連載第51回
2023年6月4日
Appleはもう、あふれちゃっているんじゃないか?

3月14日、Googleは、自社開発の大規模言語モデル(LLM)「PaLM」を、同社製品の多くに導入すると発表。まあ、突然Microsoftが飛ぶ鳥落とす勢いで矢継ぎ早にAI関連の発表を行い、世間がどっとそちらに大注目したから、こちらも急いでキャッチアップしないと!と思ったのはよく分かる。

対してOpenAIは同日、先行リリースしていたChatGPTの進化版としてLLM「GPT-4」を正式発表。また3月17日には、OpenAIに出資しているマイクロソフトが「Microsoft 365」に、LLMを使ったジェネレーティブAIである「Microsoft 365 Copilot」を搭載すると発表。まあ、盛り上がりましたな。

その時、Appleの方では何か動きがあったか?そう、一週間前の3月7日に発表があった。

あふれるワンダフル。※黄色追加

これは凄い。2023年、このタイミングで未だにカラーバリエーションに拘っているのは、ある意味で凄い。しかも黄色である。黄色にこだわるくらいなら、サーモンピンクを出せ!と個人的に思ったりしたけれど。この時の世間の反応はとても薄かった気がするが、Apple自身が長年に渡り色展開の虜なのである。AI vs AI vs カラバリ!

で、次は眼鏡らしい

デジカメ(+スマホ)の次は眼鏡らしい。一体どれほどの訴求力を持った製品になるのか想像もつかないが、以前、ソニーの「HMZ-T2」で辛い思い出を作ってしまった自分は、現時点で全く興味が持てない。

だが、当たり前のように目が悪い自分が唯一強い関心を向けるとしたら、ちょっと前に一瞬話題となった、ヤツ。「VRヘッドセットMeta Quest 2でゲームしていたら視力が回復した」というアレである。本当なのか嘘なのか、残念ながら周辺に「Meta Quest 2」を持っているという人が皆無なので、その効用のほどを伺うことが叶わない。ただ、ゲームや映画を楽しむよりは断然、「視力回復」という一球入魂のキャッチフレーズの持つ訴求力は強力である。この一言で心が揺れてしまう人は多いだろう。

これはVRとは無関係の「クボタメガネ」。その後どうなったのだろうか。

しかし何故、競合他社がAIで将来を占う壮絶なデッドヒートを展開しているときに、メガネなのか。メガネである。Apple首脳陣の脳みそは、何かであふれちゃってるのかもしれない。

いくら高機能なメガネだとしても、例えば今ではもう3D映画と言われても心が惹かれたりしない。実際『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』もいろいろ都合があって観に行かなかった。でも自前でAIを用意出来なくて、メガネというブツで強行するのなら「視力回復」をプッシュすべきである。視力回復なら、VRもARもAIも吹っ飛ばして想定の2倍は売れると思う。自分も店頭でとりあえず装着してみようかな、くらいは思うはずである。

iPod Hi-Fiみたいな運命を辿らないことを祈る。