連載第53回
2023年7月9日
Appleは「シンプル」なモバイルディスプレイを出せ※内蔵カメラとかARMチップとかスピーカーとか要らん

なぜ、家電&IT系の製品は、ハード・ソフト両方共に、「付加価値」とか「利便性の向上」とか称して、故障・不具合の原因となってしまうような(誰が有り難がるのか分からないような)細かな機能を大量に追加してしまうのか。もっとシンプルでいいじゃないか。シンプルじゃダメなんですか?

いや、原理主義的にシンプルに徹し過ぎると、Appleのワンボタンマウスのように見誤ることになるのは歴史が実証済み。つまりはバランスである。1でもなくて10でもなくて、3が丁度良い、みたいな絶妙な使い心地。おそらく、パッと見てバランスが取れているようには思えない「3」というような隙間のある状態を不安に感じる本能が人間に備わっているのかもしれない。だから過剰に何もかも無くして使い難くしてしまうか、逆にあらゆる隙間を埋め尽くして使い難くしてしまうか、結局はどちらもまとめて「使い難くしてしまう無駄」を生産してしまうのだ。

Apple謹製ディスプレイには期待出来ない

さて、今回はディスプレイの話。現在、Apple謹製のディスプレイは高価過ぎて全く手が出ないというか、もう視界の中に入らない。なのでもう早々にスルーする。価格高騰の一端は日本の衰退もあるのだが、そこを追求し始めると政治の話になってしまうので、今回はそちらへの迂回もスルーする。いや、政治の話は大いにするべきではある。

話を現行のApple謹製ディスプレイに戻すと、カメラとかスピーカーとか、そんな無駄は要らない、ということである。削って安くしろ、という感じなのだが、それは没落国家人民の泣き言なのかもしれない。しかし無駄な機能であることは違いない。

ところで、iPadを使っていて、正確な発色とかRetina仕様とか、モニターとしては素晴らしものがあって、この表示性能で内蔵カメラとかARMチップとかスピーカーとか省いたモバイルディスプレイを出せ!とは常日頃思っているのだけれど、まあ、それは無理であろう。ご存知の通りモバイルディスプレイの低価格帯は激戦地区で、そこに参入する行為自体がそもそも営利企業としては無駄である。

ここからが本題、ディスプレイの画質をチェックするのに便利な画像

しかし結局、我ら庶民は安価なモバイルディスプレイを求めることになる。ささやかな趣味としてのMacライフにおいて、EIZOのような日本謹製大型・重量級ディスプレイは必要では無くなった。いや、買えなくなったというのが正しい。

そんなわけで自分も以前、中国製の安価なモバイルディスプレイに手を出したのだけれど、数日使ってみてすぐに返品してしまったのである。原因は、Mac mini側のディスプレイ周りの不具合もあるけれど、それと併せてモニター側の画面の黒潰れもあった。

テキスト中心の作業なら問題ないかもしれないけれど、画像を映し出した際の違和感が、個人的な許容範囲を超えていた。現状、昔に購入したGechicのモバイルモニターを使っていて、それは色合いのバランスが良く、それ以前に使っていたEIZOのディスプレイとそんなに変わらなかった。しかし返品した安価なモバイルディスプレイは、黒に近い色合いの表現力が著しく劣っていたのである。

ヨドバシのカメラレビューサイトの画像を参考にする

家電量販店に出向いた際、現地で陳列されているディスプレイが運よくネットに繋がるPCに接続されていたら、まず確認してみるのが黒に近い色域の発色具合。それを確認しやすい画像が、ヨドバシのカメラレビューサイトにある。

PY HOME>OM SYSTEM>Lens>OM SYSTEM M.ZUIKO DIGITAL ED 20mm F1.4 PRO

上記ページの先頭にある海の写真。その写真の下図の範囲に、海面下にある「岩」が、本当に微妙でかすかにではあるが視認できるか否か、でモニターの質感を簡易チェックする。

安価で適当な作りのモニターだと、上図のグリーンで囲った箇所にあるはずの「海面下の岩」が一面真っ黒に潰れてしまい、全く見えない。ちなみに今普段使いしているGeChic On-Lap 1503Hだと、目を凝らせば微かに視認できるのである。GeChicは購入当時も安価なモバイルモニターだったのに、真面目に発色を吟味した珍しい製品であった(現在はすでに生産中止)。

ストライクゾーンにあるのはLG gram +view 16MQ70

良い買い物をしたと思っているGeChicのモバイルモニターだが、最近、バックライトの調子が悪くなってきた。4年くらい使ってきたので、仕方ないのかもしれない。そこで次に「シンプルかつ発色が安定している」モバイルモニターは無いかと探していてアンテナに引っ掛かったのが、LG gram +view 16MQ70である。

一度リニューアルされて軽量化されたが、残念ながら昨今の円安の影響で値段が高騰してしまった。ちなみにまだヨドバシでも取り扱っていた時期に展示されている店舗に足を運んで、上記ヨドバシのレビューサイトにアクセスして色味をチェックしてみたが、僕の趣味の使用範囲内では合格である。

なぜ今回の記事を書いたかというと、紹介した「OM SYSTEM M.ZUIKO DIGITAL ED 20mm F1.4 PRO」のレビュー記事を外出時に探すのに手間取ってしまった経験から、当サイトでリンクを貼った記事を載せておこうと思った次第。