無印M1はこれまで個人で使ってきた歴代のインテルMac Proよりパワフルであるのは確かなのだけれど、M1 Mac miniオンリーで内部完結した作業環境で音楽を作っていると、やはり残念ながらパワー不足に陥ってしまう。上図の場合、トラック数は10強と少ないのだが、最近導入してとても気に入っているプラグイン、iZotope TrashとRhizomatic SynestiaがかなりのCPUリソース大食いで、数個ロードしているだけで常時8割強にメーターが振れている状態となり、再生しながら作業していると頻繁にレッドゾーンに突入してしまう。大昔はフィジカルなミキサーと外部エフェクターという物理で攻める構成だったから、今では考えられないくらい貧弱なパワーのマシンを使っていたけれど割と安定していた。でも今はそれらはほとんど浄化してしまった(シーラ・ラパーナ浄化作戦はまだ継続中)。
ところで今年の5月にいきなりM4がMacをスルーして新型iPad Proに搭載されてデビューという、かなり意表を突いた登場の仕方で驚いたのだが、Macに搭載するにはメモリ周りとかディスプレイ周りとか、CPUから周辺に生えていく経路をコントロールする部分がiPadよりもちょいと複雑なのだろうと思われ、製品バリエーションも多岐に渡ることから時間がかかっているのかもしれない。iPad Pro更新から5ヶ月も経っているのはそんなところが理由なのかもしれない。
結局、M3は「繋ぎ」になってしまった
以前に書いた「人生最後のMacは今のところ「M3 MAX」搭載マシンになる公算」では、Mac Studio M3 Maxの登場に期待していたのだけれど、結局、M3 MaxはMacBook Proの上位機種に搭載されただけで、Mac StudioのM3版も、ULTRAバージョンもリリースされることなく終わってしまった。しかしここで、上図を眺めて感じるのは、M3 MAXの特異なコア構成である。
M1とM2は、それぞれのProグレードでベースとなる無印の【4*4】コアから【8*2】【8*4】コアへと増強しているが、そこからMAXグレードへの拡張時もCPUコアの構成はそのままProグレードに準拠しており、GPUだけ拡張して差別化している。
しかしM3ではそのルールが破られ、無印の【4*4】コアからProグレードへ【6*6】と増強したあと、MAXグレードは【12*4】コアへとメチャクチャ増強しているのである。当初、MAXグレードでこの増え方だと、それをベースに2倍となるULTRAではどんなパフォーマンスになることか…と注目していたのだが、結果は上述した通りULTRAは製造されることは無かった。
極めて短期間でM4が発表された今なら分かる。Appleは最初から「M3 ULTRAは製造しない」と決めていたのである(聞くところによれば初期の3nmプロセスでは歩留まりが悪かったらしい…)。驚くくらいにM3 MAXのコア構成を大盛りにし「今すぐ最大のパフォーマンスを求めている人は、今すぐM3 MAXを買うべし!」と訴えたのだろう。
M4のコア構成を勝手に予想する
現時点でM4 Macは存在しないので、ネットで紹介されていたiPad Proで取られたベンチマークの数値を参考にすると、どうやら無印M4のCPUマルチコア性能は、M2 Proのそれと同等らしい。同じグレードのM3 ProのCPUも12コアだが【6*6】と構成に変化があり、「M2 Proと同等の性能を少ない消費電力で実現する」という位置付のようである(マルチコアのベンチスコアは微増)。しかし冒頭に挙げた「音楽作りしていると頻繁にレッドゾーンに振り切れてしまう」状態を脱するには、やはりProでは力不足と思われ、もう一段上のMAXグレードに注目である。
ちなみに、GPU性能はコア数に大きな差があるので、世代差があっても旧式のProグレードに譲ることになるが、音楽制作でGPUはほとんど関係ないのでここでは考慮しない。
M4 Pro〜Maxのコア構成はどうなるのか?
Appleシリコンのコア構成は厳格な製造ルールに則っているのかと思っていたら、上述のように割と柔軟に変更が可能なのだなとM3の時に分かったのだけれど、では近日登場予定のM4ラインはどのようなコア構成になるのだろう。やっと本題に入った。長かったが、ここまでは前置きである。
例えば、以前のM1〜M2のように戻すのか(ProとMaxはCPUコア構成を同じにして、GPUで差別化)、M3の時のように「Proまではパフォーマンスをちょい抑え気味にして、Maxはフルスロットル。ULTRAはその倍」とするのか…。
そこで勝手に組み合わせを考えてみたのだが、図表に並べてみると、ベースとなる無印グレードのコア構成は、M1〜M2〜M3まで【4*4】の8コアと統一されており、今回のM4で初めて【4*6】の10コアと少しパフォーマンスを上げて来たのだなと改めて気付いた。電力効率を優先して、Pコアではなく、Eコアの方を2個増やした格好だが、それでも基礎体力が優秀なので、前述の通り【8*4】12コアのM2 Proと同等なのである。
▶︎M4 Proの予想
では、【4*6】10コアの無印M4をベースに、そのProグレードはどのような構成になるのか気ままに想像したい。おそらく、ProグレードはM3の考え方を踏襲して「そんなにパワフルにしない」のではないか。つまりM3 Proと同じような構成である。個人的な印象では、Appleシリコンでの「Pro」とは「プロのデザイナーではないけど、アウトソーシングしたりバイトを雇う金はないし、経費削減のために自分で素材を作らないといけなくなった人」に適したグレードである。ただし昨今では、そのような作業はうまくいけば生成AIがアシストしてくれる場合が出てきたので、M3との差別化もふまえGPUは2個増やして「20コア」にしておく。もしかしたら性能を抑えて18コアかも…とも思ったが、何せ生成AIにはGPUが必要だし、Appleもその方向でM4シリーズを売り出すつもりなのだから、Proグレードであっても少しはアピールしておかねばならないだろう。
ちなみにGPUの他に、AI方面で活用するためのNeural Engineに関しては、まず自分の扱える範囲での音楽制作には直接影響しないということで今回は考えない。以前「ところでNeural Engineってどんな場面で使われているの?」と疑問に思い、asitopをインストールして自分の作業中にモニターしてみたことがあったのだけれど、全く使われてなかった。音声認識とか画像認識、ペンを使った手書き入力など、リアルタイムな制御系でAI処理する場面に動作しているのではないかと推測。
▶︎M4 Maxの予想
さて、本命のM4 Maxである。その後ろに2倍構成のULTRAが控えていることをふまえて、2パターン考えてみる。
A案(上図上段)【12*4】16コア
M3の時のように、なりふり構わずパフォーマンスを追求した構成。とは言いつつなぜM3 Maxと同じ構成なのかと言えば、M3世代は「ULTRAは製造しない」という前提でコアを詰め込んだ…と考えているから。翻って、M4では歩留まり向上&電力パフォーマンスの向上があったおかげで、M4ラインではそのまま詰め込んだ状態であっても、その2倍構成のULTRAを製造出来る、という想定。
B案(同下段)【10*4】14コア
最上位にULTRAが控えているからこそ、PROグレードから大きく性能を上げつつも、バランスを考えてPコアを10個に抑制した構成。2個しか減らしてないのだけれど、A案のULTRAグレードでCPUコア合計32コアというのは、果たしてどれだけ需要があるのか…と思ったりして、B案の合計28コアというのが、落としどころとして現実的かなと考えたバージョン。
この他にも【8*8】16コアとか、【8*4】12コアとか色々想像してみたけれど、個人的には、A案の【12*4】16コアで、GPUは40コア、という性能重視の構成が人生最後のMacに相応しい感じがする。いずれにせよ、ULTARはおっさんには買えない。
新型Mac miniが搭載するのはM4 Proまでなのか
理想はM4 Maxを搭載した新型Mac…なのだが、MacBook Proは所有するつもりがないので、来年中頃に発売されるだろうと噂される新型のMac Studioの登場待ちとなる。しかしまだ1年も先なのである。では新型のMac miniはというと、やはり上位モデルでもM4 Pro止まりになってしまうのだろう。製品コンセプトとしてもMaxの搭載はアンバランスな気がする。しかし今や、無印M4が、あんなに薄っぺらいiPad Proに搭載できてしまう時代で、しかもファンレスなのである。ならば、頑張ればMac miniにもM4 Maxが載るんじゃなかろうかと思ってしまう。今度は現行モデルのデザインから改変され、小型化されるというもっぱらの噂だけれど、Mac Studioの小型版みたいなデザイン(つまり背が高くて立方体に近い形状)であれば行けそうな気もするのだが…。もし、Mac miniにM4 Maxが搭載されたら、Mac Studioを待つ事なく、Mac miniでも十分である。しかしその場合、メモリは64GBまでは搭載可能にして欲しい。現行の無印M1は16GBでカツカツで、倍の32GBだけだと安心できない。
型落ちした中古Mac Studio M2 Maxで繋ぐ可能性
新型Mac Studioがやはり年内には登場せず、新型Mac miniには期待しているものの、Proグレード止まりでメモリも32GBまでなら、繋ぎとして中古Mac Studio M2 Maxを買う可能性もなくはない。M4 Max登場後、おそらく現在よりも若干値崩れして中古市場に出回ると思う。もしかしたら64GB/1TBの整備済製品(現時点で税込348,800円)も値段を下げてくるかもしれない。戦争反対、世界の本当の敵は地球の温暖化である。
2024-09-22 > 僕はアップル様が嫌い