々ありました。軽くて薄くて小さくて気軽に持ち運べるマシンが手元にあったことで、一体どれだけ助かった事か…という感謝の気持ちや、あのタイミングで買っておいてホント良かったという思いでいっぱいです。だから、MacBook Airの製品コンセプトに対する気持ちは肯定的なまま、それをもっと活用出来るよう、文字通りグレードアップしたいと考えたわけです。2011年モデルの時がそうだったように、「欲しい!」と感じた今がそのタイミングなのでしょう。

 そうしてApple Storeでチョイスしたのは前回に書いた通り最下位モデル、メモリ8GB(とUSキーボード)だけは確保して残りはデフォルトのまま。SSDも128GBのままです。メモリが8GBさえあれば、これまでの経験上たぶん、こんな「ほぼエントリー仕様」でも大丈夫なハズ。

Geekbench 3.1.0 でベンチマーク比較

 そうして手に入れたMacBook Air(mid 2013)ですが「ほぼエントリーモデル」でも果たして大丈夫なのかどうか検証してみます。普段使いであれば、従来の2011年モデルでも処理能力自体には全く不満は無かったのだけれど、現行の2013年モデルでやたら目に付くのは、CPUのクロックスピードが「1.3GHz」に落ちていること。この下げ幅を、最新型CPUであるHaswellの能力がカバーしているのかどうかに注目。というわけでここではまず、最近アップデートされたGeekbench 3を用いてベンチマーク比較をしてみます。

 上が2011年モデルの1.8GHz。下が最新モデルの1.3GHz。500MHzものクロック差がありながら、Haswell搭載の最新モデルはその差を難なくカバー出来ています。このベンチ比較だけで従来通りの使い方であれば、クロック周波数が低くても何ら問題ないことが分かります。さらにこのHaswellの売りでもある省電力性能と相まって、かなりの節電効果(つまり動作クロックが低ければそれだけバッテリーの持ちにつながる)が見込めるのではないか。2世代の性能差の開きは予想以上に大きかった。

CINEBENCH OSXで内蔵グラフィック性能比較

 同様に内蔵グラフィックの性能も2世代を経て「実はこちらが本命、CPUの性能差以上の高性能っぷりを見せるぜ」という触れ込みだった「Intel HD Graphics 5000」の実力をチェックしてみます。とは言っても、さすがにMacBook Air(少なくともエントリーモデル)でビデオ編集作業などを本格的に行なう人はいないでしょうから、個人的には然程注目はしていないのですが、日常においてハイデフの動画などはもう当たり前に見かけるようになりましたから、知らず知らずのうちにその恩恵に授かることにはなるハズ。ここでは定番のCINEBENCH 11.5を用いて比較してみました。CPU性能が分かるレンダリングでは2011年モデルをちょい抜くくらいで、上で比較した結果がそのまま反映された格好になっています(周波数比のまま)。注目はOpenGL処理性能の方で、2011年モデルの倍以上の数値を叩き出しています。実際、CGで描画された2台の自動車が追いつ追われつ街を走行する際のスムーズな動きは、これがエントリーマシンの描画だとはまるで思えないくらいの滑らかさです。

Blackmagic Disk Speed Test で内蔵SSD性能比較

 お次は内蔵SSDの性能を比較してみます。今回は標準搭載の128GBのまま…にしたのですが、その理由は結局256GBも使うことは無いことが分かったからです。2011年モデルではiTunesの楽曲データ(120GBほど)を保存していたのだけれど、Thunderbolt経由で外付けHDなどに保存していれば何ら不都合を感じない事が分かりました(音楽データを常に持ち運ぶ必要も無いワケで)。SSDの容量倍増は倍以上にコストに跳ね返ってくるので、もちろん出費を極力抑える意図もあります。話が横に逸れましたが、読み出し・書き込みそれぞれの測定結果はこちら。

 上が2011年モデル、下が2013年モデル。もう、圧倒的な差。ちなみに購入したモデルの内蔵SSD128GBは「San Disk製」で、速いともっぱらの評判のサムスン製ではなかったのですが、そんなことなどまるで問題無いくらいの、必要にして十分なスピードです。まあ、これだけのスピードを活かすような状況がどれくらいあるのかは分かりませんが(もちろん音楽作りでは十分助かります)。

バッテリー持ち自慢は本当なのか

 省エネ能力に注力したHaswellを搭載したことで、各メーカーがこぞって自慢しているのがバッテリーの持ち時間の長さ。もちろんMacBook Airもそこはセールスポイントとして大々的にアピールしているのですが、Appleのサイトを覗いてみると11インチモデルの方で何と「9時間」とか謳っているではないか。これまでの2011年モデルでは普通にテキスト打ちしているだけでもどんどんバッテリー残量目盛りが減ってゆき、だいたい4時間くらい経つと「そろそろ電源あるところに帰らないと不安かも」という感じだったのですが、果たして2013年モデルではどれ程改善されているのか…?
 そこで、先の内蔵 HD Graphics 5000 の性能チェックも兼ね、modo701を日中ずっとグリグリ使ってみました。無線LANやBluetoothはオフにして、ディスプレイの輝度も中より少し上くらい、キーボードのバックライトもオフという状態です。

 まず何より、バッテリーの持ち以前に HD Graphics 5000 の性能が予想以上に快適であることに驚き。簡単なサンプルモデルなら、全くストレスなくグリグリ動かせるし、3Dペイントも軽い。レンダリングは単純にCPUのクロック速度に比例するので、それなりの時間がかかる(2コアの4スレッドだし)のだけれど、そういう重い処理はiMacなどの主力マシンに任せれば良い話。Airはその処理が終わるまでの間、簡単なモデル作業で活かせそうです。
 そしてバッテリーの方は、これでもう外出での作業が不安になるようなことが無くなるくらいの持ちを見せました。延べ6時間使い続けた時点で残量は20%を僅かに切った程度。これなら公称の9時間は無理としても、7時間ちょいはイケそう。これからは一日一回フル充電すれば大丈夫、という感じでしょうか。

MacBook Airで音楽(BFD3をインストールしてみる)

 本来は一般向けエントリーマシンであるワケで、無理してアレコレ作業を強いることもないのだけれど、でも8GBのメモリを積んだことの効用(つまりは気持ちのゆとり)はかなりのものがあって、やっぱりアレコレ作業させてみたくなってしまうのでした。
 そこで先日メジャーアップデートされたばかりのBFD3を無謀にもインストールしてみることに。まずUSBフラッシュメモリで提供されるドラムのサンプル音源をThunderbolt経由の外付けSSDにインストールするのですが、コピー完了までに2時間30分かかりました。ネットではMacBook Proユーザーが30分〜1時間で終了している場合も見かけるので、ここは単純にクロック周波数1.3GHzが足を引っ張っているのだと思われます。そしてインストール完了後、DP8を起動しパターンを走らせてみました。BFD3はウィンドウのサイズが大きく、11インチのMacBook Airだとウィンドウ下部のボタンが押せない状態に陥るので、iPadをAir Displayを用い拡張ディスプレイとして利用します。ちなみにiPad用のスタンドはフットプリントの少ないJust Mobile Encore for iPad JTM-PD-000008を選びました。

 さて意外や意外、思ったよりDP8もBFDも軽く動作するではありませんか。まだ深く使い込んだわけではありませんが、ラフにドラムトラックを構成する程度ならMacBook Airでも十分に動作します。さすがに長時間作業していると次第に空冷ファンが高速回転を始め、じわじわと騒音レベルが上がってくるのですが、2011年モデルよりは耳障りでない大人しめな音というか、そんなに無理して頑張っている感じではありません。つまり不快では無いということ、コレ重要。

総評:むしろ自分がエントリーな人なのではないか

 これまでの2011年モデルに感じていた不満などは、今回の2013年モデルで全て一気に解消してしまいました。これを書いている時点での満足度は非常に高くて、もうこのままMacBook Airをメインマシンにしても良いのではと思うくらいの好印象。グラフィックも音楽も、ラフ作業であればMacBook Airだけで事足りてしまいそうです(Thunderboltがあるから必要であれば外部モニタもストレージも拡張出来ますし)。空冷ファンが高速回転に入るタイミングも2011年モデルから激減、modoを使ったモデリングくらいなら全然稼働せず、音楽作業でもよほど長時間、重い処理のループ再生を行わない限りはまるで無反応という感じ。そうそう、2011年モデルのLGディスプレイ製液晶モニタに見られた画面の白みですが、さすがにもうその問題は解消されており、正しく調整されたカラープロファイルで表示されているようです。安価な割には綺麗なモニタだと感じました。

 また、普段使いにおける平均消費電力は「9W」でした。以前、手持ちのMacを並べて消費電力比較を行った企画では、2011年モデルのMacBook Airはアイドル時で「19W」だったのですが、今回改めて計測し直したところ、2011年モデルも2013年モデルも同じ「9W」。以前の測定時と何か条件が変わったのかよく分からないのですが、ワットメーターはそんなに精度高くないものだし、もしかしたらOSのアップデートで電源周りのコントロールに修正が入ったのかもしれません。いや、僕の測定に向かう態度がテキトーだったことが原因かもしれない、たぶんソレ。いずれにせよ、消費電力の微細なコントロールは次期OS X Mavericksでさらに追求されるので期待大です。

 それにしてもMacBook AirがHaswell搭載でここまで化けるとは。エントリーなMacBook Airでこれだけ満足出来ているという時点で、僕自身がエントリーな人間であることが判明してしまったような。しかしこの性能アップぶりを見ると、クアッドコアを搭載した新しいMac miniは一体どうなるのでしょうか。もしかして、エントリーな僕にはデスクトップMacはもうMac miniで十分なのではないか。どんな仕様で登場するのか、今から興味津々です。

…そろそろサーバー引っ越したい。

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