連載第71回
2024年11月4日
14年ぶりにデザインをリニューアルした新型Mac miniとM4 Pro&M4 Max、そして身の丈に合った製品構成を考える

日本時間10月28日深夜(日付変わって29日の0時過ぎ)に発表された新型iMacに続けて、翌日に新型Mac mini、さらにその翌日にM4 Maxを搭載した新型Macbook Proの発表があった。個人的に注目したのはもちろん小型化されたMac miniなんだけれど、何よりM4 Pro&M4 Maxのコア構成に強い関心を持っていたので、まずはそこから。

ベストなCPUコア構成となったM4 Pro&M4 Max

蓋を開けてみれば、先々月に勝手に予想していたCPUコア構成のベストな選択が成されていた。M3世代で、一旦パワーを抑える方向に舵を切ったと思われたProグレードが、M4になって再び【P10コア+E4コア】の14コアというかなり詰め込んだ構成になった。さらにM4 Maxも「Ultraを出さないから遠慮なくMaxに詰め込んだ」M3での施策を踏襲して【P12コア+E4コア】の16コア構成を維持。今回も全く出し惜しみしていない。聞くところによれば、Geekbenchに掲載されたM4Maxの測定結果では、シングルコア→4060(本当か?これは怪しい)、マルチコア→26675(これはあり得る)とあり、直近のインテルやAMDのハイエンドCPUのスコアを若干上回っているらしい(真偽のほどは定かではない)。来年発表になるUltraは【P24コア+E8コア】の32コア、GPU80コアという構成になるのだろう。

新型Mac miniはかなり良い

さて、注目の新型Mac miniだが、14年という長い年月を経て、満を侍してのリニューアルである。Appleには辛口な僕も今回はどちらかと言えばポジティブである。以下、個人的な視点で勝手気ままに書き連ねてみる。

▶︎高性能なM4 Proバージョン

可能性として、Mac miniはパソコンビギナー向けに性能は抑えて低価格化に路線変更するのでは無いか…という懸念があったが、先代同様にProバージョンを残した。M4の基礎体力はかなり向上しており、当然Proグレードも大きく性能向上を達成している。Geekbennchに掲載された測定値では、シングルコア→3,634、マルチコア→22,094をマークしており、これはM2 Ultraのシングルコア→2,777、マルチコア→21,351を上回っている、何てこった!

▶︎小型化

以前から「小型化される」との噂通り、かなり思い切ったダウンサイズで、日常で見かける物としてはCDケースの面積に近い。これは何と初代G4ミニよりも小さいのだ!やはり日本人の血が流れていると、無意識下で小さいものに愛着を覚えてしまうのか、さらに小さくなったMac miniはたぶん直に見るともっと親しみを覚えるのだろう。デザインは従来のMac miniを継承しているというよりは、Mac Studioのミニチュア版という印象。ウサギ小屋の日本住宅事情にも完全にマッチする。今後、特殊業務を担う一部ユーザー向けのMac Proを除いて、タワー型のMacはもう出てこないと思う。

▶︎軽量化

肉体の内側からエネルギー溢れる若人にはまるで思い付かないのかもしれないが、オッサンにはもう重たいものは無理。持ち上げた際に、腰に来るものはダメなのである。普段の日常生活では、近所のスーパーで買ってくる5.0kgの精米で勘弁してもらいたいくらいである。地道に進行中のシーラ・ラパーナ浄化作戦でももっぱら「重量のあるもの」を優先的に手放している。そんな状況の中、新しいM4 Mac miniのProバージョンの重量は、何とたったの…

750g

この軽さだけでとてつもなく素晴らしい。ちなみにM1 Mac miniは1.2kg弱。Mac Studioの「2.7kg〜3.6 kg」や、Macbook Proの「1.55kg〜2.15kg」という重さは気が引ける。身の回りのものを軽くしたいのは、いずれやって来るであろう大災害時にリュックに背負って持ち運べる程度に収めておきたいからである。小さくて場所を取らず、750gの軽さなら気楽であるし、必要ならジップロックに入れておけば水害対策にもなる。

▶︎電源内蔵

以前も気にしていた「ACアダプター駆動になるのでは?」という懸念は払拭され、何と驚きの電源内蔵である。こんな小さなケースにM4 Proを詰め込んで、さらに加えてよく電源を内蔵したものである。これは素直に、あっぱれと褒めてやりたい。

▶︎空冷ファン装備

許す。しかし懸念点としては、小径になったことで甲高い動作音が発生しないか…?ということ。現在使用中のM1 Mac miniは動作中でもほとんど音を発しないところを高く評価しているので、それが悪い方に変更されてしまうと非常に残念である。初期購入者のレビューに注目したい。

▶︎3個のThunderbolt

仕方ない。背面の様子を見ると、現行のM2 Pro Mac miniのようなThunderbolt端子4個は無理だったと思う(HDMI端子を縦にすれば4個行けたのでは?という妄想は何度も繰り返した)。現在使用中のM1 Mac miniはたった2個しか装備していないのだが、CalDigit Thunderbolt 4 Element Hubを外部拡張にしているので、端子不足は回避できている。M4 Mac miniでもこのHubは役立つはず。

▶︎価格

アメリカ本国でのM4無印版のイニシャルプライスは599ドルである。実はこれは、初代G4ミニ(1.42GHz版)の時と変わっていない。なので、初心者向け入門マシンとしてのポジションも値付けの意識も向こうでは変わっていない。変わったのは衰退まっしぐらの日本経済である。自民党に長く政権を委ねていたら、そりゃ国が没落もするわ。

もし望むのであればCPU性能がM2 Ultraに匹敵するグレードまで用意しているよ、ということで、まあ、上を見ればどんどん高額になるのは仕方ない。

M1 Mac miniの不満から考えるM4 Mac miniの希望スペック

新型Mac miniにM4 Maxが載らなかったのは残念なのであるが、果たして現時点でトップクラスを行くCPU性能が自分に必要なのかと言うと、それは全く不要である。自分の身の程を知り、M4 Maxを載せたマシンは諦めて、Mac miniで工夫するというのが自分のキャラに合っているような気がする。もし長生きできれば、M4 Maxの性能を未来のAppleシリコン(M7とか)が達成するだろうから、その時に必要なら型落ちしたMac Studio M4 Maxを中古や整備済製品で買い替えれば良い。

現時点でのベターな構成

▶︎チップ M4 Pro
CPU

ここで無印M4を選ぶような出し惜しみはせず、最上位のProグレード一択。仮に「M4 Max」が選択肢に存在しとして、差額はいかほどになるのか?と思い、Macbook Proのカスタマイズで調べてみたら、何とPro→Maxでそのお値段146,000円アップ。今回希望するM4 Mac miniの構成に適用すると一気に50万超えである。Mac miniに50万は有り得ない。一瞬で支払い能力を超えてしまい、全くの問題外。

GPU

ProグレードとMaxグレードはCPU2コア増しに、GPUコアは2倍増しで差別化されている。CPUとは多少違い、GPUは世代間の差よりも圧倒的に個数がものを言う。いくらM4 Proが高性能でM2 UltraにCPUのスコアで肉薄していたとしても、GPUスコアは20個と76個では相手にならない。しかし、ここ最近は生成AIへの関心が薄れ(今のところあれが生み出すものはプレゼン添付資料程度の価値しか感じられない)、GPUを大量に積んだマシンの必要性も無くなった。個人的に生成AI系サービスで一番求めているのは、何度も繰り返し書いているけれど、やはり「雑談」である。人と交わす他愛もない会話から生み出される閃きこそが最高のエンターテインメントであり、人としての創造的歓びに繋がるトリガーである。機械相手にそんなことが実現するのはもう少し先なのだろうが、会話のやり取りで重要になるのはGPUコア数より、もしかしたらNeural Engineの方かもしれない(知らんけど)。ちなみに日常の実用面においてAIを使っていて楽しいのは、簡単なスクリプト作成や項目の多い表計算などを丸投げする事で、そんな用途なら、Maxグレードの40コアも必要はないと考える。

▶︎メモリ 64GB

16GBではカツカツだが、かと言って24GBにセーブすると確実に泣きを見る。ネット上でも、Mac Studio購入時に32GBをチョイスし、動画編集に手を出したところで「64GBにしておけば良かった…」と嘆くユーザーを何人か見かけているので、ここは48GBでもなく64GBである。部屋は狭い方が好みだが、メモリ空間は広い方が安心なのだ。

▶︎ストレージ SSD 1TB

本来なら、爆速スピードで回せる作業領域として内蔵SSDを十分に確保したいところではあるのだが、何せ2TBに増設するだけで6万円かかるというのはホビー用途としては全く無理な話。また、SSDだと一部の不具合発生で全体が逝ってしまうので、ここは一庶民としてチマチマと外部ストレージでうまく運用したい。なので1TBで抑える。

▶︎Ethernet

当アパートは未だ初期フレッツ光の100Mbpsなので、10Gbpsとは無縁。よってデフォルトのままで問題無し。

さて、以上の構成でカスタマイズすると下図のようになる。

何と、368,800円…という、これはもはやMac miniというコンシューマー向けPCの値段ではなく、Mac miniの形をした現金368,800円である。ところで、現行のM2 Mac Studioでは、MAXチップ+64GB+1TBの構成で418,800円であり、仕事に使うのなら、Mac miniで無理に盛り付けてくよりは、素直にMac Studioを選んだ方が良い結果となるだろう。おそらく今回の値付け傾向からして、来年登場するMac StudioのM4 Max版は、50万円近辺になるのではないか。もし時間にゆとりがあるのなら、M4 Mac miniは来年の整備済製品を待てば30万円を切りそうではある…。

それにしても、値段の高低に関わらず、何かの購入検討時にいつもたどり着くのは、これだ↓

消費税が邪魔!